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『本屋のワラシさま』感想

『本屋のワラシさま』霜月りつ 早川書房 6/28読了

主人公の叔父が営む商店街の小さな本屋さんが舞台。

病気で急遽入院した叔父の代わりに臨時の店主として店を開くこととなった啓。
誰もいないはずの店内には、綺麗な着物を着た日本人形が。しかし、彼女は実は本屋につく座敷童だった。
店長以外にはただの人形にしか見えない彼女は、良い本屋につくという。元大型書店の書店員だった啓は、しかし、あることをきっかけに本を読むことができなくなっていた。
本を読めないのでお客さんに本を勧めることもできない。しかしおじさんは、お客さん一人一人に合わせて本を勧めたり、いわゆる売れ線とは違う本を仕入れたりしていたらしい。
本屋のお客さんも一筋縄ではいかない人、問題を抱えた人が多いようでー。

これは連作短編のミステリになるのかな。
それぞれの章で、クローズアップされた人に関わりの深い本を紹介する体裁になっている、つまり紹介された本が気になってしまうというつくりで、元から知っている本はいいんですが、ペリー・ローダンシリーズとかほんと困る。禁断のシリーズじゃないですか。
今から揃えるのはほぼ無理だし、一から読むとして読み終えるのは一体いつになることか。正直、寿命がいくつまであれば読み終えられるかわかんないし、寿命が尽きるまでに絶対終わる気がしない。ていうか、そもそも終わらせる気はないでしょあのシリーズ(チーム組んで書いてるから頑張って生きてるうちに終わらせる必要もない)。
ほんと困る。気になる。

ワラシさまは作中に出てきた本のことを知ってる、というか読んでる風だったけど、てことはペリー・ローダンも読んでるのかな。座敷童なんだから、彼女の過ごした時間を考えると、読めそうだけど。
それとも、さすがのワラシさまもローダンは読んだことなくて、その短編に出てきた人がローダン好きだと知っていただけなんだろうか。
気になります。

ワラシさまも、元々は本の大好きな女の子だったということはわかったけど、もっとワラシさまの過去の話も読みたいと思いました。
新しい服を作ってもらって嬉しそうなのも可愛くて好き。

この一冊で一区切りついているけれど、続きが読みたいです。
啓の本屋がどんな感じなのか知りたいし、のばらちゃんとこの先どうなるかなというのも気になるし、またいろんな本を紹介して欲しいです。

ひとつ気になってるのが、啓は最初からワラシさまが見えてたけど、ワラシさまは最初っから啓のことを認めてたってこと? それとも、自分の認めた店主が店を頼んだくらいなんだから大丈夫ってことなのかな。
どっちにしろ新旧店主にはメロメロやないですか。
ワラシさまは素直じゃないけど、そういうとこが可愛くて好きです。

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