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感じる力

野山で花を見た時に『きれい』と感じる。感動的な映画のシーンを見た時に思わず涙を流す。趣味や仕事に対してもワクワクして取り組むというような『感じる力』を何歳になっても持ち続けたいものです。

考えるより感じる

私の父は京都の片田舎で農業を営んでいましたが、子供心に尊敬出来る事がありました。それは暑い夏の日の夕方、遠くで雷が鳴っている時、夕立がこちらに来るかどうかを雲の動きや風向きと強さ、湿気、空の明るさなどによって、100%当てていました。また次に来ると言われている台風の進路についても 本当にこちらに襲って来るかどうかという予測についても気象庁の天気予報よりも正しかったのを思い出します。

ひと昔前の漁師さんたちは、こちらは命にも係わる事から気象庁の天気予報など必要ない程にどうなるかをよく知っていました。風向きや雲の様子からピタッと天気を当てました。そんな洞察力が無ければ、命にかかわってくる仕事ですから。

また魚がいる場所なども海の色や鳥の動きを視ながらこれまでの経験で判断する事ができました。自らの安全を守る為に、そして糧としての魚を得る為にあらゆる感覚を研ぎ澄ませて体得していたものです。

そんな感じる力が実を結んだとき、喜びを得た事でしょう。生きる喜びを味わう為には常に五感を研いておくことが大切です。例えば、道に落ちている石を拾い、触り、匂いを嗅いでみたりする。石にも表と裏があり、それぞれに表情があります。原始時代の長老はそのような生きる為の感じる力を持っていました。そしてそれが長老としての価値でもありました。

石には匂いなど無いなどと思いがちですが、山の石には山のにおいがしますし、海の石には海の匂いがします。そういうちょっとした身体の回りの事に興味を持ち、自然の変化を感じ取ってみて下さい。ちょっとした変化も見逃さない目を養って下さい。有意注意の気持ちを持って人生の価値を高めるという事です。

『Don‘t think, feel』

ブルースリーが『燃えよ、ドラゴン』の冒頭で、カンフーを修行中の少年に対して諭す様に語るセリフが『Don‘t think, feel』です。考えていると反応が遅くなります。それでは勝てません。野球のボールをバットで打つ時も目で見たボールを頭で確認していては絶対に打てないといいます。

卓球でもテニスでも頭で考えた瞬間に腕の振りが鈍くなります。この感覚はスポーツのみならず、日常生活や仕事でも重要です。考えると反応が鈍くなるだけでなく判断を誤る事すらあります。小さな利益に捕らわれて大きなリスクを背負ってしまう事があります。

これは結婚で考えてみると分かり易い。例えば年収や学歴、資格等のポイントを列挙してプラスマイナスを比較検討して合理的に相手を選んだとしましょう。それだけではうまく行かない事は火を見るより明らかです。

感覚的に合うかどうかが何より重要である事は成功者・失敗者のいずれもが痛感しています。いわゆる『振り込め詐欺』の被害者に関する調査によると半数以上の被害者は最初の段階で『何かおかしい』と気づいていたといいます。

仕事となると、一般にはThinkを重視しがちです。しかし理詰めで一つの判断を下した結果、とんでもないピント外れであることや、時間が掛かってタイミングを逸してしまう事はよくあります。

長年の経験による勘を頼りに判断した方が案外正しかったりするものです。『Don‘t think』とまでは言えないかも知れませんが、『Feel』する力を鍛えて、もっと重視すべきです。それは言わば『身体の知性』である感性を磨く事です。

どうすれば感性は磨かれるのか、その方法の一つは何にでもあえて時間制限を設け、余裕のない中で判断する事を繰り返す事です。麻雀のプロ櫻井章一氏によると『決断なんて一秒あればいい』と言っておられます。

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