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プロの占い師でも間違える「現代科学の代入」と古代の宇宙観

最近ちょくちょく占いに関する興味が湧いてきて、四柱推命だけでなく八門遁甲、宿曜、ホロスコープ、九星気学、マヤ暦などに関してYouTubeなどでいろいろな解説や読み解きなどの動画を見たり、サイトや文献を読み漁っている、今日この頃。

自分は受けたことがないのだが、大体の占術のコーチングでは「自分に合う師や流派を選びなさい」とアドバイスを受けることがほとんどである。(さすがに強制する人は今のところ見かけない)

ただいろいろ見ていくなか、一方で「合う、合わない」以前に著名なプロの占い師でも「ある点」において「根本的な勘違い」している人が非常に多いのに気がついた。

とはいえ自分自身それほど人様に顎を突き出してアレコレ指図できるほどのたいした性分ではない。

それでもYouTubeで「これは違うなぁ」と小首をかしげられる程度くらいには道理が分かるようになったと自分では思っているので、この度は自分自身が気がついた占い師たちが陥りがちな「根本的な勘違い」について自戒も込めて記事にしてみることにしたい。

現代科学の代入

多くの占い師がやってしまいがちな間違いとは何か、それは現代の科学理論そのままに古代の宇宙観を読み解こうとしている人があまりに多いと言うことだ。

自分は四柱推命をメインにしているので、そこから引き合いにしていきたい。たとえば四柱推命において「支合」という概念がある。

この「支合」は二つの支が揃っていると、相性がいい、結びつきが強まるなど言われて相性占い等でよく用いられることが多い用語である。

詳しくは解説を調べて欲しい。その吉凶についてはそれぞれの解釈があるのだが、今回はその講釈や理論についてここで長々と述べるつもりはない。

問題はその「支合」を説明するときに、現代科学の「地軸の傾き」という用語で説明してしまう鑑定士が大勢いることにある。(中には本を出版されている先生にも見られた)

四柱推命だけでなく「九星気学」においても吉方位を説明するのに「グーグルマップ(メルカトル地図)」や「地球儀」を使用して、真北や磁北を述べる方もちらほら見かけた。

原書をしっかり読んでいればそんな解釈になり得ないはずなのだが…

ご本人は科学を利用して、多くの人に自分の読み解きをやさしく理解させようとしているのであろうから、そこに悪意はないとみているが、教えられた方は「科学理論」で代入された読み解きが前提になっているので、そこにフィルターがかかってしまう。

そうなると「古人はなぜこのような解釈したのか」と突き詰めていくにつれ、どうしても疑問点に答えられない部分が生まれていく。

さらに「科学理論」を元にした読み解きを中心に教えられた人たちは「これこそが真実に違いない」と何とか納得させるため矛盾しないよう、さらに都合のいい理論を強引に展開するようになる。

その理論がネットを介して大勢に流布されると、先入観からやがてトンデモな勘違いが広まるという悪循環に陥ってしまう。

複雑化を嫌う一般の相談者に説明するなら兎も角、プロの講師も「現代科学の代入」による解釈をセミナー等でしている人が多い。

「悪筆も文なり」とはいうものの、基本的に今ネットで広まって我々が目にしている占い解説のネタ元は、かつて大衆のあいだで使われていた解釈の、お下がりの転載の転載の二次創作くらいでしかないことを頭に入れておくべきだろう。

古代中国の宇宙観は蓋天説(がいてんせつ)渾天説(こんてんせつ)

ウィキペディアを見たら分かると思うが、じつは宇宙観は時代によってかなり変化している、ということにお気づきだろうか。

たとえば古代中国の宇宙観である蓋天説について取り上げてみるとしよう。

蓋天説(がいてんせつ)とは古代中国天文学における宇宙構造論の一つである。渾天説宣夜説とともに古代中国を代表する天観である。 蓋天説には大きく2通りの考え方があり、天は円く広げられた傘のようであり、地は方形の碁盤のようであるとされ、後に、天はドーム状(蓋笠)で、地はひっくり返した皿(覆槃)の形をしているとした。天は石臼を挽くように北極を中心に左回転しており、太陽は右へ向かっているが、天の回転に引っぱられて左回転する。蓋天説はグノーモーン(髀)による日影の観察に基づいたもので、周髀説(しゅうひせつ)ということもある。数学書の『周髀算経』にも収められている。

蓋天説では、天と地は平行しており、太陽や月が地下へ潜ったりする考え方はなく、南極という考え方もない。このためが生じるのは、太陽が観察者の視界から遠く離れるためなどと説明される。

また1年を通じて昼夜の長さが変化すること、すなわち太陽が南北に上下することは、太陽の日周運動の軌道である北極を中心とした同心円の大きさが季節により変化すると考えられた。の最も長い夏至のときは円が最も小さくなって北極に近い軌道をとる。これを「内衡」と呼ぶ。逆に昼の最も短い冬至のとき円が最も大きくなって北極から離れた軌道をとる。これを「外衡」と呼んでいる。さらに内衡と外衡の間を6分割し、その境界となる7つの同心円を内衡から順に第一衡・第二衡・第三衡…第七衡とし、それぞれを二十四節気の中気に当てはめ、その衡と衡の間を第一間・第二間・第三間…第六間とし、それぞれ二十四節気の節気に当てはめた。これを総称して七衡六間と呼ぶ。蓋天説ではこの七衡六間を平面上に写し取った七衡六間図が用いられた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/蓋天説
太陽は渦巻きの様に周り、離れると冬、近づくと夏と考えられていた
アプリのサンクロックを参考
十二等分すると十二支になる

これだけで四柱推命の「支合」に関して、科学知識での「地軸の傾き」であれこれ語るのが馬鹿らしいと分かるはずだ。

一方で天文の中心となって採用されたのは渾天説である。

渾天説(こんてんせつ)は古代中国天文学における宇宙構造論の一つ。

渾天説では、天は鶏の卵殻のように球形であり、地は卵黄のようにその内部に位置し、天は大きく地は小さいとする。天の表面・裏面には水があり、天と地は気に支えられて定立し、水にのって運行している。天の半分は地上を覆い、半分は地下を囲んでいる。このため二十八宿は半分が見え、半分が隠れて見えない。天の両端には南極北極の両極があり、天は極を軸として車のこしき(轂)のようにぐるぐる回転して端がない。天体はこの天に付随して日周運動をしている[1]

蓋天説はノーモンの観測にもとづいていたのに対して、渾天説は赤道環・地平環・子午環といった環を組み合わせて天体を観測する渾天儀と呼ばれる観測器にもとづいている。

はじめて渾天説を唱えたのは前漢武帝太初改暦を行った落下閎らであったという[2]。水の下に天があるという説は当初は大きな攻撃を受けた[3]

ニーダムによれば渾天説は、古代ギリシアの学問でいえばエウドクソスが唱えたということになっている地球を中心とする天球の運動という概念に相当する[4]:47-50

https://ja.wikipedia.org/wiki/渾天説


天球と大地の周囲を天体が回る

宇宙観が変わるというのはとんでもないことなのだが、このように時代によって変化したのは空間だけではない。
実は時間に関する考え方も今と昔では大分変わっている。

参照を見るだけでも大変だと思う。
いちいち例を取り上げることはしないので時間がある人は調べてみるといいだろう。(メンバー限定で解説をする予定)

これだけ暦が何度も何度も変わり、その度に空間や時刻の取り方によって解釈が変わるのだから、当然それだけ占術や流派も分かれていく。

代入された理論が次の時代の理論に代入されて、またその理論が…の繰り返しで、現代はその最先端のフェーズを科学が担っている。

そのためこれら古代に生まれた解釈を現代科学で読み解きをしようとすると、先ほどの地軸の話の様なエラーが出てしまう。

もちろんこれはほんの一例だ。

相談に来られた依頼主に対して、これらの概念や宇宙論の成り立ちを一から説明するのは骨が折れるので、分かりやすく現代科学を用いて喩え話をする程度ならば問題ない。

しかし、プロの占い師自身が採用した占術を理解する分にはこの辺のスイッチの切り替えが出来ていないと原理原則で躓くので、どうしても最終的に当て物カウンセラーどまりになってしまう。

風水系でも天文系でも、占いを本格的に学んで先生に師事してもらいたいのなら、それなりに古典の教養があり、現代科学の論理を代入した読み解きをしない人を選んだ方が賢明だろう。

原理原則をイメージする

ただ、先生の元で修行して教えを請うと言うこと自体に高い敷居を感じる人が居るかもしれない。

そこで自分が行っている原理原則を学ぶ方法を一部だけだが紹介しよう。

ポピュラーなものはいくつかあるが、一番オススメなのはイラストやデザインでイメージする方法である。

春は木が強まる
夏は火が強まる
秋は金が強まる
冬は水が強まる

シンプルだがこんな感じである。
こうやって可視化すれば、どの時期にどのエネルギーが強くなっていくのか言葉にせずともなんとなく伝わるだろう。

これは「神聖幾何学」といわれるジャンルに通じる学習である。

古代文字(フトマニなど)一つとっても読み解きのヒントがあったりするので、いろいろ参考にして模索しながら創作してみることをオススメしたい。

ハマってみると面白い。
ポイントは複雑にしすぎないことと、先入観を取り除くことである。

神話から宇宙観を学ぶ

このイメージ化による学習は、仏教において宿曜曼荼羅などで行われていたのが有名である。

芸術肌の人ならば直感で景色を想像できるかもしれないが、ただバックボーンとなる仏教の知識が全く無い人にとっては難しいだろう。

とくにホロスコープの星詠みに関しては、日本人は西洋の創世神話になじみがないのと、天体観測の文化が西洋諸国と比べてなじみが薄いせいもあってか、殆ど大衆向けで感覚優先の星座占いとなっている気がしてならない。

場所が違えば見える星の位置や明るさも異なるというのに、実際に日々天体観測を試みている占星術師がどれだけいるのか?

殆どの人がサイトの解説で満足している人が多い。
歴史的経緯からみれば、日々の天候をチェックすることがまず第一である。

さらに古の信仰や習慣といったものから日常の縁起にいたるまでアンテナを巡らせることによって、現代科学の代入による偏見から離れて、これらを俯瞰的にイメージすることが出来るようになる手助けになるだろう。

遠回りのようではあるが、創世神話とチャンネルを合わすことで、古代の宇宙観や価値観のイメージが自然と湧いてくるようになるので、占いの道に進もうとしている人で今一度悩んでいる方は、一度でいいので先人の英知の結晶である神典を最初に手に取ってみることを勧めたい。

古代人の価値観や考え方に少しでも思いを寄せることができれば、読み解きに一層深みが出てくるだろう。

言葉を選ぶ


ただし、現代科学の代入をしないで霊性や直感で選ぶ、ということは重要な要素でもあるのだが、ある程度の事情も分からぬままだと恋愛と同じような危うさも孕んでいる。

大衆向けで直感を優先するという点においては、現在はスピリチュアルがその座を担っている。裏付けの知識がなくとも取っかかりやすく、キラキラしているので受けがいいからだ。

しかし、いかに占術者が死生観や宇宙の摂理を滔滔と説いたところで「偏見や世間の正しさ」から受ける問題は解決しない。そればかりか、問題を考える者を遅鈍にしてしまう。

カウンセラーが人生相談に来た人に強い酒を勧めるようなものだ。

プロならば理を学び、言葉を選び、中庸を心がけることが必要であろう。


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