ビジネス初心者とゾウリムシ
おいら、人間だい!動植物と一緒にするな!と叱られそうだが、まあ話を聞いてください。
ビジネスの初心者を弱者というのなら、多くのビジネス初心者(という人間)は、他の生物のセオリーに反した行動を取っているのかもしれません。
条件の良い所は競争が激しいものです。
小さな角のカブトムシ(→)だって、他のみんなと同じようにゆっくり寝ていたいだろうし、何も好き好んで真夜中に行動したいわけじゃあないと思うんです。
でも、明け方近くなったら、恐い怖い大きな角続がぞろぞろ現れます。
だから、時ずらしのニッチ戦略を選ぶのです。
もし、ビジネス初心者や後発参入者が『弱者』であるとするならば、強者がぬくぬくとゴロついている条件の良いところでなんか勝負を仕掛けたらダメです。
いや、ダメとは言い切れないけど、十中八九ナンセンスです。
弱者にとってのチャンスは恵まれたところになんかありません。
いつだって、やや条件の悪いところに転がっています。
つまり、「ずらし戦略」(≒ニッチ戦略)というのは、やや条件の悪い所に移ることなのです。
なのに、なにゆえ「初心者のボクでも通用するような条件の良いビジネスを教えてください」などと寝ぼけたこと(笑)を言っている人がいたりするのでしょうか?
私は優しいので、「んなもん何処にもありません」と丁寧にお答えします。
初心者だからこそ、誰もが選択しないような過酷な環境にあえて身を置いて経験を積むべきなんじゃないでしょうか?
これが「ずらし戦略」の本質だと私は思います。楽することが「ずらし」じゃないんですよ。本来は。
こんなことを言うと嫌われそうですが、そんなにたいそうなことでもなく、誰でも経験していることです。
たとえば、満員電車に乗るのを避けて、何本か早い電車に乗ることだってあるじゃないですか?
あれと同じ感覚です。「ずらし」というのは、あの感覚をビジネスの現場に持ち込むイメージです。
で、経験を積んで慣れてくるにつれ、徐々に楽に戦える場所や時を見つけることができるようにもなっていくんだと思います。
原則、ナンバーワンしか生き残れないのが生物の競争現場です。
ゾウリムシとヒメゾウリムシを一つの水槽で飼うとどうなるか?
水やエサはたくさんあるのにもかかわらず、ヒメゾウリムシだけが生き残り、ゾウリムシは無残にも駆逐されてしまうのです。
こんなふうに自然界ではナンバー2というのはあり得ません。
ナンバー2というのは滅びゆく存在なのです。
でも実際に自然界を見渡すと多種多様な生き物が彼らなりに暮らしています。ナンバー1しか生き残れないはずなのにどうして?
実は、ゾウリムシの実験には続きの物語があるのです。
ゾウリムシの種類を変えて、ゾウリムシとミドリゾウリムシで同じ実験をしてみると、見事一つの水槽の中で仲良く共存したのです。
一体どうして?
答えは単純なもので、本来ゾウリムシとミドリゾウリムシとは棲む場所やエサが違うからです。
ゾウリムシは水槽の上の方に棲み、大腸菌などを大好物としています。
一方、ミドリゾウリムシは底の方に棲み、酵母菌を好んで食べます。
これが、生態学の分野でいう『棲み分け』なるものです。
ところで、この『棲み分け』という生態学用語が頻繁に使われている異分野があります。それが経営戦略です。
そう、ニッチ戦略とは棲み分け戦略のことなのです。
弱者(ビジネス初心者)はまず、強者(リーダー)が支配している環境を把握することに努めるべきです。
次に、その環境の中で「共生」するのか、『棲み分け』るのかを検討します。
さらに、どのように『棲み分け』ていけば良いのかを泥臭く探すのです。
もちろん、場合によっては『棲み分け』ではなく、「共生」するという選択肢もあります(機会を改めて話します)。
いずれにせよ、初心者、後発組と呼ばれる人たちは、ただ業界の指導者的なリーダーに言われるがままに追従していたのではダメです。
その環境で、彼ら(リーダーたち)が何を意図しているのかしっかり観察することを怠ってはいけません。
つまり、初心者に求められる能力は、まず第一に環境を把握する観察力なのです。
そのうえで、リーダーたちと組むことが出来るのか?(=共生)
いやいや、そんな甘くはない。だとしたら、彼等とは違う、どんな「ずらし戦略」を選択すべきか?(=棲み分け)
これが、ほとんどのビジネス競争市場、とりわけ私自身が直接関わってきたインターネットビジネス市場の現実である、
そんなふうに私はとらえています。
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