【百科詩典】しゅじんこう【主人公】

すべての民話は「家族の誰かがいなくなる」(悪魔にさらわれる、壁の向こうに消えてしまう、井戸に落ちるなどなど)から始まります。
それに続くのは「それを見つけ出すことを残った家族たちは願う」です。王女さまが怪物に拉致されてしまった。王様が悲嘆にくれている、というような状況です。
その後にはじめて「主人公」が登場します。
「あなたが失ったものを私が見つけ出します」と名乗るもの、それが主人公です。

〜内田樹『困難な成熟』