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大学の先生になる方法(1部)

 正直、民間から大学の先生になる…ということがどれほどの人に刺さるのか?全く読めていないです(笑)。まぁ、日本全国探せば1000人くらいはいるかな。まぁ、興味は持ってるけど…って人にも届いたら…。
 そんな感じで書きます。
 
 と同時に、大学側のニーズとして民間から教員を受け入れたいのか?って話もあるわけで、ご本人の「やりたい!」と大学側の「その人 欲しい!」がかなりピンポイントで合わないとなかなか難しい。
 今回の記事ではその辺りのことも含めて書いておこうと思います。

一般的な大学教員の採用ルート

 ご存知ない方もいるかと思うので、一応…。
大学教員になろうとする場合

https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop

…を検索するのが良いかと思います。研究職、教員、先生向けの転職情報サイトですね。
 大学、高等学校、専門学校、中学校(まれに)、小学校(まれに)、各種研究機関、メーカーの研究職も含め、公立私立の求人が閲覧できます。
 このJREC-IN(ジェイレック インと読む)、公募枠です。
 各案件のリンクをクリックすると募集要項、面接を含めた選考方法、雇用条件、応募締め切り、有期雇用か無期雇用か?などを確認しましょう。

 専任教員 × 無期雇用だとレアカード。
大学での公募の場合、大多数が常勤有期雇用、非常勤講師、単年契約など、非正規雇用のケースが多い(雇用期間の上限が3年だったりする)です。
 伝統のある研究領域ほど諸先輩がたが大勢在籍されており、なかなかポストが空かないのも事実。ご自身の専門分野で無期雇用が出現したら詳細も含め要チェックです。

 一方で、このJREC-INに掲載される前に決まっていく紹介枠もあって、ボクのようなキャリア系教員はこちらが多いです。
 キャリア支援系、就職支援系の教員は正統派な研究職と違い、実務経験、支援実績が問われる領域でもあるため、その筋に詳しい方、明るい方からの紹介などで決まっていくことが多いです。

 そう考えるとキャリア支援系教員、あるいはキャリアセンター職員さんにR社さん出身者が多いのも頷けます。
 彼らのネットワークは非常に強固ですし、関東圏の大学には必ずと言って良いくらいのレベルで元Rの方々がいらっしゃいます。
(ボクが活動する東海圏でも元R社員の方々は全ての…とは言わないまでも、多くの4大、短大でご活躍です)

 民間企業から大学教員になるのは、もろもろ不安が付き纏うものです。繋いでくださった方がいる場合、その方、もしくは繋がった中の方(理事長、学長、学部長、キャリアセンター長など)に1つひとつ丁寧に確認しながら不明点をツブすこともできるので、フル活用した方が精神的にラクになります。

大学教員の転籍事情

 一般的な学部の先生の場合、大学院で研究していた…というケースが大多数で、論文も数本〜数十本書いていたり、学会発表、ポスター発表などは何度もされている方が多い。
 ただ、その論文や研究内容が評価されているかどうか?はまた別…です。

 大学の先生方は専門職ということになるので、研究する場所(所属大学)をどんどん変わっていく先生もいらっしゃるし、同じ大学に腰を据えてじっくり研究活動に取り組む先生もいらっしゃる。
 この時、転職って考え方はあまりしないようで「プロアスリートに近い感じで、所属先を変える感覚ですね」…と、とある先生から教えていただいた。転籍ってイメージのようです。

 日ごろ、先生方は有力な学会誌、学会雑誌などへの自著、共著論文の掲載を狙って研究に勤しんでいらっしゃる。
 評価の高い論文を書いた研究者、多くの論文に引用された論文の著者…となれば、所属先を変えるときにも有利に働く…というわけです。

 ちなみに大学教員の転籍では割愛というナゾの慣習がある。いや慣習そのものは大学間での仁義を切るみたいことで、採用が決まった新しい職場(大学)から現在の勤務校に対して

そちらの大学で勤務されている●●先生が研究者としても素晴らしいので、選考審査の結果、雇いたいんだよね。いいよね?

…的なご挨拶状、割愛願いが届く。
 すると、今の勤務校は笑顔で送り出すことを決めてくれたり、渾々と留意されたりします。
 最終的に退職が決まると、現在の勤務校は

そんなにお願いされちゃったら断れないから、認めてあげるよ!

…的な割愛許諾状という書面をお送りするわけです。そして転籍が決まっていく。

一般企業で考えたら、

オタクでお勤めの田中さん、めちゃめちゃいい社員さんですよね?実はウチの会社に応募してくれてね。評価もいいもんだからウチで雇いたいんですけど良いですよね?

って手紙が届くようなもんで。。
 まぁ、その瞬間から人事部や上司はピリつくだろうし、社内での立場が想像つかないくらい悪くなりそうですけど…。大学ではそんなことはあまりなく、笑って送り出してくれることの方が多いのかな?という印象です。

 あ、転籍活動や応募そのものをしていない人にある日突然、割愛願いが届くことは普通ないようです。ただ、ご自身の指導教官だった恩師のような方から声が掛かるとこれはもう、断れないんだとか。

大学教員採用の選考と面接

 ここは書類審査と面接が行われるという点で、一般企業とほぼ同じ。ただ、○○分の模擬授業をやってください…という面接オプションがある。この辺りは研修講師のオーディションに似ていますね。
 授業案を作成して、それに沿った模擬授業を最初の15分間を想定してやってください or 90分フルで授業をやってください…などのリクエストが出されます。
 その際もパワーポイント無しで…とか、パワーポイントありで…など指示があるでしょう。

 念のため…ですが、模擬授業の教室設備などは事前に確認しておきましょう。
 時にはかなり年季の入った教室、設備で模擬授業…ということも想定しておいた方がいいです。
 特に、教室環境(プロジェクター、階段教室か平場か?など)は可能であれば前もって見せてもらっておいた方が良いと思います。

求められる人物像 

 採否については、単に授業が上手な人が求められるわけでもないです。私大の場合は、大学の方針だとか建学の精神などとフィットする人か?学校法人に貢献できる人物か?という視点は入っています。

 特に民間から入職する場合は
1)今後、どんな研究テーマに取り組みたいか?
2)世代、国籍、価値観の異なる人材育成にどう取り組むのか?
3)大学内でどんな役割を果たしたいか?
4)これまで関わった人材育成はどのようなものか?
5)そもそも、15回の授業できます?
…などは必ず質問されると思って準備しておいた方がいいです。

 民間企業で働いている期間中、なんらかの研究や調査に関わったことがある場合、その研究・調査について概要、着目した理由、その成果、結果などをお伝えする場面があると想定できます。

大学のニーズとあなたのウォンツ

 さて、この記事の最後にこちらのテーマで書いておきます。これがかなり大事だったりする。「欲しい」「探してるんだけど…」って大学を見つけることから始まるのが大学教員への転職です。

 ちなみに、全国各地に大学は770校ほど。そしてその大部分が都市部に集中しており、当然のことながら学生たちも都市部に多い。
 ご自分がお住まいの地域から通える範囲に大学がどれほどあるのか?は把握しておくと便利です。

 また、

教育者としての在り方や人間性と大学のコンセプトのマッチング
研究者の顔、学生指導の顔、地元とつながる顔の3つ
リアル授業とリモート授業のハイブリッドへの対応
メンタル不全の学生への対応法を心得ておく

…など、求められることは多いですよ…と、申し上げておきます。

 特に「リモートじゃ私の熱量は伝わらない!」と仰る方は、これからの大学教員には向いていないと思います。

追記(2021年1月3日)

 2021年4月、武蔵野大学さんが創設するアントレプレナーシップ学部の教授陣は実務畑出身者で固められているようです。一般的な研究者は起業したことがないわけですから、当然と言えば当然かもしれません。
 実務家教員を目指す方にとっては明るいニュースだと思います。

最後までご覧いただいて本当にありがとうございます!

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