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『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』感想

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』6/28観賞

おそらくは「第三若草物語」の最初くらいまでの内容だったと思います。最近、若草物語は読み返してないので絶対ではないけれど。
ストーリー自体は、「若草物語」と「続若草物語」のエピソードが交互に進んでいく構成になっていて、なので最初は少しわかりにくいかな。「続若草物語」のエピソードを軸に、7年前の「若草物語」のエピソードを挿し挟んでいく感じ。

「若草物語」だけを読んだことがある人だったら、知らないエピソードが「続若草物語」だと思えばわかりやすいかもですが、私みたいにずっと以前に読んでいて最近は読み返していないとかだと区別がつきにくいかも。

この映画の主人公はジョーです。「若草物語」の最初は4姉妹の群像劇といった感じだけど、巻が進んでいくとジョーが主人公だと明確になって行くんですよね。

作家志望のジョーは「友人の書いた作品」と言って出来上がった小説を出版社に持ち込んでいる。売るためにはもっと刺激的に、そして主人公の女性は最後に必ず結婚する、もしくは死ぬ、という出版社の求めに応じて手直しをして。
しかし、同じ下宿に住む教授は、手直しをした小説を率直に、つまりは手厳しく批評する。
芽生え始めた友情が潰えたことを後悔するより先に、故郷から身体の弱い妹ベスの体調が思わしくないという知らせが届き、ジョーは故郷に戻る決心をするー。

ジョーにとって故郷は、幸せだった少女時代の象徴のような場所。
今は長女メグは結婚して家を出て、次女ジョーは作家を目指してニューヨークに移り住み、三女ベスは故郷で母と暮らし、四女エイミーは口うるさい伯母と一緒にパリへ行き、絵の勉強をしている。
ベスは少女時代に罹った猩紅熱のため今もまだ身体が弱く、家族と一緒に暮らすこと、ご近所のローリーの家のピアノを弾かせてもらうことが何よりの楽しみ。

若草物語を読んでいて思ったのは、長女と四女、次女と三女が仲がいいなということです。他が仲が悪いんじゃなくて、4人まるっと一緒なのではなくそんなふうに自然と別れるのかなという感じ。

今回、ベスのために戻ってきたのはジョーだけ。エイミーはせっかくパリにいるのだからと呼び戻しはしない。とはいえ、メグは近くに住んでいるので、久し振りの家族再会。
そうして戻った故郷での、少女時代のエピソードをジョーは時折思い出し…という設定なのかな。今=「続若草物語」、少女時代=「若草物語」ですね。

この映画はアカデミー賞で衣装の部門で受賞したんですよね。女性陣の衣装も良かったけど、私は男性陣の衣装も好きでした。
たぶん階級によって細かな衣装の違いがあったんだと思うんですが、私はあまり詳しくはないのでその辺はわからない。階級が違うと付き合えないというほどの階級社会じゃないけど、たぶん見る人が見れば明確な違いがあるんだろうな。
私はローリーのお祖父さまのカッコが好きだったな。

メグを演じたエマ・ワトソンは本当に美人さん。綺麗でした。
ローリーを演じたティモシー・シャラメは、顔がいい……とずっと思いながら見てました。『君の名前で僕を呼んで』のときはそんなこと思わなかったのにな。アーミー・ハマーに夢中だったからだろうけど。

私が「若草物語」「続若草物語」で好きだったエピソードは、ベスとローリーのお祖父様、エイミーとローリー、ジョーと教授。
それがちゃんとあって満足だけど、ジョーと教授のエピソードはもうちょっと欲しかったなぁ。
エイミーと伯母さんのエピソードも、以前は伯母様は意地悪で嫌だなって思ってたんですが、今の年齢になってみると、おばさまの口にはしないあれこれを考えてしまいます。
この辺ももっと見たかった。

昔、オルコットの若草物語のシリーズから「8人のいとこ」→「花盛りのローズ」と読んで、すごくハマった頃のことを思い出しました。また読みたくなっちゃった。
あの頃に連れて行ってくれる映画でした。

関係ないけど、途中出てきた本を作るシーンが楽しかったな。
活字を選んで組む→インクをつける→活版印刷→印刷した大きな紙を折ってナイフで本の大きさに切る→まとめて数枚ずつ糸でかがる→糸でかがった塊を本の順番に並べ背を締める→厚紙に皮を巻き、箔押しをした表紙を本につける
この辺の一連の印刷から製本の流れは大好き。
昔、祖父の製本所の活字部屋でずーっと遊んでたことを思い出しました。

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