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はじめに 1章:レイジーマジシャン 2章:王様の絨毯 3章:探偵物語 4章:AとKの出現 5章:モンゴリアン・クロック 6章:クイック・アズ・ア・ウィンク 7章:あなたは赤いカードを選ぶ 8章:ブラインド・ダイス 9章:ささやくジョーカー 10章:ネーム・ザット・カード おわりに
原作者はじめに この『超初心者のためのカードマジック入門』に目を向けていただいてありがとうございます。 昨今の巣ごもり需要もあって、マジックを学びたいという人は、若者を中心に急増しているようです。 特にカードマジックは、いつの時代もマジックの花形です。 そんな花形のカードマジックを超初心者のあなたが演じるために、本書を制作しました。 はじめてトランプを触るような、正真正銘の『超』初心者ができるマジックとは、どんなマジックなのか。憶えやすくてウケるマジックとは、どの
『レイジーマジシャン』とは『怠惰な魔術師』という意味の言葉です。 マジシャンはただ指示をするだけで、お客様が全ての操作を行い、そして、お客様自身が覚えたカードを当ててしまうところから、このタイトルで呼ばれています。 マジシャンが秘密の動作を一切行うことなくカード当てが成立するという、とても不思議なマジックです。 現象 このマジックでは、全ての操作を観客が行います。 よくシャフルしたデックから10枚のカードを使います。そして、その10枚を見て、好きな1枚を心に決めま
『王様の絨毯』という名前は、マジックの現象に由来する名前ではなく、そのマジックを『見立て』として紡がれる物語に由来する名前です。 物語の中でマジシャンは、中東を旅しながらペルシャの市場でお気に入りの絨毯を見つけます。ところがその絨毯は、とても由緒ある高価なものでした。マジシャンは、ペルシャの商人に言いくるめられて、半信半疑ながらも、高い金額を支払って絨毯を買ってしまいます。 その絨毯を折り畳んで日本に持ち帰り、自分が演じる舞台にそれを敷こうと再び開いたとき、ついにマジ
物語性のあるカード作品は数多く存在します。 その中で、KまたはJを『探偵』に見立ててカードを当てるという演出も一ジャンルでしょう。 時には犯人を捕らえたり、また別の時には意中の人を見つけてきたり。 カード当ての演出として、『探偵』というキャラクターが頻繁に登場するのは、シャーロック・ホームズのような、あるいは、松田優作のような、そんな探偵の世界観が愛されているからだと言えるでしょう。 この『探偵物語』では、町のどこにいるかわからない『あなた』を、マジシャンが雇った
『AとKの出現』は、その名の通りの現象です。 マジシャンの指示通りにお客様がトランプを配っていくと、なんと、それぞれのトランプの束の一番上から、4枚のA(エース)が出現するではありませんか。 マジシャンはほとんどカードを触りませんから、お客様にはとても不思議に見えます。 これだけでも驚きですが、このマジックはこれだけでは終わりません。 まずは実演動画をご覧ください。 現象 1デックのカードをお客様に、4つのパケットに分けてもらいます。 そして、1つのパケット
これはトランプを時計に見立てた、物語性のあるマジックです。 かつてジンギスカン率いるモンゴルの民は、他の部族と時間を示し合わせるためにトランプを使っていました。 草原に撒かれたトランプに風が吹くと、時刻を示す札だけが残るというのです。 そんなおとぎ話になぞらえて演じるマジックが、この『モンゴリアン・クロック』です。 現象 1デックのトランプから、13枚のカード(♦A~Qと♠A)を抜き出し、時計を模して配置します。 お客様に、1時~12時の中で好きな時間を決め
この『クイック・アズ・ア・ウィンク』という題名は、「瞬きする間もないほど素早い」という意味合いの言葉で、マジシャンが目にも止まらぬ速度でお客様のカードを捕まえてしまうことに由来した名前です。 カード当てのマジックはたくさんありますが、その中でもカードの出し方が取り分け鮮やかに見えるのが、このマジックの特徴でしょう。 カードの出し方だけでも、覚える価値のあるマジックだと言えます。 現象 1デックのトランプをお客様に半分に分けてもらい、その半分をシャフルしてもらった上で
カード当ては、たくさんのやり方がありますが、ただ当てるだけではなく、演出も重要です。 一般の人に最も効果的なのはメンタルマジックとしての見せ方でしょう。『透視』『読心術』『心理誘導』といった具合です。 その中で、この『あなたは赤いカードを選ぶ』は『予言』という現象になります。 自由に選んだはずなのに、必ず赤いカードを選んでしまう、というものです。 現象 6枚のカードを裏表交互に並べます。 また、予言だと示した上で、ボードを伏せておきます。 それから、見えないサ
『ブラインド・ダイス』は、サイコロを使ったカード当てのマジックです。 お客様は、サイコロの目の合計数に合わせてカードを選びますが、マジシャンはお客様のカードを当ててしまうのです。 現象 マジシャンが後ろを向いた状態で、お客様にサイコロ2個を、都合3回振ってもらい、合計4つの目を足し合わせてもらいます。 そこから、トランプを使い、サイコロの目の合計と同じ枚数目のカードを憶えてもらいます。 その後でマジシャンは振り向き、カードを受け取ります。 サイコロの目が分からな
『ささやくジョーカー』は、その名のとおり、ジョーカーのささやきによって、お客様が憶えたカードを2枚同時に当てる、というマジックです。 マジックを演じていると、お客様が1人だけとは限りません。 2人が憶えたカードを同時に当てる、というのがこのマジックの特徴です。 現象 よくシャフルされた20枚のパケットの好きな位置に、表向きのジョーカーを差し込んでもらい、ジョーカーの両隣のカードを憶えてもらいます。 そこからカードをよく切り混ぜて、パケットの半分ずつを左右のポケット
『ネーム・ザット・カード』は、スペリングトリックというジャンルで、名前の文字数を頼りにカードを当てるというマジックです。 「名前を呼ぶとカードが出てくる」というのは、とても臨場感があり、盛り上がる現象になります。 3人以上のお客様に名前を聞いてカードを当てるという手順であるため、お客様の人数が多いときに演じやすいのが特徴です。 スペリングトリック[spelling trick]・・・英語の綴りを利用した奇術、カードの名称。スペリングイフェクト[spelling ef
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 本書では、10種類のマジックの解説をお届けしましたが、いかがだったでしょうか? いずれも、テクニックをほとんど使わずに不思議な現象を演じることができる、優れた作品ばかりです。 初心者向けのマジックの前に、『超』初心者向けのマジックが必要だと思うようになったのは、長年マジック教室を運営してきた経験からのことです。 私もはじめは、初歩的なテクニックを『初心者向け』だと思って一般の方にレクチャーしてきました。 しかし、我