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無駄ばかりでストレスの多い「働きのカタチ」を変える

日本の労働力不足と生産性の低さは、あらゆるメディアで指摘されています。

数十年後には人口が1億人を切り、労働力不足が一層深刻になるでしょう。
加えて、日本の労働生産性は先進国の中で最低レベルであり、大きな社会問題となっています。

そもそも生産性という言葉は非常に幅広い使われ方をしているため、その意味について定義します。

生産性とは「働く人数や時間、設備費用」に対して「生み出した量や付加価値」のことです。
つまり「生産性が低い」とは、あなたが一生懸命した労働が生産量や付加価値にあまり貢献していない、というわけです。

私自身 IT 業界で働いており、他の業界と比べ DX 化も進んでいて業務効率化などは進んでいるはずですが、それでも生産性が低いと感じることは少なくありません。

たとえば、意志決定者の決まっていないミーティングでメンバー全員が暗黙に納得するまでミーティングを繰り返し、そのために毎回資料を作り込んだり、事前に根回しするなど、かなり多くの時間が割かれています。
(全てが無駄とは思っていませんが)

これは日本の慣習的な要因もあり、かなり根深い問題だと思っています。
今までのものを改善していくというアプローチではなく、一部の常識を「新しいカタチ」に変えることが必要と考えています。

楽にするのではなく無くす

日本では、個人の成果よりも組織全体の調和と協調を重視する文化があります。これには、日本人の国民性が反映されています。

組織の利益を第一に考え、チームで助け合う姿勢が根付いているためです。このような姿勢は、企業全体の利益を上げるだけでなく、危機対応時にも優れた力を発揮します。

しかし、この協調重視の文化が、明確な責任分担を難しくしています。
結果として、1人でできる業務を複数人で遂行することが多くなり、効率性が低下するのです。

例えば、大型顧客との商談の際、複数の部署から多くのメンバーが参加する「大名行列」と呼ばれる現象があります。
これは、顧客の要求に即座に対応するためですが、発言の機会がないメンバーも多く参加し、無駄が生じます。

これらの業務は現状を改善して楽にするのではなく、そもそも今までの商談や会議の形式を壊し、新しいコミュニケーションのカタチを考えていくのはどうでしょうか。

AI が情報を流通させるハブに

チームの人数が増えると、コミュニケーションコストが増加します。これは、以下の図のようにコミュニケーションパスが二次関数的に増えるためです。

n = #ヒト, I = #コミュニケーションパス

チームメンバーが増えるごとに、コミュニケーションの経路が増え、それに伴い調整や情報共有のコストが肥大化します。

生成 AI がナレッジ流通のハブとして機能することで、このコミュニケーションパスの経路を変えられるのではと考えています。今までのように過去の資料を探したり、誰かに聞きに行ったりすることが不要になる世界が実現するかもしれません。

社内コミュニケーションだけでなく、顧客に対しても AI を経由してコミュニケーションすることができるはずです。

それぞれの顧客にパーソナライズされた形で情報が提供されるため、営業担当者は従来の商談とは違い、個々に対して具体的なニーズを掘り出していくなど別の組み立てができると思います。

チームはより少人数で、個々の力と AI を活かしてパワフルに業務を進めることもできるはずです。これは今までの協調型の働き方とは大きく異なるものです。

Before
After

働きのカタチを変えるとは

日々のルーティンワークや単純作業に追われ、本来の業務の目的やミッションに集中できないケースが多々あります。

生成 AI は、これらの作業を根本から変え、従業員が創造的で戦略的な業務に集中できる環境を提供するポテンシャルを持っています。

「働きのカタチを変える」という言葉には、今までの仕事やプロセスを根本的に見直すという意味だけでなく、その先の未来も見据えた意味を含めています。

今の多くの人類は、仕事を通じてより快適で便利な生活という文明的な豊かさを追求していますが、多くの先進国でその豊かさはほぼ満たされていて、正直生きる上でそれほど大きな課題はありません。

にもかかわらず、資本主義社会の中でより多くの利益を目指して日々激務に追われ、文明的に不自由のない暮らしができていてもなお、生きるのに幸せを感じられていない人が多いです。

今の業務プロセスや仕事の質を見直した先には、より幸せに生きるための文化的な豊かさを得るための、別の「働きのカタチ」に目を向けるべきなのかもしれません。

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