スライド3

ストリートマジックの始め方

 この章では、ストリートマジックの始め方について解説する。
 私がそうやったという理由で、クロースアップでのストリートマジックを紹介するが、50人や100人を集客してから演じる大道芸スタイルで行うという方法も、もちろんある。私は、そういった集客をしたことがないので、何も助言することはできないが、ただその人数が多ければ多いほど、集めるのに時間もかかるし、集客の難易度も上がるようである。もちろん、1演目あたりのチップ額が大きくなるので、そういう魅力を求めてチャレンジしてみることは良いことであるだろう。
 一方のクロースアップスタイルでは、1度あたりの観客人数が少なく、つまり1演目あたりのチップ額は少ないのだが、小回りが利いて回転が速いので、1時間に1回演じられるかどうか、という大道芸と比べると、10倍の演目をこなすことができる。スケールの大きな大道芸では、1日に5回演じるのはとても大変なことと見受けられるが、クロースアップスタイルの私は、1日に50回を演じることもあった。
 あなたがどのようなマジックを上達させたいか、というジャンルにもよるだろうが、上達を目指すのであれば回数を多く重ねるほうが有効であるので、そういう点ではクロースアップスタイルの利点は大きいだろう。また、1演目あたりのチップは少ないと書きはしたが、観客1人あたりという計算にすれば、数字はおそらく逆転することになる。その理由は、クロースアップマジックというのは、ひとりひとりの観客を接客するというパフォーマンスであり、観客ひとりひとりの満足度が高いからであり、観客がチップを入れる確率が高いからである。対する大道芸スタイルでは、接客という概念はあまりないが、他の観客との一体感があって盛り上がるという要素がある。観客がチップを入れる確率は高くはないが、100人もいれば大きな額のチップを入れる人も中にはいるということで、パズドラなどのスマホ課金アプリのモデルに似ていると私は見ている。大多数の人は無料で楽しみ、少数の優良顧客がたくさんの課金をすることで、トータルとして成り立つ、というモデルである。
 大道芸スタイルは大道芸スタイルで、観客の喜ばせ方やチップの増やし方があると思われるが、ここではクロースアップスタイルでのストリートマジックの始め方について解説を行っていく。

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