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現場で愛用されるマジック

 ルーティン構成の方法は前の章ですでに述べた。
 この章では、私たちや他のマジシャンが実際にテーブルホッピングに取り入れている演目を紹介していく。
 前章で紹介したオススメマジックの特徴を多く満たす演目ばかりである。

 最初はここに記載したルーティンをまるまる演じるだけでも十分効果は得られるし、それで良いと思う。私もそうやって現場経験を積んできた。
 そうして経験を積みながら、次の段階としては、独自の考えのもと、独自のルーティンを構成できるようになることが望ましい。
 是非、オリジナルの手順を組む上での参考にしていただければ幸いである。


インビジブルデック

 観客が自由に思い浮かべたカードだけが、デックの中で裏返っているというマジック。
 道具を調べさせることができないという欠点はあるが、観客にカードを引かせることなく、思い浮かべるだけで当てることができるという現象は、カード当ての中でも最大級のインパクトを持つ。
「あなたがそのカードを選ぶことは最初から決まっていました」
という予言的演出や、
「今からあなたの心を誘導します」
というメンタリズム的演出、
「おっしゃったカードだけを裏返してみせましょう」
という念力的演出など、演出方法が幅広い上に、現象自体はギミックが起こすために、マジシャンの作業負担が低いというように、多くのメリットがある演目である。

 スタンディングでも演じる事ができ、演技の中でリセットができる点も、大きな特徴と言えるだろう。
 ギミック任せのマジックは二度続けて演じる事ができないものが多い中で、インビジブルデックは、二度続けて現象を起こすことができるという強みもある(演出は同じではいけない場合もある)。
 また、一度に複数枚裏返すというように、現象面でも広く応用が可能な演目である。

 実際に、私も大人数のテーブルの時やアンコール時に愛用しているので、少し紹介しておく。
 大人数に演じる際は、1人目の観客にカードの色(赤・黒)を決めて、次の観客を指名してもらう。2人目の観客には、その色の中でマークを決めて3人目の観客を指名してもらう。3人目は偶数か奇数を、4人目はその中から数字を決めてもらう。
 このように、1枚のカードを決定するために4人もの観客を参加させ、しかも観客に次の人を指名してもらうことで、大人数を巻き込んでの演技が可能になるのである。

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