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コロナ後遺症と向き合ったこの1年について思うこと

ここ最近は、省エネのために、教わった知識や勉強したことのシェアの投稿ばかりですが、友人限定のFBに自分でもモヤモヤしていた思いを文字に起こしてみたので、こちらにも貼ります。
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先週の日曜日に久しぶりにクラシックのコンサートに行きました。
その感想をFBに投稿したら、友人から”元気になってよかったね”とメッセージをいただきました。

まさしく、その通りで、一番具合悪かった昨年10月と比べたら100倍以上元気になりました!

でも、残念ながら、まだまだ闘病中です…

コロナ後遺症の本態は、ここ最近で重度の自律神経失調症とわかってきました。

外界の刺激に対して本来なら無意識に行われる、交感神経と副交感神経による調節機能のバランスが崩れ、ブレインフォグや倦怠感、不眠、目眩、私の場合には子宮脱などまで、さまざまな症状が起こります。

私自身で言えば、日常生活の大半の活動はできるようになりましたが、やっぱりブレインフォグで認知機能が落ちてるために、料理や運転などのマルチタスクや集中力を継続させることが難しく、すぐに疲れてしまいます。だいぶ文章は打てるようになりましたが、やっぱり言葉は出てきにくいし、人との会話となると途端、難易度があがるので、基本、家族以外の人と会ったり、電話での会話なども、必要最低限以外ほとんどしていません。

副交感神経が働きが悪く、少しの刺激で交感神経優位になると、不眠が継続したり頻拍が止まらなくなります。

日常生活の最低限のアクティビティはほぼ毎日できるようになりましたが、間に休憩を入れながらで、やはり1日の大半を横になって過ごしています。

なので、コンサートも、直前数日すごく体調がよかったこと、あまり興奮しなさそうなプログラムだったから、行ってみようかなと計画を始めました。

運転をしながら、信号をみたりナビに従うことがまだ少し大変で、長く集中していることもできないために、基本的には、慣れた短い距離以外は1人で運転できません。

ただ、公共交通機関を使用するにしても、沢山の人々が行き交う中で、無意識に緊張し、刺激を多く受けるために、途中で調子が悪くなって、降りないといけない事態になることもあるため、まだ使うことが難しい状態です。

というわけで、今回は、子供達に一緒に車に乗ってもらって、近くのスキー場により、そこで子供達を下ろして、少し休憩を入れて、ほぼ一本道で行けるコンサート会場に1人で運転して向かうという行程を組みました。

このように、用意周到に考えて、自分の回復を測るためのチャレンジでしたが、やっぱり今の私にはまだ冒険しすぎだったようで、翌日からクラッシュして、今週はほぼベッドで過ごしています。 

それでも、チャレンジしたいと思うまでに、回復したこと、家にいるだけでは、わからない自分の今の病状把握ができたから、OK!
コロナ後遺症に伴う抑うつ気分で、動かない感情の中でも、久しぶりのコンサートも思った以上に楽しめて、大満足!

私自身にとっては、この1年の間は、すごく辛かったけれど、面白い経験でもありました。

誰も原因も治療法もわからない病気と戦うために、

”自分で自分の主治医になる”

次々と自分に襲ってくる訳の分からない症状、それも、今までの医学的理屈に合わない症状満載… 

多くの症状は、検査結果にも現れず、最初の頃は主治医にも家族にも信じてもらえない。

自分でも自分が精神的に弱いからこう感じているのでは、

気にしすぎ、気のせいじゃないかと、

自分で自身を信じられずに、

具合悪く感じる自分を自分で責め、他人への罪悪感を抱え、

根性を鍛えるには体を鍛えないとと辛い体を引きずるように、走ってみたり、筋トレしたり躍起になったりもしました。
(その結果、自覚なくPEMで倒れまくって、さらに自己嫌悪に陥るという…)

それでも、やっぱり感じる自分の症状、主治医の診断とかけ離れた症状への違和感を客観的に観察、分析、そこから考えられる原因や医学的根拠を考え、文献を調べ、仮説を作り、治療法を考えて、それを試す。

要は自分を患者に見立てて、

自分の身体を使ってトライ&エラーをくり返して、いい治療法を探る。

医師として患者を診ていたら、とうていできないようなチャレンジや実験も自分の責任できるし、自分の症状は自分が一番わかっているからこそ、結果も検証しやすい。

これは、ある意味、究極の臨床医としての経験でした。

私がそうやって自身で格闘している間に、驚く速さで色々な研究も進みました。

日本に先駆けて、パンデミックを経験した、
ここカナダやアメリカ、ヨーロッパではコロナ後遺症患者の数も多く
(カナダではCovidになった半数の人は多かれ少なかれ後遺症を経験しているというデータもあります。)、
より研究が進み、今では膨大な情報が集まります。

昨年2月、検索した時には8本しかなかった医学論文も、今検索すれば、膨大な数ヒットします。

カナダでは行政主導のコロナ後遺症患者用のオンラインリハビリ、教育プログラムもシステム化されつつあり、私も、病状が許すようになった1月から参加し始め、ここでも日々のアップデートを教えてもらえます。

そんな中、私自身は、ここ最近になって、バラバラにみえていたパズルのピースが全てハマって、この病気の全体像、闘病の仕方が自分なりに理解できた感じがしています。

感覚的には、めんどくさい訳わからない数学の問題が、解き方がなんとなくわかって、あとは解くだけという感じでしょうか?

プログラムに参加し始めてわかったことが、同じようにコロナ後遺症の患者仲間の大きな悩みが、周囲の理解を得られないこと。

私自身も、今でこそ、家族や周りの理解もえられ、とても恵まれた医療チームと、恵まれた環境で闘病できていますが、それでも、ここに至るまでは大変でした。

また、今の医療チームのメンバーの中でも、結局のところ、自分自身の病気のことを一番分かっているのは私自身だと自負するところがありますし、世の中にはコロナ後遺症自体を知らないドクターも沢山います。そもそも、自分の近況をかつての上司や同僚ドクターに話すと、ほとんどコロナ後遺症のことなんて知りません。

まだ闘病中で、エネルギーがないことがジレンマなのですが、周りにコロナ後遺症が周知されて、理解がもっと進めば、他の患者さん達ももっと安心して闘病できるようになるのではないかなと、いつか私が得た経験を還元できたらなと。また、コロナ患者の互助サポートグループを作れたらなと思っています。

ベッドの中で暇に任せて書いていたら、書き始めた時に書きたかったことと全然違うことをなんだかつらつら書いてしまいました。

ブレインフォグのせいということで♪
(子供達には、なんでもすぐ都合よくブレインフォグのせいにする〜と言われていますが、ホント便利)

写真は、先月、調子がいい日に、やっぱりチャレンジで、8ヶ月ぶりに大好きな小川のほとりに散歩に行った時の写真です。

このチャレンジも一回だけで終わってしまったのですが、春になってもう少し回復したらまた行けるようになるのを楽しみにしています。

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