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松井市長の水道料金値上げ方針に見る、水道民営化論の自己矛盾

たいへん素晴しい水道料金の基本料金免除

令和4年4月27日、松井一郎・大阪市長は水道料金の基本料免除を打ち出しました。


理由は目下の物価高で家計が苦しいところを支援しようという意図を説明しておられます。
これ自体は大変素晴らしい取り組みで大賛成です。
個人的には電気料金も大阪市は関電の大株主なのですから、掛け合うことで、「請求書をこちらに回せ」と、
市民の電気料金を大阪市が建て替え払いをすることで、軽減策などもできるのではないか?と思っていました。
夏場クーラーを無理してケチって熱中症でお亡くなりになっては大変でしたから。

ともあれ松井市長のこの水道料金減額策は手放しで褒めたいと思います。すばらしい!


半年と経たず水道料金値上げ方針発表

ところがです、令和4年9月28日、松井市長は真逆の施策を打ち出します。
「水道料金値上げ方針」です。

あまりにも安易に水道料金値上げを言いすぎではないでしょうか?
4月時点と全くもって家計の置かれた状況が変わってるとはいいがたく、皆さん苦しいはずであり
安易に水道料金値上げを言うのは矛盾しているのではないでしょうか。
4月に語っていたことはなんだったのでしょう?


4月に発表の減額は、令和4年8月分から10月分までの水道料金の基本料金を免除というものでしたが
6月22日公示、7月10日投開票で参議院議員選挙が行われたことは記憶に新しいかと思います。

選挙狙いの公金使ったバラマキでしかなかったのか?選挙が終われば市民生活に寄り添うことはしないのでしょうか?

そういううがった見方もしたくなる話です。

松井市長はもっと庶民の暮らしに寄り添っていただきたい。
他に削るところあるでしょう?

水道料金値上げの理由としてコンセッション方式の頓挫を挙げる松井市長

この方針に至るには経緯があります。

読売新聞
水道管交換の民営化「採算取れない」と業者辞退、大阪市「一から見直し」

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211001-OYT1T50097/

政令市で水道管の老朽化が最も進んでいる大阪市で、来年4月を目標に水道管交換事業を民間移譲する計画が頓挫したことがわかった。市の公募に応じた事業者2グループが9月、いずれも採算が取れないとして辞退した。全国の市町村に先駆けて水道事業を民間移譲するコンセッション方式を導入する試みだっただけに、他の自治体の動きにも影響を与えそうだ。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211001-OYT1T50097/

日経クロステック
全国初の水道管更新PFIが頓挫、応募2グループが相次ぎ辞退

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01119/

20年4月に実施方針を公表し、10月に公募を開始。受付期限の12月までに応募した2グループと数回にわたって意見交換をした。しかし、事業提案書の提出期限を約2カ月後に控えた21年9月上旬、両グループから辞退の申し出を受けた。

市は公募に際し、16年間の事業費総額の上限を3750億円と設定。応募者には、この上限額を下回る事業提案を求めた。しかし2グループは、「掘ってみなければ分からない」という施工リスクを抱える中、市の提示した金額では事業を遂行できないと判断したようだ。松井市長は21年10月1日の会見で、次のように語った。

「事業者が見積もりをしたら、何千億円と大きな金額になる。でも、人件費や材料費を考えれば、本当に採算ぎりぎり。地中から何かが出てくれば、その対策費が非常にかかる。もし赤字が出た場合も(金額が)大きいという中で、二の足を踏むことになったのだろう」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01119/

老朽水道管の交換事業を、水道局の仕事から切り離し、民間会社に長期契約で頼むということを考えていたのですが
公募に応募した2社ともが撤退し、頓挫したというのです。
こんな値段、条件ではできませんとなったわけです。

それを受け、松井一郎・大阪市長が今回水道料金値上げを示唆したのです。

そもそも民間委託でメリットはあるのか?

今回、民間なら安くなるとして安い値段で制約かけて公募かけたわけですが、業者が実際に見積もるとそんな安い話で受けられるものではないと民間撤退となったのですが
そもそもの問題として、民間なら安くあがるということに根拠はあるのでしょうか?

大阪維新の会の政策として、大阪市はずっと今回の水道管更新事業のみならず、水道事業自体を民営化したがってきております。民間に何十年契約で預けようというのです。
そうすれば安くあがってお得であると主張し続けています。

水道事業というものは、その地域の水道業務を一手に請け負う独占事業であり、競争原理が働いて…とかそういう類の事業とは言えません。
民間水道だからというメリットがいまいち見出せません。
ある意味、民間水道でできるなら、同じことを公営でやればいいだけなのです。

過去の大阪市会の議論で、ビジネス展開を民営化したらできるという主張が推進派からありましたが
実際には平松市政当時から官民連携でベトナム・ホーチミンの水道事業にビジネス展開をしてきた実績がありますが、別に「公」のままでできる話でしかありません。
いったい「民」でなければならない事業とはなんなのでしょうか?
きちんと水道を公で維持したうえで、できることではないでしょうか。

逆に分かりやすいデメリットもあります。
民間会社でありますから、普通に税金を徴収されます。
税金には大阪府の法人府民税、大阪市の法人市民税だけではありませんよね?
国へ納付する国税があるわけです。つまり、大阪府外、大阪市外へ国税を通してお金が流れていくことになりますから、むしろそこはコスト面でマイナスでは?

民間企業ともなると、役員報酬などもありますね。
公営なら必要の無かったコストが発生する面もあるのです。

これを見て違和感抱きませんか?

平成26年水道事業民営化基本方針より

「現状」では資金余剰、つまり黒字で金が残っているのですが
民間委託後は、給水収益がまるまる運営会社に移る一方、そこから「法人税、利益等」まさにさきほど私が指摘した民営化で発生するコストで取られ、
余りを「運営権対価」として市は分けてもらう形です。
給水収益は運営会社へ奪われる一方、過去の債務(地方公営企業にあたるので企業債)は市側に残り、「企業債償還」として、「給水収益から」でなく、そこから一部を分け前もらうことになる「運営権対価」から市側は払わねばならなくなります。
「資金余剰」は消えてしまっています。



もうひとつ、重大な民営化リスクとして、市の持つ水道ノウハウが失われるという面があります。
20年とか30年とかの長期契約となると、大阪市水道局の持つ高い水道経営ノウハウは失われます。
一度民営化したあと、「また公営で」とは簡単にはいきません。
「一度試しに民営化」とはいかず、その後は民間水道会社依存するほかなくなることが懸念されます。よくよく慎重に判断する必要があります。

私は水道民営化は百害あって一利なし、水は公の責任でもって堅実に維持管理すべきものと考えています。
命の水を水ビジネス大手、多くは海外資本のいわゆる「ウォーターバロン」とか「水メジャー」などというものに明け渡すことに、安全保障の面からも反対いたします。

逆に日本の高度な公営水道の技術を持って、海外展開、ウォーターバロンに伍していくという前向きな展開を希望します。

少なくとも、途上国ならともかく、既に公で高度な水技術を持つ日本国には不要です。


水道事業の再公営化が注目される世界情勢

実は、近年世界でいったん民営化された水道事業が再公営化される注目事例が相次いでいます。
代表的な話がフランスのパリで、最公営化がなされたのです。
パリのような大都市で、利用者多く給水量多い都市で再公営というニュースは大きなインパクトがありました。

民営一辺倒の危険性が近年注目されてきていることは事実でしかないのですが、日本維新の会の音喜多衆議院議員はこのようなBlogを発表しておられます。

「水道民営化は世界中で失敗!」「世界の潮流は再公営化」の嘘をあばく 音喜多駿
https://agora-web.jp/archives/2041066.html

私に言わせれば悪質なミスリードです。
音喜多議員はフランスの再公営事案を「2010年~」で示し、同数が民営化もしてて、
しかも水道全体の一部であるから再公営の流れが嘘であると述べるのです。

まずフランスの民営化の流れは90年代に特に各都市で積極的に進められ30年契約とか長い流れがあります。
何故に2010年からなの?
というのがまずひとつ。

既に挙げましたように、公営水道局の技術職員も居なくなり、再公営は極めて難易度が高いので、契約更新が多くなることは想像がつく話
そんな中、新規民営化と最公営化が同数もあるということは、十二分に民営化の流れが見直されつつあるという話であります。

また、契約更新において「契約期間が短くなる傾向がある」と報告されていることも見逃せない部分でしょう。
これまで30年契約とか普通にあった話が、その危うさが認識されつつあるのです。そこに音喜多議員は一切触れていません。

実際のフランスの状況はこうなっております。

厚生労働省
海外の水道事業における民間活用の状況等について

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000508885.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000508885.pdf


上記ご覧になればわかりますが、パリの最公営化だけでなく、リールやナントでも再公営が一部なされています。

さらにここではわからない動きもあります。
大都市のボルドーでは、上水道は水メジャーの1つのスエズ・グループと1992年に30年契約。下水道は同じくスエズ・グループと1993年に20年契約でした。
下水道は2018年に契約更新されたものの、2013年の契約更新時に6年間に改められています。民間での丸投げでなく公共でしっかりモニタリングしていく方針に転換したものです。

上水道においては、2022年に契約更新があるそうですが、
「官民共同の運営体制への移行を検討」とのことで、
コンセッション契約の更新にあたっては、SPC(受託者)への公共による出資も検討し、委託料の内容等について公共で掌握していきたいとの考えだそうです。

内閣府
欧州等の水道分野における
官⺠連携制度と事例の最新動向について(2)

https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h29kaigai_suidou.pdf

https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h29kaigai_suidou.pdf
https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h29kaigai_suidou.pdf


さらに、以下のルーブシエンヌの事例は大変興味深いものがあります。

https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h29kaigai_suidou.pdf

契約更新の検討段階では、再公営化も検討の俎上に
• アフェルマージュ契約更新の前年にパリ市が上水道事業の再公営化を行っており、契約更新にあたって、当地区でも再公営化が議論に。ただし、再公営化には新規人員の確保が課題となるほか、当地においては⻑年事業を手掛ける⺠間事業者のノウハウ活用が有効であると判断されたため、本格検討には至らず

https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/houkoku/report/pdf/h29kaigai_suidou.pdf

パリの再公営化の動きを見て、再公営の道を模索したが新規に技術職員の確保が困難であり、長年事業を請け負った民間事業者が妥当となったというのです。
まさに先ほど私が指摘していた、一度民間に委ねると、技術の継承ができず、公営には簡単には戻せないという話そのままの事例です。


このようなフランスの現状を詳しく見たとき、
明らかに、音喜多議員の言及のフランスにおいては、民営一辺倒から公の関与が必要と見直されつつあります。
このような動きを知らないのか、知っててミスリードを狙っているのかは分かりませんが、あたかも民営化の問題点が指摘されつつあるトレンドを「嘘」とまで言っていることは問題があります。


公だからできることがある~松井発言から見る過去の主張とのの矛盾

今回の松井一郎・大阪市長の水道料金減免と、水道料金値上げ方針の2つの会見は、多くの示唆に溢れています。
これまで維新の主張してきた水道民営化の論理を完全に自己否定する言葉が並んでおります。

まず、大阪市はこれまで、水道民営化こそが市民利益と言ってきたわけですが、松井市長は今年4月の値下げの減免を会見で語るにあたりこう語っています。

「目の前のさまざまな物価が上昇しています。特に電気ガス料金これは2割程度上昇していますから。
で、まぁ、そちらは民間の事業者なのでねぇ。
我々が…その…民間事業者もそれぞれ企業の経営というものが成り立つかということになりますから
そちらに 我々が手をつっこむわけにはいきませんから、
同じ公共料金の中で 月々の固定経費を何とか抑えられるように、水道料金というもので
この夏のさまざまな公共料金値上げに…値上げに対して少しでも、やっぱり負担を軽減するために実施しようと、こう考えました

松井一郎市長 令和4年4月27日会見

松井市長は、今回の公共料金の緊急支援は、大阪市営水道だからできたのだといいます。
確かに民間が入らないことから即決で行いうることは公営のメリットでしょう。
当然民間委託していれば、あくまで徴収し経営しているのは民間会社であって、公が決める話ではなくなっています。


次に、9月の値上げ方針を述べる会見もまた、過去の大阪市の理屈を茶番にしてしまう言があります。
松井市長はこの際、値上げは仕方のないことと弁明しています。


「これはやはりある程度安全な水を供給するための必要なコストです。

大阪市の水道料金て他都市と比べても、非常に安価で今までやれてきてる。
これはやっぱり、それだけ、もう長い年数の中で減価償却できてきたということなる。
だから、そういう新しいものに作り替えるに当たっては、やはりある程度、できるだけ価格を抑えることはもちろんだけども、
これはもう元原価に対してのやっぱり料金に反映するというのは、これはある程度御理解いただかなければなりません。
(中略)
とにかくもう老朽化が、都市の中で一番早くから敷設したので
老朽化激しいんで。これはやり変える必要があるということです」

松井一郎市長 令和4年9月29日会見

これは過去の大阪市における水道民営化議論で、大阪市の主張に対し、民営化反対派が指摘してきた論点です。

大阪市は、このまま公営で経営を続けた場合と、民間委託した場合とでの将来にわたるコストを比較し、それを維新の会は盛んに「民営化しないと水道料金値上げになるぞ!」とことあるごとに脅しのように市民にアピールしてきました。

しかしこれは欺瞞があり、実は民営化しても値上がりする試算なのです。あたかも民営化したら値上がりしないかのような主張でしたが、それは違いました。
民間委託したところで値上げ予定で、ほんの数年の差しかなく、それだけのために民営化して公的な位置づけを失うリスクに見合うのか?という議論がなされてきました。

何故値上げせねばならないのか?ここの鍵は松井市長が少し触れている「大阪市の水道が安い」ということ答えがあります。
大阪市の水道料金は他都市と比較しても極端に安い状況にあります。水源地にある中小規模の自治体ならもっと安いところもあるでしょうが、ある程度の規模の自治体としてはトップクラスの安さを誇っています。

これの原因は複数あります。

・淀川という大水源地を持つ
・下水が合流方式で整備されてきた(現在の環境基準では分流方式が求められますが、大阪市は最初期に整備されたため、安価な合流方式で敷設されてきた)
・敷設時には国からの公金が入り、国策事業として整備されてきた大都市


等があります。
ですが、老朽化して置き換える事業は、今度は国策事業でなく自前でやる話ですし、環境基準も高いものが求められます。

淀川という利点は引き続きありますが、その他の安かった理由が失われるのですから、当然他の自治体に料金近づいていくというのは道理です。
要は「これまでが安すぎた」のです。

過去の大阪市の水道民営化案の欺瞞

この大阪市の水道民営化法指案については、当時の大阪市の水道民営化問題をよく発信しておられた太田区議の奈須りえ氏のBlogによくまとまっているので参照されたい。

大阪市水道民営化6つのメリットを検証◆水道民営化 大阪市がひっそりパブコメ中。 その4
https://ameblo.jp/nasurie/entry-11846285158.html

要は

①「民間なら水道の更新を1.5%のスピードで進められる」
②「民間なら水道料金のアップを抑えられる」
③「民間なら老朽施設の更新負担のピークを平準化できる」
④「民間なら海外水ビジネス展開ができる」
⑤「民間なら柴島浄水場を廃止して再開発に使える」


いうのですが…

①→根拠に欠ける。同じ材料費で、同じ業務をするのになぜ民間ならそんなに早くなるのですか?大阪市水道局のノウハウってそんなに劣ります?
私は水メジャーに負けない技術力があると思います。

②→那須氏が指摘しているとおり、大阪市が出してるグラフは、①の民間なら更新1.5倍早い論ありきであり、
これは今回入札の民間事業者が「大阪市の要求では事業無理」と撤退したように、大阪市側の夢見がちなありえない試算ではないのでしょうか?
また、国からの補助金を当てにして水道料金の上りを抑えているけれど、これは民だけではなく公でも得られる恩恵のはずですよね?
那須氏指摘の通りで、試算の減価償却費が公でも民でもほぼ変わらないということは、設備投資費用に差が無いことを示しています。
謎の「民なら1.5%早く仕事が進む」というのありきの理屈です。

③→公でもできます。なぜ公営のままの試算ではそれをやらずに試算するのですか?

④→公でもできます。実際にこれまでにも大阪市は商社と組んで海外展開をやりだしてたわけです。やればいいだけでは?

⑤→これの是非はそれぞれあるでしょうが、浄水場の売却はこれもまた「公でもできます」で終わりですので、なんら民営化根拠になっておりません。


…というわけでして、大阪市の出していた民営化した場合と、公営で続けた場合の試算というものは
「民間なら1.5倍速く老朽施設の更新ができる」という話が全ての根拠であり、
公営の試算には不当に「公営でも同じこと可能な要素」を組み入れず、極力ネガティブな数字を演出しようとした試算です。
しかしここまでの演出をしてなお、結局どちらでも水道料金値上げになる話で、それは数年差でしかないのです。
実際には、この盛りに盛った民間委託の数字、民間なら安くて早くという話も、
今回の民間2社の撤退で分かったように、そんな都合よく民なら安上がりで済む話ではないのでしょう。あくまで「市側の希望的観測」ではないか。


実態は、民でも公でも言うほどの差は無いのでは?
そうなると、その誤差の範囲のために、「命の水が公営であることのメリット」を捨てるリスクは見合わないと考えます。今回松井市長自身が公営のメリットを語ってくれたではありませんか。

既に述べたように、いったん民間に長期委託すれば、自治体に水道事業を自前でやるノウハウは失われます。「民間委託失敗だった、公営に戻せばいい」…とはいきません。

しかし、これまで頓挫しつづけていますが、大阪市はいまだに水道民営化を諦めておりません。

更新された
大阪市水道経営戦略(2018-2027)【改訂版】第2編第4章
でも性懲りもなく民営化に固執しております。
今後も重大な、大阪市民の生活にかかわる大きな争点になると考えられ、よくよく行政の動きを注視していく必要があると考えます。


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