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『FACTFULNESS』感想

『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 日経BP 7/16読了

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣とありますが、そのとおり、感情や思い込み、願望などを混えずに、物事をあるがままに見るための手引きといった感じかな。

最近の風潮、と一言で言ってしまっていいのかどうかわからないけど、一つ悪いところがあれば全部ダメと言うようなことも、ここでは取り上げられていると思う。そういうものに直接触れられているわけではないけれど、悪いこともある(まだ飢餓もあるし、学校に通えない子もいるし、戦争もある)けれど、いいこともある(そういう悪い部分は確実に減っている)というあたりは、一つ悪いことがあったら全部ダメというわけではない、ということなんじゃないかと。
思い込みや願望や感情、先入観などを排して、データをあるがままに読み取ればちゃんと見えてくるよ、と言っている本だと思う。

ほとんど全て、書かれていることには共感と納得するばかりなんだけど、いやいやそうじゃないだろうと思ったのはマスコミの部分。
センセーショナルなことやネガティブなことを取り上げた方が注目されて売り上げも上がるから、殊更そちらに行ってしまうけど、それはわざとじゃないんだ、世界を悪く見せようという意図があるわけじゃないんだ、と作者の方は言われてる。
でも、報道しない自由を駆使して、そのあたりをSNSなどで指摘されると、それを根拠として日本は報道の自由がないとか言ってる日本のマスコミは、この作者のかたが言っているようなマスコミとは違うと思うな。

とは言え、見る側である私たちが、FACTFULNESSの主張のようにデータを、つまり一次資料を自分で見て判断するということを心がけていけば、マスコミのことも、著者がいうように少々無礼な、という程度で、頭から毛嫌いしなくてもいいのかなという気もする。

実際、この本を読んで、そう心がけるようにしてから、コロナに関する報道を見ても前ほどにはカチーンと来ることは減った気がします。
どうしようと不安になるより前に、カチーンときて勢いでSNSに書き込んだりするより前に、数字を、データを見るようになりました。
後、一次資料を探すようになった。マスコミの資料は一次資料じゃなくて二次資料だから、そこに記者なり記事をチェックするデスクなりの意見が反映されているものだから。
そうやって一次資料を探すようになると、マスコミに頼らなくても結構、行政や団体、国際機関などからデータは出てるし、ネットで探せばそう苦労もせずにたどり着けると実感したのも大きいかも。
元々、過去に統計関係の仕事をしていたことがあったから、探せば出てくるとこは知っていたけど、その当時よりもさらに今の方が、数字の重要性を感じています。

この本は図書館で借りるのではなく、買って良かった。
本棚の、いつでも手に取れるところに置いておきたいし、ニュースなどを見て脊髄反射しそうになったときなんかに、この本で言及されている思い込みの、当たってそうなどれかを読んで、クールダウンすることもあるんですよね。
特に、今の状況では、一旦深呼吸して、調べて考えて、ということがとても大事だと思う。

この本は、それを論理的に説明してくれていて、読んで良かったと思いました。


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