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日記、のようなもの #77 忘れられない

2022/11/26

もうずっと何年も何年も何年も前のこと。
うちはマンガを読むのを禁止されていた時期がありました。
両親がちょっと厳しかったのかな。
ただ、友だちの家に行って読むのまでは駄目とは言われなかったです。
読み始めたら止まらなくなって名前を呼ばれても気づかないくらい集中してたのが嫌だったようで、家で読むのでなければオッケーという感じ。あとは、たまになら借りて帰ってくるのも。

たぶんその時期に友達の誰かから借りて読んだ漫画で、ずっと忘れがたいものがあります。
ただ、そのお話のエピソードや絵は強烈に憶えているのですが、タイトルと作者がどうしても思い出せなくてずっともやもやとしていました。

何度かいろんな友達にそんな話をしていて、ついに友達が見つけてくれました。
それは『真夜中のシンデレラ』(まよなかのシンデレラ)。作者はこいわ美保子さん。

こいわ美保子さんはいまはすでに描かれていないようで、それもまたなかなか見つけられなかった理由なのかな。

ジャンルとしてはサスペンス。主人公は可愛い女の子。けれど人のものを欲しがる子。
例えば人の彼氏とか。
そうして彼氏を奪われた…厳密に奪われたのかどうかまでは憶えていないけれど、今でも忘れられないのは、演劇部のヒロインの彼女が彼を奪われ舞台の上で発狂したシーン。
ハムレットのオフィーリアで、オフィーリアが狂ってしまう場面で彼女自身も狂ってしまうというシーンでした。
儚げだったオフィーリアが狂おしい表情になり、焦点の合わない目でケタケタと笑いだすのがとても怖かった。
確か最後は、父親(主人公の子は父親だとは気づいていない。優しいおじさまで私のことを愛してくれる人と思っていたと思う)にどこかに連れていかれるか、責任をとるというかたちで父親の手にかかるかという話だったと思います。

そのお話はあまりの怖さに何度か読み返した覚えがあります。
怖くて怖くて、だから気になって、怖くて忘れたいのに忘れられなくて、もうずいぶんと経った今でも気になってしかたがない。
でもすでに絶版となっているその本を探し出してまで読む勇気がない。

タイトルや作者がわかった今でも、やっぱり怖さゆえに忘れがたくて心の奥底にくっきりと刻まれている、そんなお話です。

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