見出し画像

次のステージへ

スクリーンショット 2020-03-14 9.32.27

2019年10月に静岡県掛川市にて療養型病院に地域包括ケア病棟と在宅診療部を立ち上げしました。



同年12月より病院長代行、そして2020年3月1日よりめでたくリアル院長にこっそり就任しております。同時に採用医師の1人が訪問診療をちょっと手伝ってくれたり、休日夜間帯の非常勤医師対応など24時間365日1人待機体制を脱しつつある状況です。今回は、2020年2月までの立ち上げ期の簡単な総括をしたいと思います。東京と掛川との2拠点生活を支えたり面白がってくれた、家族をはじめ仲間に心から感謝しています。 感謝の気持ちとして期間限定で頭のパーマの巻き巻きを1.5倍強化していますので、お会いの際には髪の中にツバメの雛がいないか探してみてください。

病棟と在宅との両立

スクリーンショット 2020-03-14 9.16.04


12月からは回復期リハ病棟20名、地域包括ケア病棟数名の主治医をしながら訪問診療も行う形になりました。院長業務も含め上の表のようにスケジュールを組んでいます。

頻回に病院と在宅を行き来するため訪問効率は非常に悪いですが、入院日やカンファレンスを固定曜日・時間にしてもらうことで訪問時間を確保しています。院外訪問時の病棟からの連絡はChatworkを使用することになりました。病棟に導入したところ関係する院内職種にも随時広がりました。現在は地域連携室、リハビリや検査科など利用部署は10を超え、病院自体の生産性を押し上げる嬉しい効果が得られています。

訪問診療実績

スクリーンショット 2020-03-14 9.21.08

昨年10月は医師1人、11月と今年1月にそれぞれ愛すべきスタッフが加わり病棟との兼務でありながら受け持つ患者さんは順調に増えています。10月立ち上げ当初は、訪問診療自体認知されておらず関係者に説明して回っていた頃とは隔世の思いがあります。


スクリーンショット 2020-03-14 10.54.13

基本的には依頼は断らないようにしているため患者さんの分布は16kmめいいっぱいとなっています。一番北の患者さんから一番南の患者さんまで30kmほどありますが、都心にあるような渋滞はないため1時間ほどの距離感です。

ちなみに一番北の患者さん宅の目の前に素敵な温泉があり、1日の最後に訪問すると帰りに露天風呂してからの帰宅も可能です。

スクリーンショット 2020-03-14 9.21.13

現在患者さんの紹介は、市内は訪問看護ステーションや介護事業所から、掛川市外は大学病院などの大病院から紹介してもらうことが多いです。

最近はようやく院内でも(院外ばかり広報していたので)退院時に訪問診療を依頼するケースが増えてきました。月1回院内で多職種連携会を開催(2020年3月時点はコロナウィルスのため休止中)しているのと空いた時間に関連事業所に世間話をしに行くのが広報活動になります。

スクリーンショット 2020-03-14 9.21.21

地方のため関連事業所は多くないのですが、情報共有ツールを積極的に利用してもらっています。

訪看ステーションには85%利用してもらっているのに対し介護事業所へのICT浸透は進んでいません。来年度は介護職ともさらに連携を進めていきたいです。ぜひ気軽に声をかけてください。

スクリーンショット 2020-03-14 9.21.16

立ち上げ当初3人に1人は2週間以内にお亡くなりになるような患者層でした。

現在は、ALSなどの難病も含め長期的にお付き合いする患者さんが増えています。今まで夜間に医師を呼ぶことがなかった訪問看護の皆様は非常に責任感が強く、最小限の医師コールで人生の最終段階をサポートしてくれています。もともと入院希望のある2人が入院先で永眠されましたが、80%を超える看取り率となっているのは、本人、家族、在宅チームの呼吸が揃ってきている証かなと感じます。

OUR VISION

スクリーンショット 2020-03-14 10.28.24

訪問診療も土台ができてきたために今月から在宅チームでvisionの共有を始めました。

もともとフレームワークを利用した変革推進は経験がなく手探りでの進行です。世界でも高齢化のトップを走り続ける日本の地域医療がきっと地域や国を越えて役に立つことがると、世界の地域医療モデルとなることをvisionに掲げました。しかしチーム内でも世界でどのように自分たちの医療が役立てるのかイメージでいないとの反応でした。

地域医療を担いながら自分たちの医療や介護が世界でどのような意味を持つかを考えるのは、この立ち上げ時期から持つべき視点と個人的には考えています。

3年後の姿を共有したのちに3ヶ月後の目標をチームで意見を出し合いながら組み立てていきます。定期海外研修も盛り込みました笑

スクリーンショット 2020-03-14 9.20.43

地域にオープンな病院を築く上で在宅診療部で担う部分は大きいです。病院の一員として大切にしたいことも共有しました。

当院は病床数で言うと地域の6割、訪問診療患者も含めれば地域高齢者の大部分に関わる病院になっていきます。ビジネス的な要素も入ってしまいますが、大きく地域シェアを獲得することで街ぐるみでのヘルスケア提供も可能になります。

またそこから訪問診療に関しては、現在の診療報酬よりも半分以下の単価で良質なサービスを提供、社会保障依存度を下げ持続可能な体制構築につなげます。それを支えてくれるチームのみんなは、地域の宝です。共に成長し楽しみながら地域医療の原動力として活躍してくれることでしょう。

そして最後に一番大切で、なかなか一歩を踏み出せていないのが地域との対話です。

どんなに素敵な医療システムも、その価値を決めるのは地域です。常に地道に地域と対話し求められる医療とあるべき医療の歩み寄りをサポートします。この地道な一歩一歩が、地域や国を越えても柔軟性を持って日本の高齢化に対する知見を共有する鍵となると考えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?