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ICTを活用した家庭学習(宿題)の提出管理をやめた話。その場でマルつけ、インタビュー、フィードバック。

以下、X連続ポストをnote記事の形式にリライトしたものです。



教師の役割とは? 気づきと実践の変化

こんにちは、小学校教員のささです。これまで、ICTを活用した様々な実践例を発信してきました。

しかし、今年、ある思いがあって実践をやめたことがあります。今回は、その経緯と新たな取り組み、そして見えてきた課題について綴りたいと思います。

やめたこと→スプレッドシートによる宿題管理

私がやめたのは、毎朝の宿題チェックを効率化するためのスプレッドシート管理です。

私は以前、宿題の提出状況を可視化できるスプレッドシートを開発しました。

実際、私のnote記事の中で最も読まれているのがこの記事です。一年近く経ちましたが、最も多くの方に問い合わせをいただいています。

学級担任を悩ませる提出物管理に新提案。簡単入力フォーム&GASで未提出者リストを自動作成。 データを児童と共有して自己管理を促す仕組みづくり


わたしはこのツールを家庭学習(宿題)の提出状況を管理するために使用していました。提出状況が可視化され、一覧化することで状況は一目で確認できます。また、児童別のスプレッドジートで各自の状況も各自で確認できるため、提出しているかどうかの視点でいえばかなりよくできたツールと言えるでしょう。 

しかし2年ほど使った今、振り返ってみると、それは提出したかどうかの真偽を全体的に把握するためのツールであって、本当に子どもの学びの状況を見取れるツールではなかったのかもしれない。という考えに至りました。

「教師が家庭学習の取り組み状況を管理すること」よりも「児童がどのように家庭学習に取り組み、どんな学びが得られのか評価し、フィードバックすること」の方が本質的な教師の役割ではないかと思ったからです。


新たな取り組み→対話を通じた学びの深化


代わりに始めたのは、とてもシンプルな方法。

朝、教室で待ち構えて、宿題を持ってこさせます。一人ひとりの成果物に目を通し、その場で丸付けし、すぐにフィードバックの一言を伝えるというものです。

どんな家庭学習や自学ノートが返ってきたかということです。「やってみたどうだった?」「どんなことを頑張った?」「やってみてどんな学びがあった?」とインタビューします。

その場でマルつけ、その場でインタビュー

この取り組みを2ヶ月ほど続けたところ、子どもたちが自分の学びを言語化して振り返ることができるようになってきました。子ども自身に毎日の学習の取り組みを言語化させ、その取組の良さを教師が価値づけできるのです。

もちろん、教師である私も、わずかな時間でで良いところを見つけ、ポジティブな言葉で価値づけすためのスキルが鍛えられるようになってきました。

他にも見えてきたメリット

  1. 毎朝、全員の子どもと会話のキャッチボールができる。

  2. 子どもたち同士で宿題をチェックさせる必要がないので、誰が忘れたかといった余計な情報を与えなくて済む。

  3. 朝のうちに全ての宿題をチェックできるので、急な用事が入っても余裕を持って対応できる。

  4. 子どもたちとゆったりした会話を楽しみ、雑談の中から児童理解を深めることができる。

  5. 結果、学級経営にもよい効果がある。

振り返り→管理から関わりへ

学級経営を複雑にしてしまったのは、管理的な経営視点で物事を全て見ようとしてしまった自分だったのかもしれません。

「宿題は毎日必ず提出しなければいけない」というトラワレ(囚われ)から抜け出し、「宿題だってできない日もあるよね。できるときに頑張ろうぜ」という声かけで救われる子どもたちもいるはずです。

これからの課題→そもそもの宿題の在り方を再考する

一律に同じ課題を全員にまとめて出すという視点の宿題を、思考停止で課し続けることはどうなのだろうか。もう一度、組織全体で話し合う必要があるのではないか。そう思うようになりました。

そんなタイミングで、勤務校の学力向上担当の先生から「宿題の捉え方を校内でもう一度協議しよう」という話題があがりました。

理想の家庭学習について職員で協議し合う

やったかやらないかだけの家庭学習ではない。そもそも学校として家庭学習や宿題をどのように子どもに課すのか、またどういう目的で課すのか、探っていきたいところです。まだ協議は始まったばかり、在り方を考えるのも教師の役割なのです。

皆様のコメントお待ちしております。

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