『神の守り人 上・下』感想

『神の守り人 上 来訪編』上橋菜穂子 偕成社 2/8読了
『神の守り人 下 帰還編』上橋菜穂子 偕成社 2/9読了

守り人シリーズ。前回読んだ『虚空の旅人』と同じくらいの時間軸かな。あの話はチャグムが一人で頑張っていたけれど、ちょうどその頃バルサとタンダもこちらで大変な目にあっていたんだな。

ロタの国の人々に伝わる建国神話とロタの被差別民タルの人たちに伝わる話は同じ話のように見えるけれど果たしてそれは本当に正しいのだろうか。勝者の側の目で見た物語でしかないのではないか。引いては私たちの世界の神話も。
と考えさせられるお話でした。

バルサが人買いから助けたタルの兄妹のチキサとアスラ。二人は<猟犬>と呼ばれるロタの呪術師からも追われており、バルサとタンダはなんとか二人を連れて逃げようとするが……。

バルサを昔から知っている衣装店の大奥様のマーサが好きでした。綺麗な洋服や布地、刺繍などが好きで、バルサのような女傑ではないけれど、決断力がありしっかりと前を見据えている女性。しゃきしゃきとした女性は好き。

これまでに読んだ守り人シリーズは良くも悪くも収まるところに収まる話だったんだけど、これはちょっと心が重くなるお話でした。
もちろんシリーズはまだ続いているから、これからまた動きがあるかもしれないんだけど、それでも。

ロタという国、タルの民、チキサとアスラ、スファルとシハナ、バルサとタンダ。それぞれ一応落ち着いたけれど解決はしていない。
アスラの選んだ方法はもちろん誰もが納得できることではないんだろうけれど、特にチキサは辛いんだろうけれど、この先、何年かかったとしても二人が笑い合えたらいいなと思う。

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