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〜箱根駅伝〜中央大学のレジェンド 碓井哲雄さん 2021/12/08

中央大学陸上競技部のOB、毎年箱根駅伝の解説でもお馴染みの碓井哲雄(うすい てつお)さんが先日亡くなられました。

僕が碓井さんと初めて出会ったのは、
僕が高校2年生の時のインターハイ北信越予選(2008年)です。
当時は碓井さんが中央大学のスカウトをサポートしていたこともあり、
僕が所属していた高校にも碓井さんが挨拶に来られていました。

顧問の先生と談笑している碓井さんを見て、

テレビで箱根駅伝の解説をしている碓井さんだ

と、テレビで見たことのある人が目の前に現れ、少し不思議な感覚になったことを今でも覚えています。

当時から中央大学へ進学を希望していた自分(第一志望は早稲田大学だったのはここだけの話。。)にとっては、
北信越予選を突破し本戦のインターハイ出場を決めて、
スカウト担当である碓井さんにアピールしたいと意気込んでいました。

高校2年生の夏のインターハイに出場していたら大学のスカウト担当者の目にとまるだろう。

このような思惑を持つ打算的な可愛げのない高校生だった自分。
良い言い方をするならば、当時から目標に向かってどうアプローチしたらいいのかを常に逆算して考えていたと思います。
しかしながら、考えが先行しすぎているのは今も昔も変わらず、
当時もその思惑は見事に打ち砕かれました。
結果として1500mと5000mの両種目に出場するも8位。
力及ばず本戦のインターハイへの出場は叶いませんでした。

(一番右が筆者:1500m,5000mともに8位でインターハイに進めず、、)

大会が終わった後、
目標としていたインターハイに歩を進めることができず、

終わった。。。。

と自分自身の力不足を痛感し、しばらく放心状態でした。

そんな打ちひしがれている自分に対して顧問の先生が、

碓井さんがお前ならスポーツ推薦枠での可能性はあると言っていたぞ。
インターハイには今年は出れないが、冬の駅伝に向けてまた頑張れよ。

と声をかけてくださりました。
自分のことを見てくれていたんだ。
今回は力及ばずだったけど冬の高校駅伝ではなんとか結果を出そう。
そんな前向きな気持ちになったことを覚えています。

(その後の全国高校駅伝は自分の走りができたと思います)

その後月日は流れ、
正式に中央大学に進学してからは、
練習や合宿に来られた碓井さんと関わりを持つようになります。

僕が今でも覚えている碓井さんの言葉は、

・練習していないから脚が痛くなる
・遅い選手は走り込みが足らない
・ハッキリ言って!(碓井さんの口癖)

これらのことをよく言っておられました。
今思うと、科学的なトレーニング理論は別にして
本質的なところを突いているなあと納得する部分が多いです。
当時は、これは果たして科学的なのか??と少し疑問に思うところもありましたが、
それでも過去、競技に取り組んできた経験ある方の発言というのは面白いなと思って聞いていました。

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(大学時代の様子:大学駅伝を走る筆者)

また時には自分が現役選手の頃のお話もされていて、
当時は日大と中大の対決だった!!と熱く語っておられたのが印象的です。
その頃の高校ランキング上位選手の進学先はほとんど日大か中大だったということ、
実業団から大学へ入ってくる選手も当時は珍しくはなかったと、
今とは全然違うなと碓井さん自身も笑いながら語っておられました。
(碓井さん自身の経歴も実業団から大学に入学)

色々と興味深い話を聞かせてもらう中で、
自分が生まれるずっと前から箱根駅伝は存在していて、
それが脈々と受け継がれていること。
僕が大学生だった当時は第90回大会の頃でしたが、
約1世紀に渡って続いているのは本当に凄いことだなと
箱根駅伝にずっと携わってこられている碓井さんの話を聞いて改めてそう感じていました。

(碓井さんの著作:箱根駅伝に関する書籍も出版されている)

碓井さんと最後にお会いしたのは
コロナ渦になるちょっと前。
用事があり中目黒の蔦屋書店で、
本を物色していると目の前に碓井さんが!!

碓井さん、こんにちは!

声をかけると少しはにかんだようないつもの笑顔で、

おお、元気でやってるのか??

と二言目からはいつもの碓井さんらしく陸上についての熱い話が、、(笑)
話した内容はおぼろげにしか思い出せませんが、
「最近の中央大学は~」と母校の中央大学陸上競技部に関する内容だったことを記憶しています。

本当にこの人は中央大学が大好きなんだなあ。

自分が大学生の頃にお話してくださった時と全然変わってないなと感じていました。
また僕が印象に残っていることは、

俺が死ぬまでにもう一回箱根駅伝で優勝してほしい!!
じゃないと死ねない!!

と大学時代、箱根駅伝が終わったあとの打ち上げ会で
碓井さんは笑いながらそう熱く語っておられました。

またきっと天国で、今年の中央大学はどうだ??
と母校の様子を気にしているのではないでしょうか。

碓井さんほどではないですが、
僕もひとりのOBとして今年もまた影ながら母校を応援したいと思います。
結果が良いことに越したことはないですが、
選手ひとりひとりが自分の悔いの残らない納得した走りができることを願っています。

世代をこえて脈々と受け継がれる襷、そしてそれに伴う人との繋がりが箱根駅伝の揺るぎないひとつ価値のひとつだと信じて。

【碓井さん、ありがとうございました】

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