見出し画像

『錬金術師の密室』感想

『錬金術師の密室』紺野天龍 ハヤカワJA文庫 5/31読了

世界に7人しか存在しない錬金術師が強い力を持っている世界。当然、錬金術師を擁する国家は他の国家に対して大きな発言権を持っている。
主人公のエミリアはアスタルト王国王立軍に所属する若き軍人。
彼は、軍務省錬金術対策室室長にして、自らも錬金術師であるテレサ・パラケルススと共に、水上蒸気都市トリスメギストスへと出向くこととなる。トリスメギストスは島が丸ごと大企業メルクリウスの土地で、メルクリウスのお抱え錬金術師フェルディナント三世が不老不死を実現し、その公開式典に立ち会うよう依頼があったのだ。
そのトリスメギストスの三重密室で死体が発見され……。

嬉しくなってしまうくらい色々てんこ盛りの設定ですが、読んでてすごく楽しかった!

作者の方は、ラノベで描いてらした人。最近、早川ではラノベの作者にSFやミステリを書かせているようですね。
ラノベ出身だけあってお話はとても読みやすいし、作者の方はもともとミステリが好きな方みたいで、錬金術師とかエーテルとか出てきますがしっかりミステリしているので、ミステリとスチームパンクの両方が好きな私はあっさりホイホイされました。

テレサ・パルケルススはすれ違う女性が思わず顔を赤らめてしまうほどの美形で、女性に優しく、可愛い子(たぶんその範囲はかなり広いと思われる)にはすぐに甘い言葉をかけるようなタイプ。ただし、女性。
頭がよく能力はあるが、態度と性格が悪いので、軍部からは隙あらば排除しようと画策されています。が、女王の覚えめでたいため、なかなか直接は手が出せない。

エミリアはそんな彼女のお目付役であり、何か不祥事があれば報告するよう情報部から密命を受けており、この任務が成功したら、栄転が待っている。
そんな2人が巻き込まれた殺人事件をどう解決していくか。

今作品は、ミステリとしてきっちり完結していますが、テレサとエミリアという2人がバディになるまでの物語になっています。
もしかしたら続くのかな。続いて欲しいな。
そう思いながら読みました。

「世界に7人しかいない錬金術師」という設定にはまだまだ書かれていないいろいろが潜んでいそう。だって作中で言及される人たち、7人いないよね?
そういうあたりも気になります。

そして私はエミリアちゃんが好きだ! 設定やらなにやら、私が気軽にホイホイされる要素がたくさん詰まっていて、エミリアちゃんのことも先生(テレサ)のことももっといろいろと掘り下げてほしいし、もっといろいろ読みたいです。

続きが出ますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?