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株式報酬で社員にハードワークを奨励するアリババ

休日である土曜日に、まったりと、この記事を書いております。昨今、働き方改革が叫ばれている日本ですが、お隣、中国のアリババ社員は日本人もびっくりのハードワークのようです。

アリババの創業者であるジャック・マーは社員に対して、”毎日12時間以上、週6日で働くのがいいぞ”と話しているようです。(※週72時間勤務。笑)

Alibaba founder Jack Ma says staff should work 12 hours a day, six days a week

優秀な社員が会社オーナー・株主のために一生懸命働いてくれるのは望ましいことですが、社員にとってメリットがなければ、誰も株主のためにハードークなんてしてくれません。

そこでアリババでは、社員の成果に応じた報酬として、アリババ株式を与えています。社員に株式を与えれば、まるで会社オーナーのように自分事として仕事に取り組んでくれるだろうという訳です。

株式報酬(Share-based compensation)というこのインセンティブの仕組みは、会社としては株式を発行するだけで、キャッシュアウトはありませんが、会計上は株式報酬費用(Share-based compensation expense)という形で費用計上されます。

では、アリババはどれ程の株式報酬費用を計上しているのでしょうか。

アリババ直近の株式報酬費用

Alibaba Group Announces March Quarter and Full Fiscal Year 2021
Results

直近の決算資料を見ると、株式報酬費用が売上高の7%に達しています。参考までにアマゾンを計算してみると、売上高の2%でした。アリババの値は非常に大きいです。

ただし、この7%という数字は、まだマシになった方で、過去を見ると2018・2019年では、売上高の約10%もの株式報酬費用を計上していました。

アリババ過去の売上高

アリババ過去の株式報酬費用

Alibaba FY 2020 Annual Report

株式報酬が大きくなると何か問題があるのでしょうか。株式報酬では株式を発行して社員に渡すことになるので、発行株式数が増えます。従って、"1株当たり"の利益・キャッシュフローが小さくなってしまいます。(※稀釈化)
これが株主にとっての株式報酬に対する”費用”になります。

キャプチャ

キャプチャ

アリババは自社株買いも行っているのですが、並行して株式報酬の形で株式を発行しているので、トータルでは発行株式数は増加しています。

アリババ株保有者としては、株式報酬というインセンティブの仕組みのおかげで、社員が自分自身・株主のためにハードワークすることによって、今のような高い成長率を維持できるのであれば良いと思います。ただし、株式報酬のコストも株主は負わなくてはいけません。

以上、アリババ社員がハードワークしてくれる仕組みとしての株式報酬の話でした。では、また。

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