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十二支「辰」🐲の特徴~地支からみる四柱推命

子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥

これらの動物は十二生肖(せいしょう)とも呼ばれます。

干支としてなじみがあるかもしれません。


もともと十二支は動物とは無関係のもので、空間を十二等分し、それぞれの方角に漢字をあて、やがて干支は庶民に方位や時刻を普及させる目的で世界中に広まったと言われます。


干支暦上の十二支は「北辰【北極星】が支配する方位」



四柱推命や紫微斗数といった東洋占術においては、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の十干と組み合わせた六十干支(かんし)として使用されます。

十二支とは庶民に時間や方角を覚えやすくするために、中国語の音韻に似た動物をあててたのが始まりで、単に数字と発音を当て嵌めたモチーフにすぎないというのが一般的な考えです。

干支は中国に関わらず、東アジアを中心に世界中に伝播し、今でも年末年始に広く使われています。

ここまで広まった理由の一つとして、太古の人々には子・丑・寅・卯・辰~はただの数字としてではなく、それぞれのイメージと相通じている概念があったからだと言われています。

そこで十二支を軸に、その生物としての特徴や、神話に登場する役割などからモチーフとなった十二生肖の読み解きをしていこうと思います。

今回は前回に引き続き、地支の五番目にあたる「辰(たつ)」ついて取り上げたいと思います。

宜しければご覧下さい。

十二生肖「辰」🐲はどんな生き物か

龍は空想上の生き物です。

龍の伝承の発端についてはさまざまですが、中国の竜は太古からすでに雨水をつかさどるイメージがあったようで、古くから海、川、山、炎、風、雲など、龍は自然の姿や力に擬えて、信仰の対象とされていました。

中国の伝説には沢山の龍が出てきます。最も有名な龍は四象すなわち四方を守護する「青竜 ・ 朱雀 ・ 白虎 ・ 玄武」の青龍でしょう。

紀元前2世紀末の「淮南子えなんじ」という書物には、飛龍・応龍・蛟龍・先龍がおり、これらからそれぞれ鳥類・獣類・魚類・甲殻類が生まれたとあります。

つまり龍はあらゆる動物の祖であり、造物主たる神のような存在であったのです。

現代人は神様と言えば何となく白髭のおじいさんを思い浮かべますが、昔の人はそれを龍の異形さから神の姿を想像していたのかもしれません。

陰陽道においては五行に属する龍は五龍と呼ばれ、それぞれ木、火、土、金、水の陰陽五行の要素を表しています。

すなわち木に属する龍が青龍、火に属する赤龍、土に属する龍が黄龍、その他にも金に属する白龍、水に属する黒龍がおり、あわせて五龍となります。

また、具体例を挙げれば竜神の住む海の宮を「竜宮」として祭祀をするなど、竜とつく名や故事の裏にも深い信仰が表れています。

その影響は日本にも及び、海幸・山幸の神話で、山幸彦(彦火火出見尊)が海神の宮から迎えられたお妃、豊王姫命が龍に姿を変えて、初代天皇の神武天皇が生まれたという説話(龍宮伝説)があります。

日本神話は、海神族を竜宮の八尋和邇などとしており、天孫地神五代と八尋和邇の玉依姫との間に初代天皇である神武天皇を設け、また、日本海を中心とした高志(後に)の八岐大蛇に自然崇拝を現して、日本神話を語っている。そして、国津神に属する大国主神大物主神建御名方神などが蛇体・竜神として描かれた。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一方で竜伝説の起源は、サメや恐竜などの大型動物の骨や化石の出土、ワニやオオトカゲなどの爬虫類の観察、人間の本能的な蛇などの恐怖が伝説化して始まったという説があります。

古代に長江や漢水に残存していたワニの一種(マチカネワニ)は発祥した中国大陸で寒冷化や人類による狩猟により絶滅しましたが、その化石は日本でも発見されており、日本神話での和邇(わに)が竜の図像となった、という歴史的経緯が窺える一端かもしれません。

たしかに化石が龍の姿に似ている気がします。

マチカネワニの化石
巨大な骨格から龍の姿が想像できる

これは鰐(鮫)の記述のほうが古く、龍に変わったのは中国の影響との解釈ができるからだといわれています。

ちなみにマチカネワニの学名は「Toyotamaphimeia machikanensis」と名付けられ、神武天皇の祖母である豊玉毘売命にちなんでいます。

神話の時代の日本にまだワニがいたのか、そうではないとしても中国南部のワニ=龍とする文化が入って来たのか、確かなことは分かりませんが、長江文明と古代日本との交流によって、龍神の信仰が生まれたと考えることができるかもしれません。

ちなみに日本では蛇と龍が同一視されることが良くあります。

これはインド仏教の水神ナーガの蛇神信仰をベースに、中国を経由するときに蛇が龍へ変化した結果である、と言われますが、自分は太古の縄文時代から我が国にあった自然崇拝における蛇信仰が、大陸との交流が盛んになるにつれて、似た性質を持つナーガ信仰と習合して、龍=蛇という変化をしていったのではないか、と考えています。

龍が蛇とは違うところは、北極星を「北辰」と呼ばれることなどから、天高く舞う龍は卓越した力のシンボルであり、中央の統治者としての意味合いを持つ、ということでしょうか。

蛇とは異なり龍は皇帝のような権威と強さの象徴であり、実力や気品のある人々は龍に喩えられ、雄々しさや支配を表わしています。

十二支「辰」の特徴

中国最古の字書「説文解字せつもんかいじ」には、「辰は震なり」とあります。

八卦の震(しん)には雨冠に辰という文字が当てられています。

ここでいう震とはすなわち振動の事を指します。

「大地」が振動したら「地震」
「天」が振動したら「電波」
「大氣」が振動すれば「音」
「人」が振動すれば「社会」が生まれます。

カイドウは龍(ワンピースより)


自然界のすべてのものは震動し、この世に現れるすべての事象には、周期と定率が存在します。

自然現象にのみならず社会現象も同様であり、構成員である一人ひとりの考え方、言動が、自己の生活だけでなく、無数の、様々な要素が入り組み、影響し合い、人の目には偶然に見えるだけで、やがて諸々の歪みは拡大し、歪みのエネルギーによる振動や亀裂が大きくなり、社会全体に大きな影響を与えます。

自分の感覚で言えば、龍神の振動エネルギーには「森羅万象の力の基であり、宇宙全てを司る振動力がある」という考えで、この振動エネルギーが徐々に世の中に転写し始めるのが「辰」の特性にあると思っています。

龍は想像上の存在ですから生物の特徴を導くことは出来ませんが、辰という文字から、事象が揺らいで物事を興す巨大な力を感じられると思います。

四柱推命の辰

四柱推命において十二支は支という文字が表わす通り「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」といった十干を支える役割をもっています。

十二支においての「辰」は次の事象にあたります。

・寒が緩んで花が咲き乱れる晩春
・時間は午前八時前後
・方角は東南東(四時方向)
・八卦では震=雨辰、または巽=辰巳

辰は天地を震わせるほどの振動エネルギーがあり「木・火・土・金・水」の五行をそれぞれ振動させ、揺るがせるような力が備わっているといえます。

したがって、場を支配する気丈さがある、不屈の精神に溢れて周囲を奮起させる、エネルギッシュで行動力がある、という性質があります。

一方で力強さが転じて、権威主義や自己中心的、我が儘で頑固な性格が災いして周囲とトラブルを起こしやすいという一面も帯びています。


「辰」は四柱推命では土用であり、土性の十二支といわれますが、実際には単体での土の五行の要素はあまり多くなく、木や水の影響を受けやすい支となります。

ちなみに蔵干(地支に含まれている十干)にあるのは「乙(きのと)」「癸(みずのと)」「戊(つちのえ)」の三つとなります。

流派によって異なる場合があります


辰🐲と辰🐲同士の自刑

「辰」は、潜在意識に自分の理想を実現したい、そしてその理想の世界のトップに君臨したいと考え、意欲的に行動します。

したがって、辰同士は成り上がるための覇権争いをする性情を持ちます。

これを自刑(じけい)といいます。

お互い勝ちに向かうライバル意識が強いので、過剰な闘争心からトラブルを招いたり、思い込みによる対人関係の破綻などしやすい特徴があります。

態度が威圧的になったり、言葉に角が出て、無意識に相手を見下そうとしますので、新入社員は自刑をもつ上司の下には近づかない方がいいかもしれません。

裏を返せば、威圧的な自刑の人は部下が離れていきます。

易経」の乾卦から引用すれば、天に昇る龍の姿に喩えた「乾為天」のイメージに近いかもしれません。

流れに乗れば飛躍的な進展が期待できますが、昇りすぎれば「亢竜こうりゅう悔あり」となってしまいます。

とくに自刑は女性が持つと凶であると言われますが、競争社会に身を置くと成功運があって充実感を得やすい傾向もあり、一代の栄華となるか、貧となるか…生き方によって吉凶どちらにも取られるともいわれます。

強大な辰のエネルギーが倍加しますので、周囲の声に耳を傾けて、強い力をいかにコントロールできるかが鍵となります。

五行と辰🐲の象意

甲辰(きのえたつ)

蜷局を巻いて昇竜する大木

木の性質と龍の象徴

は春の樹木を表します。

甲辰は、春の大樹が一気に枝を伸ばす様子に喩えられ、新しい始まりや成長を象徴し、生命力に満ちた存在を示しています。

自然界において、木は他の生物と共生し、環境を整える役割を果たします。

甲辰は、春の大樹と龍の象徴を持つ干支であり、力強い成長、変化、そして人との調和を重視する性質を持っています。

成長と発展

このため、甲辰の人は身旺であれば、新しいアイデアやプロジェクトに対して非常に意欲的であり、理想を追求しながらも実務的な努力を怠らない性格であり、周囲との良好な関係を築くことができる人となります。

甲は仁(じん)を表し、辰に刑害がなければ、周囲に良い影響を与える力があります。自らの理想に向かってまっすぐに成長し、周囲の人々をも引き上げる存在です。

甲辰は、新しい始まりと成長を象徴する運勢であり、独自の発想力を活かしつつ、誠実な人間関係を大切にする。

人との関わりや協力が重要なテーマとなります。

丙辰(ひのえたつ)

暖かな春の太陽と虹の神秘

は暖かな春の日差しです。

丙辰は春の太陽が昇り、暖かい光を大地に注ぐ様子に似ています。
この時期、植物は成長を始め、活力に満ちたエネルギーを感じられます。

また丙辰は、光子の振動により虹が光彩する様子にも喩えられます。七十二侯では清明の「虹始見(にじはじめてあらわる)」となります。

辰の本気は癸です。

春雨が降ったそのあと、太陽である丙の力でもって、虹を映し、新しい土地の神秘に思わず目を見張ります。

丙辰は新たな変化や創造の予兆でもあり、周囲の注目を浴びることで環境に大きな変化をもたらします。

変化と創造性

丙辰の人は普段、素質はあっても会社に埋もれてしまって、いまいち自身の立場や境遇に納得できていないという人が多い傾向にあります。

辰には風に吹かれて形を変える自由さ、斬新さがあるので、行動力を持って不満に立ち向かっていれば、思わぬ切っ掛けで成功できるかもしれません。

鬱積した不満の噴火エネルギーを上手く生かして、積極的に転身することが出世の追い風となります。

かつて虹は空に昇った大蛇(巳)が龍(辰)になるときの姿と考えられていました。輝くときは一気に輝きます。

正義感があり、どことなく神秘的でカリスマ性のあるタイプです。

戊辰(つちのえたつ)


大日本国地震之図

は肥沃な土を象徴し、特に大地や山を表します。

戊辰は四柱推命において「魁罡(かいごう)」とされ、特に強いエネルギーを持つ干支です。これは振動の「震」である辰の力を、安定を望む「戊土」の力が普段抑制している分、その力が何らかの切っ掛けで爆発したとき、強い影響力を持つことを示唆しています。

自然現象で例えれば、戊辰は地震や火山噴火のように、安定した土壌の中から強いエネルギーが放出される様子にも似ています。

古代の中国では地震の原因は、大地に蜂の巣のような隙間があり、そこで陰氣の癸と陽氣の丙が接触すると大激動を起こし、地震を生じるという陰陽説で説明されていました。

また地震は為政者へ対する龍神の怒りと考えられ、 地震と世相を結びつける思想が庶民の間で広まっていました。

これは、内に秘めた力が外に現れることで、新たな土地を形成し、環境に変化をもたらすことを象徴しています。

破壊と再生

魁罡は、ある種の二面性や、振り幅の大きさに特徴があります。

普段は肥沃な大地や春の山のような、安定性と自然豊かなタイプですが、ある一面においては地震や火山の噴火のように、天変地異をもたらし、社会に変革をもたらす強制力を持ちます。

端的に言えば戊辰は、怒らせると怖い、そんな性格となります。

親分肌で思考にキレがありますので、不満の噴出をモチベーションに変え、爆発力を上手く活かせば社会に変革をもたらすほどの出世をする要素を備えてます。

安定を望むと、強い不安感や恐怖心によって生活に支障がでるようになりますので、通俗的な結婚生活には向いていないと言われます。

天剋地冲となる壬戌の時期にはとくに注意した方がいいでしょう。

庚辰(かのえたつ)

庚は金属を象徴し、地中の鉱石を表わします。


神武天皇降臨のゴトビキ岩
男性のシンボルともいわれる

戊辰と同様に庚辰も「魁罡(かいごう)」とされ、特に強いエネルギーを持つ干支の組み合わせとされます。

庚辰は、鉱石が地中から育っていく様子に喩えられます。

鉱石は地下深くで圧力と熱によって形成され、やがて地表へと押し上げられていきます。

さらに庚辰は、鉱石から金属を精錬する過程にも例えられます。

鉱石は高温で溶かされ、不純物が取り除かれることで、純度の高い金属になり、文明の進歩に寄与します。

庚辰の人は内なる力を発見し、それを外に向けて成長していき、試練を乗り越えることが人生のテーマとなるでしょう。

金属の発掘と錬成

金属は地中に埋まっている内はただの鉱石ですが、鍛造や切削などの加工によって、様々な形状や機能を持つ製品へと変化していきます。

この加工の過程は、庚辰の人が自身の才能を開花させ、社会に貢献していく様子に似ています。

庚からみた辰の十二運は「養」となります。

他の天干にも左右されますが、鉱石は地中に埋もれ、眠ったままの「埋金」となっている状態です。

辰は成長を促す要素であり、庚辰は地中から育ち、精錬され、加工されていく金属の成長過程が必須となります。

ぬるい環境にいると才能が生かせません。

「成長したい」という価値観を持ち、それを周囲と共有できる緊張感ある環境に身を置くことで道が開けていくでしょう。

壬辰(みずのえたつ)


雨乞いに龍神雲が現れると吉兆とされた

は「水」を象徴し、特に海や大河、洪水のようなダイナミックな水のエネルギーを表わします。

壬辰は雨水が地面に降り注ぎ、地下水となり、大河や海に流れ出て、再び蒸発して雲となり、雨となって降り注ぐという水の循環過程に喩えられます。

生命の守護と発展

もともと龍神は水にゆかりが深い神様といわれ、具体例は枚挙に暇がありません。

基本的には生命に欠かせない水を守護するという性質から、健康長寿や病気平癒などにあやかって広く信仰されていた歴史があります。

また「妊娠」という字には「女偏に壬辰」という文字が当てられており、妊娠・出産に縁起が良いとされ、そこから新しい概念を生み出す象徴とされます。

壬辰もまた「魁罡(かいごう)」であり、水の力がひとたび荒ぶると大河は激流となり、ひとたび氾濫を起こせば、うねるような凄まじさを持って、人々を苦しめてしまいます。

しかし、上手く働けば八方塞がりの状況にも一筋の光をもたらす救世主となります。

水氣は「智」を表わしますので、壬辰の人は頭の回転も速く、会話のテンポが速くて知恵も回り、複数のマルチタスクをこなすことが出来ます。

逆に一つのことにじっくりと取り組むことは不得手なタイプとなります。

障害を乗り越える忍耐強さがありますので、壬騎竜背(じんきりゅうはい)といって時代の流れや、流行の波に上手く乗れば、「鯉の滝登り」となり、立身出世が期待できます。

視野が狭くなると、うまく流れを制御できず、精神的なゆとりも失ってしまいますので、大きな視野を持ち、長期的な視点から物事を捉えることが重要となります。

他の干とのバランスにもよりますが、戊戌(つちのえいぬ)の天剋地冲の時期に、人生の壁にぶち当たる傾向にありますので注意しましょう。

多くの辰に言えますが、辰の人は調子がいいときほど、有頂天にならずに周囲へのケアや部下への配慮を欠かさないことが求められます。


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