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デザイン初学者のインプットの質をあげるには?

デザインを学ぶならインプットの質をあげようというテーマで、自分が今までにどのようにデザインを学んできたのかを学習方法として記事にしてみました。

デザインの学習プロセスはあまり確立されておらず、初学者にとって学びづらい分野だと思います。なので、インプットの質をあげるにはどうすればいいのか、過去の経験にもとづいて言語化してみました。

※ 以下自論です。

必要性に迫られる環境を作る

全ては勉強が必要になる仕組みを整えるところから始まります。
必要性に迫られてないタイミングで何かを学んでも、なかなか吸収できずに学習効率が悪くなってしまうケースが多いため、必要性に迫られる状態を作るのが一番良いと考えています。

必要性に駆られた際に見るデザインの視点は、得たいものが明確になっている状態なので、漠然と勉強をしている人よりもはるかに解像度高く観察しているデザインから情報をキャッチアップできると思います。
もしこれが必要性に迫られていない状態でデザインを見たとしても、何を吸収したいのか、何をデザインから読み取りたいのかが明確でなく、なんとなくデザインを眺めるだけで終わってしまいます。

そのため「デザインの何を見るべきなのか?」「インプットの質をあげるにはどうすべきか?」については、具体的に何を知りたいのか、情報の必要性を理解してデザインを探しに行く状態を作ることが大切だと考えています。

勉強ではなく、物づくりから初めてみる

情報の必要性を理解して、デザインを探しにいく状態を作ることはわかりました。
ではどのようにして、情報の必要性を理解する環境を作るのでしょうか?

その具体的な方法としては、勉強ではなく物づくりから初めてみることです。
手を動かすカリキュラムが組まれているデザイン系の学校であれば必然と物づくりを行いますが、そうでない初学者がよくやりがちなのは、ネット文献や本を読みまくり知識ばかりを入れて、手をまったく動かしていない状態です。
作品を作るスタートに立つ最低限の知識はもちろん必要ですが、作るのに必要な知識を身に付けたら、作りたいものを考えてすぐ手を動かすのが良いと思います。

最初は上手く作れない時期が続きますが、上手くできないといった壁に当たることで、自分に不足しているスキルが分かり意欲的にそれに関連した情報を取りに行こうとします。
それが情報の必要性を理解して、デザインを探しにいく状態です。

逆にいうと、今現時点で必要性を感じていないデザインの勉強をしてもすぐ忘れてしまいます。
答えを最初から見つけに行く“勉強“と、試行錯誤して気づきを得たでは「なぜそうするのか?」という根本の理解に差があり、知識の定着率に大きな差が出ると経験上感じています。

自分に不足しているスキル、必要性を感じるタイミングはデザインを作っている時に発生するため、手を動かし続けていれば必然とインプットの質も上がりやすいのではないでしょうか。

以下、自分がやってみてよかったことです。

頑張らないといけない環境を作る

具体的には以下のような環境に身を置くことをお勧めします。

・自分と同じレベルの初学者と競う
・周りと同時に発表する場を設ける
・FBをもらえる環境を作る
・コンテストに応募する

など、長期的に競う相手を作り、発表など実力の差を歴然と見せつけられるような機会を設定するのが望ましいです。
デザイン系の大学であれば作品展示会、そうでなければVivivit展やReDesignerなどのデザインコンペ、他の学生と比べられるような場への出典に向けて作品を磨き上げるのが最も成長を促進させてくれます。

最初のうちは他者との競争に勝てず、自分を見失ったりやる気を削ぐ毒にもなります。しかし、一度成功体験を積むことができれば、その自信が成長速度を加速させてくれます。

もちろん相対的な評価を追い求めるのは辛いし、幸福度が下がります。
しかし、デザインの初学者が相対的評価を気にしないというのは無理があると思います。なぜなら、実力の差が一目でわかってしまうクリエイティブの世界で、初学者である自分のスキルとの差は圧倒的だからです。

なので何者でもないうちから"自分は自分"と思わず、自分だけの道を進むのは初学者を脱出してからのほうが良いのではないでしょうか。
だから最初のうちだけは、相対的な評価を得ることに夢中になっても良いきがしています。

それが自分がプロである自信へと繋がるはずだからです。

インプットは作品を作りながら行う

インプットは作成中のデザイン物がある状態で行うことをお勧めします。
作成中のデザインがあれば、参考にするデザインを観察した際に「自分の作品に転用する」視点でデザインをインプットすることができ、観察して得た情報を抽象化することができます。この視点を作るためにも、抽象化した情報をアウトプットする先を並行して持っておくことをお勧めします。

学んだ結果どこに活かすのか?ということは重要で、インプットした事柄をすぐ活かすことのできる製作中のモノを用意しておくことが重要です。
これがないとアウトプットせずにすぐ忘れてしまうという自体が起こりやすいです。

自分の作品を磨き上げるために、多くの作品をインプットするという観点で自分はデザインスキルを磨いていました。

良質なデザインを毎日見て、手を動かすモチベを上げる

・WEBデザインならデザインの質ががある程度担保されてるものを選抜しているBookma!等
・レイアウトなら世に出ている印刷物 (印刷系は世に出てる時点でクオリティが担保されている)
・UIならDesign Systemが公開されているサービスなど

学習は継続なので、いかに毎日自分をモチベートできる環境を作れるかが重要になってきます。何事も仕組み化だと思います。
自分も良質なデザインや好きなデザインを見て、手動かして作りたい!となれるモチベーション上げを毎日行っていました。

意欲がない状態で手を動かしても得られるものは少ないですし、モチベーションを自分なりに上げられる方法を知っておくと、学習は継続しやすいですし何より吸収力も向上します。

自分の場合は、「こういうの自分でも作れるようになりたい!」という動機からモチベーションがあがっていたので、毎日作れるようになりたいものを見つける習慣がいい影響を与えていました。

身近な人が作ったデザインを参考にする

なぜ身近な人かというと、身近な人のほうが“作れる現実味“が湧きやすいためです。

身近にデザイナーがいる人や、自分よりレベルの高い学生がいる場合、デザインの作業工程やアウトプットを見せてもらって自分のデザインに転用するなどをすると、初学者のうちは特に学びになります。

UIであれば、Figmaデータを見せてもらって何でそういう作りにしているのか分解して、自分の作品に作り方を流用、またはアレンジして使用させて頂くと作り手の意図が見えて勉強になります。

他人にフィードバックをもらう

超重要なので、強くおすすめします。

人からのアドバイスは本を読むよりも記憶に残りやすいですし、デザインを見る目が養われていない状態では、自分で自分のデザインを評価することが困難です。

修正が面倒臭いな、フィードバック辛いなと思えるくらいフィードバックをくれる人は、かなりその知見に詳しい方だと思うのでフィードバック頂けてる時点でラッキーです。

フィードバックもらいにいって「凄い、よくできてる」と言って指摘の少ない人の言葉よりも、ボロカスに言ってくる人のコメントこそ素直に受け止めるべきだと思いますし、むしろボロカスに言ってくる人にフィードバックをもらにいくとより学びになる気がします。

学んだ量よりも、手を動かした量

学んで得られるものは表面的なお作法や型みたいなものがほとんどなので、後からすぐ身につけられます。それよりも、とにかく手を動かしてじゃないと得られない、経験を通した理解をすることをお勧めします。

一番お勧めは設計や見た目もお粗末なものでいいので、サービス1個作り切ることです。
下手なデザインで、ぐちゃぐちゃのHTMLとCSSを書いて、プログラミング言語でエラーだらけのサービスを作り切ってみる。それでも、サービス開発の一連の流れを理解でき、情報設計から体験設計まで全てにおいて学習できます。

特にブラックボックスになっている事柄を解明していく学習方法を自分は行っていたと思います。
この経験のおかげで浅い知識ではありますが、他職種の連携や、UIデザイナーとして考慮すべきことなどいろんな場面で活きています。

余談: 技術は武器

デザイナーとして強い人は、誰よりも手を動かしています。
自分の母校の話ですが、頭が良くて鋭くて勉強ができる人よりも、入学時から手を動かしてる人のほうが最終的にいい物が作れるようになっていくケースが多いように思えます。

よく技術は手段とも言われますが、自分は技術は武器だと思っています。
目的思考が強い反面、アウトプットしてるレベルが低いとなるとプロとしてどうなのか?という気持ちにもなりますし、自分は技術力の高さも含めて初めてプロだと考えています。

個人的には技術を目的にしてしまっても良いと思っています。
そのぐらい、技術が好きじゃないと突き詰められないですし、目的思考優先では技術に対する探究心は生まれないと考えているからです。

余談ですが、目的思考が強すぎるが故に、クラフトスキルの低いデザイナーになってしまいかねないなと危惧している自分もいます。

長々書きましたが、何かの役に立てば幸いです。
ありがとうございました。

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