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蚊取り線香を置く石

左足の親指が気になる。キャンプの途中で小刀を落としてしまった。親指に。それで少しだけ血が出たから絆創膏を貼っている。それで十分くらいの傷だ。痛くもない。準備をしていて間違って落としてしまった。ゴミを捨てようとして間違えて右手のスマホを投げてしまうみたなノリで。大したことなくてよかった。でも気になる。

本を開いても文字がいまいち入ってこない。気になるときは何か書くことにする。今日はキャンプに来ている。奥多摩のキャンプ場だ。

テントをたてて火をつけてとりあえず食べる準備。あまり難しいことはやらないように。虫よけのスプレーを振り撒いて、蚊取り線香をつける。煙がうまく舞い上がるようにそこら辺の枝に蚊取り線香を添えてみる。なんとか自立した。石は自由に使えるから、その辺の平たい石を敷いた。少し大きな石を集めて重ねて薪を真ん中に並べる。火をつけて料理を始める。鶏肉と牛肉を持ってきた。

料理が焼けるのを待ちながら小刀で木を細く切っていた。薪に使う針葉樹の一つを削って箸を作った。削っていると木片は丸く細くなっていく。刃は平たいので、丸いものを削ると角が二つできる。角が気になってどんどん削ってしまう。一回削ると二つ角が増える。また角を削る。その繰り返し。

鶏肉の見ると丸焦げになった。いつもはいい感じだったけど、鉄板を敷くのを忘れて直火になっていた。鉄板の上に鳥を載せて、ホイルで包んで焼くとおいしく仕上がるから。でもざらめが持ってきた牛肉はよく仕上がった。ローストビーフに。今日は2人でキャンプしている。横をみると、蚊取り線香は灰になってもまだ巻き付いている。椅子に座って少し休む。日記を書き始める。

言い回しは難しい。書きなれないけど書くのは楽しい。横を見ると蚊取り線香はもうすぐ燃え尽きそうだ。くるくるまいてある最後の一巻き半くらいのところまで来ている。一本の木片にただ挿してあるだけなので、最後の一巻きくらいのところで石の上に落ちるだろう。

書いていると管理人に話しかけられた。テントから離れた場所にいるから、日帰りの人と間違えられた。画面から顔を上げた。キャンプ場に戻ってきたような感覚になった。

夕方になって涼しくなってきた。川沿いだから風がゆっくり流れている。買い出しに行ったざらめが戻ったら、そろそろご飯作るから準備しよう。蚊取り線香も新しいのに付け替える。この辺で書き終わろう。やっぱり、書いている時は足のことは気にならなかった。

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