スライド5

チップについて

 好きなマジックを演じて、チップまで貰えるというのは、とても魅力的な響きがあるだろう。しかし、チップの貰い方次第では、クレームも受けるし、トラブルに巻き込まれることもある。ストリートマジックに関して、各人が好きな方法で好きな時にやっていれば、基本的にはマジック業界にとってプラスの結果に繋がると私は思っているのだが、唯一マジック業界にマイナスの影響を与える可能性があるとすれば、チップの貰い方になるだろう。
 チップの貰い方次第では、「あそこを通ると絶対にお金を取られるんだ」というような悪評に繋がったり、そのような悪い思い出を持つ観客が、別のマジシャンに「マジシャンなんて守銭奴だらけだ」というような雑言をするようなことに繋がったりもする。最悪のシナリオを想像するならば、チップを払わなかった観客をストリートマジシャンが追いかけて言い争って傷害事件を起こしたというようなニュースが放送されれば、マジシャンという職業の全員が、仕事を失うことにもなり兼ねない。
 ここまでの展開になることはさすがにないとは思うものの、マジックというエンターテイメントの楽しさを一発で覆すほどの嫌な思い出になり得るのが「不本意にお金を取られた」という経験である。せっかく、マジックが楽しいものだと伝えたくてやっている活動が台無しにもなるし、逆にマジシャンは最低の人種だと言われる可能性さえある。チップを貰うまでがエンターテイメントだと思い、観客を嫌な気持ちにさせないよう、自発的に良い気分でチップを出してもらえるように、マジシャンは心がけなければならない。

 この章では、日本人に馴染みのないチップについて、解説をするとともに、クレームの出ないチップの貰い方などを紹介する。

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