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保護者サイド・学校サイド両面から負担を減らした欠席フォームの在り方を探る

「負担を減らした欠席フォーム」を探る


 実際、多くの学校においても欠席フォームを活用している学校も多いと思います。私の勤務校でも2年ほど前から導入を行なっています。以下にも挙げましたが多くのメリットは使用していて感じますし、もう電話と連絡カードに戻ることはないでしょう。
 しかし近隣校のフォームやインターネットで紹介されているフォームなどそのつくりをよく見ると、まだ改善の余地があるのかなと感じます。ひとまずの欠席フォーム導入は落ち着いた今だからこそ、回答者・閲覧者・管理者それぞれの視点で「負担を減らす」をキーワードにして「欠席フォーム」を探りたいと思います。

学校における欠席フォームのメリットとは?


 今更な感じですが、学校で児童の欠席情報をフォームを活用することには、以下のようなメリットがあります。

  1. 効率的な情報収集: フォームを使用することで、教師やスタッフは手動で欠席情報を集める手間を省くことができます。児童が欠席した際に、保護者がオンラインフォームを使って簡単に情報を提供できるため、情報の収集が効率化されます。

  2. 正確な情報: オンラインフォームは情報を正確に収集するための良い手段です。手書きのメモや口頭での伝達よりも、保護者自身が情報を入力するため、情報漏れや誤解が少なくなります。

  3. 記録の容易さ: オンラインフォームを使って欠席情報を記録すると、デジタルデータとして集約されます。これにより、過去の欠席履歴を容易にアクセスし、トレンドやパターンを把握することができます。

  4. タイムリーな通知: フォームによる欠席情報提供はリアルタイム性が高いため、教師や学校スタッフはすばやく欠席に対処することができます。これにより、学習の進行や教育プランの調整がスムーズに行えます。

  5. 保護者とのコミュニケーション強化: オンラインフォームを通じて保護者と連絡を取る機会が増えます。保護者は欠席情報を提供するだけでなく、疑問や懸念をフォームを通じて共有することもできます。

  6. データ分析と予測: デジタルデータとしての欠席情報は分析に活用できます。特定の児童の頻繁な欠席パターンや傾向を特定し、早めに介入することで学校の出席率を向上させることが可能です。

  7. 環境への配慮: オンラインフォームを使うことで紙の使用を減らし、環境にやさしい取り組みを促進できます。

  8. 非同期コミュニケーションによる恩恵:電話と比べて対応する手間もありません。教師の働き方の改善といえます。また、夜中でも明け方でも連絡ができるため保護者にとっても便利なツールになります。

これらのメリットにより、学校で児童の欠席情報をフォームを活用することは、効率性、正確性、コミュニケーション強化、データ分析、時間短縮など様々な側面で良い影響をもたらすことにつながります。


回答者(保護者)視点での「負担を減らす」フォームとは?

 教員が楽をするために保護者の負担が増えてしまうような設計ではよくないです。もちろん、教員の負担が減ることは望ましい未来ですが、そのために保護者の手間が増えてしまったら「電話でいんじゃない?」につながってしまいます。保護者サイドの負担を減らすことはとても大事な考え方です。保護者と学校両方がメリットを感じることができる運用にしたいですね。

短時間で回答できること(タップ数、クリック数が少ない)

 そもそも、自分の子どもが学校に行けないという状態自体が保護者にとって手間のかかる事態であり、その忙しい状態で入力に手間取るようなフォームになってはいけないと考えます。以下には負担を感じる質問項目と保護者サイドの気持ちを列挙していきます。

  • 姓名で分かれて入力する→そもそも分ける必要ある? 

  • さらに漢字とカナで分けて入力する→文字の切り替えメンドクサイ、というかこれ必要ある?

  • 電話番号の入力を求められる→4月に連絡先書いたんだからそれ見てよ!

  • 出席番号→教師じゃあるまいし、すぐに思い出せない

  • 日付の入力→「年」「月」「日」って。ほとんどスマホで回答するのメンドくさい

  • 保護者名→このフォームのURL自体がメール配信で案内されたURLなんだから親のスマホから入力した時点で必要ないでしょ。

本当に必要な質問項目のみにしぼることは大事ですね。また、スマホで回答することが想定されるためPCのブラウザで回答しやすくてもスマホでの回答画面はどうなるのか確認しておくべきですね。ちょっと話はズレますが、教育行政機関からよくよく書式で指定される「神エクセル」みたいな超絶入力しにくいものを思い出していただければよいでしょう。

基本は「回答者ファーストの原則」です。

事前に回答できること

「当日のみ入力してください」と制限があるフォームもあるようですが、これも保護者にとっては負担が大きいですよね。前日の夜に熱が出たらその時点で入力できるとよいですよね。また明日から5日間休みということも想定されます。事前に回答できるだけで家庭としては随分負担が減るのではないでしょうか?

急に熱が出てバタバタしている家庭が入力するフォームということを想定しましょう。どんな配慮ができそうですか?


閲覧者(学校の先生)に負担のないフォームとは

見たい情報が整理されていること

 担任としては、自分のクラスの誰がどういう理由で欠席なのかが一目でわかること、何か欠席する日に規則性や法則性があるのか知りたいとことです。また管理職や養護教諭としては、その日の学校全体での欠席者名や人数・理由などが速報値として確認したいですよね。
 知りたい情報ごとに整理されたり、さらに欠席なのか遅刻なのか早退するのか視認しやすいよう整理されたシートになっていると閲覧する負担が減ります。


管理者(主担当)に負担のないフォーム(スプレッドシート)とは

毎日メンテナンスなし、ほぼほぼ自動化で運用できること

 例えば欠席する日付をプルダウンにして一週間先の日付まで選択できるようにするということを実装するために、毎日放課後にプルダウンの選択肢を手入力で更新していたら、この担当者の仕事は相当負担ですよね。また作業が属人化してしまうことでこの担当の先生が不在の時には選択肢が変わらないまま次の日を迎えてしまうことになってしまいます。

 またその日の欠席者のみをフォームの回答が集まるスプレッドシートのオートフィルターで抽出して欠席者データ一覧の書き出し(プリント)を行うという作業が発生していたら負担ある仕事といえそうですよね。

上に挙げた例などはGoogle Apps Script(GAS)を用いることで自動化することが可能です。先人の知恵がインターネット上にはたくさん散りばめられたいます。またchatGPTなどのAIを使うことで自分自身でプログラムのコードを書かなくてもなんとかなるケースがあります。

次回の記事は私の勤務校で実際に運用しているフォームや閲覧用シートを紹介しながらテクニカルな部分をお伝えしたいと思います。


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