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人間萬事塞翁が馬

逆境を生き抜く

50年前に大学を卒業して貿易会社に就職した頃はグローバル化が世界の趨勢で日本は江戸時代に鎖国をしていたせいで世界の進歩から取り残されたという意識を持っていました。その後ソ連が崩壊してその方向は更に加速しました。大きなビジネスチャンスが来ました。

ところが今ウクライナ戦争により大国である米国とロシア、中国や印度、欧州や日本まで巻き込んだ不安定な情勢になってきました。グローバル化が進むのか鎖国が正しかったのか。また大きな変革がありそうです。

人間萬事塞翁が馬

昔中国の北方、塞という所に一人の老人が暮らしていました。その老人が大切にしていた馬がある日外国に逃げて行ってしまいました。村の人々は気の毒にと慰めましたが、『人生には色々な事があるよ』と言って少しも気に掛けませんでした。ところが、それから半年ほどして、その馬が外国から立派な名馬を連れて帰ってきました。

村の人々はおめでたい事だと喜んでくれましたが老人は『人間には良い事もあるし、悪い事もあるよ』といって特に喜ぶ風情もありませんでした。老人の息子は馬が好きでした。この名馬を乗り回していた時、突然振り落とされて足の骨を折ってしまいました。

この時も村の人々が見舞いに来ましたが老人は少しも気に掛ける事はありませんでした。それから一年後に塞の地方に外国の軍隊が来て戦争になりました。村の青年たちは兵隊に駆り出されほとんどの若者は戦死しました。

しかしこの息子は足の骨を折っているばかりに戦場に出る事もなく親子共々末永く幸せに暮らす事が出来たといいます。

不幸と思われた事が幸せを呼ぶ原因にもなるし、幸せと思われた事が不幸の芽を育てているかもしれません。昔から『禍福はあざなえる縄の如し』と言われています。また見方によればこの世は波のうねりの様なものだといいます。波は上がれば必ず下がる時がある。下がった波は必ず上がる時がある。

失敗や不幸があっても塞ぎ込んだり、やけくそになって自分をダメにしてはいけません。事がうまく行き調子がいい時も得意になって浮かれていてはいけない。上がった波は必ず下がる時がきます。上下する波のうねりにうまく乗り、浮き沈みしながらその波を乗りこなす心のゆとりがほしいです。これが人生航路を平穏に楽しくわたる極意です。

逆境と調和

ところで『諸行無常』と仏教では教えられていますが、人間が智慧を得るのは物事がうまく行かない時、つまり逆境の時です。大自然はこの二つの状況を使い準備ができた人間に智慧を授けます。準備の出来た人間とは時間や習慣に流されないで自分の脳で思考する習慣を持って自分から知識を智慧に高めようとする人の事です。

時間の試練にさらされた知識は質的にも量的にも明確になってきて信頼性が上がります。また信頼性が高い知識とは大自然の法則に反する事なく肯定的な思考を元にした智慧です。

あらゆる価値は時間により修正や交換が施されます。今日は正しいとされる知識も明日は無効になるかもしれません。事実や価値は時間の経過とともに常に再構築されます。

自然に目をやれば、全てのものが一定の秩序の基に動いているという証拠をいたるところで見つけられます。それが調和の法則です。大自然はこの法則を使って、ひとつの環境にある全ての物が調和的環境を保つように働いています。

この事が理解できれば環境の持つ力を今までとは全く違う斬新な目で見る事が出来るようになります。そして自立しようとする人間にとって、否定的な思考の人間と付き合う事がなぜ致命的となるのか理解する事ができるようになります。

逆境に生きる一輪の花

習慣のリズムにより命あるものは全て自分が存在する環境の最も支配的な力に影響を受けるようになります。自分のいる環境の影響から逃れられる人間は居ません。同時に人間は精神的、霊的、物理的な環境を自ら作り出す力を与えられています。逆境とは自分に与えれた成長のチャンスです。

黄色の花のお母さん

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