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ノルウェー:森とフィヨルドのおとぎの国

2019年6月、親戚を訪ねるという目的を兼ねて、ノルウェーを旅行しました。AirBnBでノルウェー人の暮らし方を体験し、フィヨルドを高速船で観光し、アナ雪のモデルとなったバイキングの教会と小さな村に滞在し、「Norwegian Wood」を聞きながら山岳地帯を鉄道で行く、という素晴らしい旅となりました。

ノルウェーの夏は日が沈まない白夜です。冬の寒さが長く厳しい分、ノルウェー人は短い夏を思う存分楽しみます。多くのノルウェー人の勤務時間は午後3時までで、3時半には帰宅して家族との時間を過ごすそうです。北欧調の家具に囲まれた、広いお庭の家をAirBnBで借りて滞在しましたが、大家さんのご主人も3時半に帰ってきて、壊れたシャワーをすぐに修理してくれたりしました。

初めてのAirBnBでの滞在は、近くのスーパーでヨーグルトやチーズ、ハム、パンやフルーツ、トマトなどを買い、遠くに海を見ながら広いキッチンで朝食を準備し、お庭のトランポリンやブランコで親戚の子どもたちと遊んだり、床暖房が入った地下のランドリーでまとめて洗濯したりと、ノルウェー人の暮らしを3日間だけ体験した楽しい時間となりました。

ノルウェーは福祉大国。物価は高く、レストランでランチを食べても3000円以上するし、車の高速料金や駐車料金など、あらゆるところでお金を取られるのは日本以上です。それもすべて、十分な福祉やセイフティネットが整備されているからこそ、そういったコストを払うことを人々は受け入れているのだろうと思います。将来の支えがあるからこそ、必要なコストを払うことには納得している――福祉国家の理想ですね。

南北に長い広大な国土に500万人にしか住んでいない。つまり、少ない人口で効率的にサービスを提供し、お金を徴収するか、ということが、この国の課題の一つです。そのためにGPSを張り巡らし、高速料金や駐車料金をGPS経由でクレジットカードにチャージする、などの仕組みはよくできています。IoTやAIなどの先端技術を駆使して、この広大な国土を管理する工夫がなされているんですね。人口が少ないからこそ、高度な技術開発が必要となる――人口減少に直面する日本にとっても大いに学ぶことがありそうです。

ベルゲンという中世の街から、高速船でソグネフィヨルドを4~5時間行くと、Flamという小さな村に着きました。フィヨルドと氷河に削られた山々に囲まれた村は、今は毎日、豪華客船が到着する観光地です。でもおそらく昔は、長く厳しい冬と、短い夏の間だけ高山植物が精いっぱい花を咲かせる素朴な村だったのでしょう。ここが、アナ雪のモデルとなった村だろうと想像すると、本当におとぎ話の中にいるような素敵な気持ちになりました。

そして、Flamの村から車で1時間弱、昔は峠を超えたのでしょうが、今は世界最長の25キロのトンネルを超えたところに、アナ雪の氷の城のモデルとなったバイキングの古い教会が残っています。氷と言えば北欧、森と言えばノルウェーと発想して、Flamの村とバイキングの教会をモデルに世界の子どもたち(だけでなく大人たちも!)をとりこにしたアナ雪を生み出したDisney。おとぎ話でありながら、ここまでのリアル感にこだわったからこそ、世界の聴衆を魅了できたのでしょう。そのDisney映画のリアル感は、日本のアニメの影響なのでしょうか・・・。

そして、ノルウェーと言えば「ノルウェーの森」。でもあの小説に出てくるノルウェーの森は、主人公が空港に到着した飛行機のBGMでビートルズの「Norwegian Wood」聞き、学生時代のことを回想していく、との設定でした。そこで、ノルウェーの森を走る鉄道の中で、「Norwegian Wood」をSportifyで聴いてみました。

Flamの宿で、イギリス人の若いカップルに出会いました。3週間かけてノルウェーを旅しているそうです。イギリス人にとっても、ノルウェーは大陸のヨーロッパの国々と異なり、深い森と水の豊かな大自然に、素朴なあこがれを抱く国なんですね。若きビートルズもそうした想いで「Norwegian Wood」を創ったのかもしれません。

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