雑談をする力は人生を有意義に楽しくするのに役立ちます

雑談は『混沌』です。リラックスした空気の中で素直に思ったままの事を言える心地よい会話です。友達同士のお喋りから仕事帰りの上司との飲み会もしくは恋人同士の思わず時間を忘れてしまう談笑まで、様々なケースがあります。

その素直で混沌としたエネルギーを主体的に味わう事ができれば、そこから確実に何かを生む事ができるでしょう。むしろ、混沌であるがゆえに思いもかけない発見や発明、そして誕生があるのです。要するに、雑談の中にも何かが生まれる質の高い雑談とそうでないものが有るという事です。

例えば好きな人と初めてデートした時など『好きな歌は?』『好きな外国は?』『好きなお酒は』など、それはお互いの目的がはっきりしているから集中できて、全く苦にならないはずです。つまり、相手をより深く知って、愛情を育むという共通の目的があるので、そういう雑談には質の高いエネルギーがあります。

逆に興味のない会話の中にいる自分を想像してみてください。以前カザフスタンに行った時、シリア人のパートナーと国営放送局を訪問しました。そこでは大統領の娘と言う女性が社長で、ロシア語での面談となりました。30分くらいの面談でしたが、時差ボケもあって『ア~アこの話早く終わらないかな~』と居眠りながら聞いていました。その点イランのパートナーはペルシャ語での会話の中に眠気覚ましに時々英語で話を振ってくれるので少なくとも眠気覚ましになってありがたいと思いました。

どちらの場合も言葉に問題あり、話に積極的に入っていきにくいので、自分にとってはただの無駄話、文字通り『雑な談』でした。その話の内容について『知りたい』という欲求があるかどうか、その主体的な意識の有無が雑談を金の卵にできるかどうかの分かれ目になります。雑談はその思考の拡がりが、物事を違う角度から見せてくれます。一見回り道の様ですが実はゴールへの近道の場合があります。

そこで大事な事はビジョンの共有です。最終的なビジョンさえ共有できれば、思いっきり離れたり遊んだりできる。そうする事で自分にしかなしえない世界で一つの足跡を残す事ができます。

雑談に結論はいりません。結論が出ると話はそこで終わってしまいます。せっかく盛り上がっていた雑談がブチッと途切れてしまいます。だから雑談では結論というゴールを求めてシュートを打ってはダメなのです。パス回しが重要なのです。

特に男性はシュートを決めたがります。『で、結局のところ、どういう話?』と。これでゲームは強制終了。広がりも展開もしません。キーパーになって話をまとめにかかるのも当然ダメです。『話題支配率100%』『相手にボールを触れさせず、ゴールを連発』ではもう雑談とは言えません。講演会かトークショーです。雑談は話題を支配しあい、ボールをパスしてゲームを動かす事に意味があります。

『あれ、そもそも何の話でした?』このフレーズが出てきたら、それはいい雑談ができた証拠です。盛り上がる雑談とは。一つの話題だけで終わらず、次から次へと別の話題が派生しながら展開していくもの。ただ重要なのは、前の話を一度リセットして全く関係のない話を始めるのではなく、前後の話がどこかで関連付けられて鎖状に連なっている事です。

ですから、話題の変わり目は、『全然違う話なんだけど・・・』ではなく、前の話に出てきた言葉やエピソードをうまくとらえて、『○○と言えば、この間ね~』と派生させてうまく展開します。

ここで大切なのは連想力。すなわち相手の話から次の話題を連想する力、相手の話を別の話題とリンクさせ、新しい雑談を引き出す力の事です。盛り上がる雑談ほど、連想は連鎖します。

雑談力は雑草の生命力のようなもので、どんな土地でもそれこそコンクリートの隙間からでも生えてくる都会のタンポポのように孤独で心を閉ざしているや不機嫌そうな男性がいても、気にせず雑談を仕掛けて社会と繋がっていく。雑談力がある人とは、そんな雑草力のある人です。

必要な話や本筋に関係ある話だけではその話が終われば『はい、おしまい』になってしまいます。それでは本当のコミュニケーションはできません。そんなコンクリートの隙間から出てくる雑草のような無駄話こそが人間関係を底の部分で繋いでくれます。

どんな人でも一人では生きていません。誰もが周りの人とコミュニケーションを取りながら生きています。現代社会は人間関係が希薄になったと言われていますが、それでも人とのコミュニケーションなしでは生きられません。そしてその土台となるのが日常の他愛のない会話であり、雑談です。

これからの時代、雑談力を身に付ける事は強く生き抜く力を身に付けることそのもののように感じます。そして自分が強く生き抜く力でありながら、同時に周りの人々を活かす力にもなります。話す事で人は救われ、聞いてもらう事で人は癒される。雑談力は言葉を持つ私達人間だけが持っている生きるための力ではないでしょうか。

海外出張する時、飛行機の席が隣り合わせになった人とはできるだけ雑談するようにしています。この場合共通の話題がたくさんあり、居眠ったり読書するよりも有意義な時間を持つ事ができます。

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