【百科詩典】しょうしかとしょうひしゃ【少子化と消費者】

「消費者」が、これまで述べてきたように自由を求める「個人」であるとするならば、彼ら、彼女らが、不自由の共同体であったイエから逃走したとしても、不思議ではない。その結果、伝統的な家族システムが崩壊し、結婚年齢が上昇し、その帰結として少子化が進行しているとは考えられないだろうか。もし、わたしの推論が正しければ、少子化は何か経済の不調や、社会のアンバランスによって生じていることではなく、社会の進歩によって消費化が進んだことの結果だと言うことになるだろう。

~平川克美「『消費者』主権国家まで」