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「せなか町から、ずっと」 斉藤倫

せなか町のお話。

ひねくれカーテンと町で言われる、嘗て立派だったお屋敷にかかるカーテン。風の無い時はひらひらとカーテンを揺らし、風のある時には石の様に動かない。

町の皆は、ひねくれカーテンの歌まで作り、それを馬鹿にしていた。

それは実は、体の弱いマメルダばあさんを気遣っての事だった。暑苦しい日には風もないのにひらひらそよいで、部屋の奥まで、そよ風を吹かせる。肌寒い時には、どんなにすきま風が入っても、動きやしない。

台風の日。くたびれたお屋敷の窓は
「ああ、これはだめだ。すまん」
と言い残し、嵐の庭に落ちた。

カーテンは、夜の間ばあさんを守り切り、とうとう力尽きた。ばあさんは涙し、カーテンをスカートに縫い直した。

今でも風の無い日にはひらひらと勝手にひらめくそう。

名前を落として探しに行く女の子の話。
天才カーボーイの話。
少女とその涙を狙うミツバチの話。
誰も弾き方を知らない美しい楽器の話。
箱から出ない猫を町をあげて応援する話。
この町の話。

町独特の決まり文句(マンタのせなかみたい等)もある。

大きなエイの背中に出来た町。背中は自分からは見えない。町では色々な事が起こる。


最近毎週出張をする。
昨日、お笑いライブに行った。都会は路上ライブが木霊する。皆夢を抱え、掲げている。それに進捗状況は関係なく、コアな人達を満足させている。

以前に知人が、バンドを30まで本気で目指した話を聞かせてくれた。夢を掲げ、本気でやった。毎回居てくれるコアな支援者もいた。しかし、大人の事情によって、それは閉ざされた。

色々な人が居て、色々な事がある。皆特別。

そんな話。

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