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医療用ガウン・生産情報共有

どうもこんにちは。
今回は工場の立場から、書くべきと思うので書いておきます。
受注時のコストや生産にかかる時間。実際の生産量。これらを下にまとめますので、生産側は今後依頼を受ける際には大赤字にならないように参考ください。依頼側は生産力の確認や適正な工賃確認にご利用ください。
※人によっては耳が痛いはずですが、知っておくだけで変わりますので書きます。

①前置き

表題の医療用ガウン。
これはコロナウイルスの流行から日本に関わらず、世界的に不足が慢性的になってしまった商品です。
基本使い捨てとなっているので、いかんせん数が必要。現状のような環境になる前は専門の会社さんや工場で対応してきて十分需要に対して供給が間に合っていたものですね。

ただ今回の不足に対し、国あげて生産指揮をとって各繊維商社などに依頼が飛んでいたり、大手の国内外アパレルメーカーなどが(無償のボランティア含め)生産対応して各メディアでもニュースになってました。
マスクも同じような感じですね。
最近でこそ大きく取り上げられることは減ってきてますけどね。
国内のアパレルを中心に対応している縫製工場は、通常であればこういった医療用の商品は対応せずにファッション関連の商品で加工業としてぎりぎりやっていけてたのですが、今回の事でアパレルなんかは大手のメーカーすら倒産や縮小を余儀なくされているところも多く、中小規模ではよりその影響が顕著です。
メーカーやブランドが厳しい状況になるということは、そこの商品を生産している工場・生地などの材料・資材メーカーも同様に打撃をうけます(受けてます)。
そのファッション関連の縫製仕事が大幅に減少しているため、医療用のガウンをそういった仕事の薄い工場へ投入し、工場を守ることにもなれば。という動きから各工場でも縫製対応されていると思います。

②本題

さて本題に入ります。
今回はこのガウンに関して情報を共有しておきます。
もちろん自分自身が対応している範疇の内容ですので、違う内容で対応されているところもあるかもしれません。そういう方はそういう方で情報出していけばいいと思います。ここでも具体的にどこからの依頼か、二次受けしてるのはどこかは書きません。あくまで参考にしてください。嘘は書きませんので。

工場を助けるため(本来は医療機関への商品不足解消のため)に国も関わって依頼がでているこの『医療用ガウン』。有名なところでは帝人さんが商品のパターン(型紙)を無償公開してます。素晴らしいです。
これを土台に各所で依頼が飛び交ってますが、問題はその加工賃です。
一言でいえば 大体の依頼は安い です。
具体的に言うと(自分が聞いただけで)400円~150円までありました。若干作り方は違えど仕様は大きくは変わりません。それでもこの金額差があります。
そして安い という根拠を書かないと安いとは言えないと思いますので
そこも書いておきます。では下記をどうぞ。

A.大元(国関連)の依頼コストと生産予測数 
・コスト 500円/枚 
・1人当たりの生産数 20枚/日(8時間)

B.実際の工場のコスト計算・生産数
・生産数 200枚/日
※6人縫製対応(プロ) 1名裁断 1名検品・梱包作業対応
※初動~慣れるまでの日数は、残業4時間が必要
※デザイン次第では生産量UP・DOWNします

このABだけ書いておけば伝わると思います。
大元の依頼からどうしても生地の手配などで1社は挟んで話は進行すると思います。なので大元から出ている加工費用は工場の手元には来ないのは仕方ないですね。(大元の工賃の状態なら十分対応できますけどね)
ただBの情報。これくらいの生産量です。人数が多ければもっとつくれますが、一人当たりの日の生産数は30枚強といったところでそこは大幅には変わらないはずです。デザインの簡素化されたものに関しては日産80枚/人 程度縫えるものはありますが…

これを理解していただき…
依頼を受ける側は無茶な工賃でうけないこと。(生産して赤字になってたら加工業じゃないですからね)
依頼を出す側は最低限の工賃を出すこと。
を意識いただければと思います。

③最後に

この医療用ガウンは本来は一般的なアパレル縫製工場で対応するものではありません。
今の状況は、医療機関での資材の不足状況の改善のため。縫製工場の廃業を少しでも減らすため。こういった状況に合わせて起きている状態だと理解しています。この状況を逆手にとって必要以上に儲けようと考えて、その考えが誰かを殺すことになっていないか。(利益を取ることは悪いことではありません、念のためお伝えしますが)
自分の・自社の行動や動き方、活動理念などを考えて行動いただければな。と思います。

ではまた。

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