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モナリザの微笑みとキメラ顔

ルネッサンス時代のイタリアの科学者であり画家でもあったレオナルドダヴィンチはその生涯で約10作の絵画作品しか残しませんでした。その中で今でも世界中で知られて愛されている彼の傑作モナリザはその微笑みの表情が神秘的で内面まで深く表現されていて何度見ても飽きない作品です。

彼女の顔を注意深く見てみると微笑んでいるのは左半分だけで右半分は普通の表情です。この違いが内面の深さを表現するのに役立っているのではないかと思います。左右の表情の微妙なアンバランスで感情の奥行を表しています。ダビンチさんの観察眼と表現力には天才と言われるだけのものがあります。

キメラ顔

キメラとはギリシャ神話に出てくる怪物でライオンの頭,ヤギの胴と蛇の尾を持つキマイラの事です。それにちなんで左右対局の表情を人工的に構成した顔をキメラ顔と言います。

二つのキメラ顔を被験者に見せます。一つは右半分が笑っていて、左半分は怒っている。もう一つはその反対です。パッと見た瞬間にどちらが幸せそうに見えるかと聞くと、左半分が笑っている顔の方が結果として多かったのです。

つまり左右異なる視野を与えられた場合、人は左側の表情に引きずられやすいのです。視野の左半分は大脳皮質の右側へ、右半分は左半球に入るので、顔の表情による感情判断はその人の左半球で優位に行われているという事です。

一方、感情表情へのアウトプットはといいますと、表情筋と脳の回路の密接な関係があります。人間は自分の表情に影響され認知判断も変わってしまう事が実験で明らかにされています。いわば自分が自分の心を造っているという事です。

具体的に言いますと、被験者に笑顔やシカメッ面を故意に作ってもらって、次にその状態でジョークや深刻な話を聞かせると表情に感情が引きずられるという結果がでました。つまり笑顔で深刻な話を聞いても悲しくならず、逆に渋面でジョークを聞いてもおかしくならなかったのです。

『楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのです』また『悲しいから泣くのではなく泣くから哀しいのです』

左右同じ表情です

笑顔で接する
 
人の目に映る和やかな光は人々を慰めたり励ましたりする力があります。特に落ち込んでいる人は優しい眼差しで見つめられるだけでとても元気になります。初対面の人に対しては気の利いた言葉よりも優しい眼差しを贈る事です。その人を悪い人だと思わなくなるからです。
 
『話しやすそうな人だな』と好印象を持たれれば自然と会話も弾みます。思いがけない素敵な出会いに発展するかもしれません。口数が少ない人や、口下手な人でも周りから『何となくいい人だな』とか『癒しのムードメーカーだな』とか『あの人がいると場が和む』などと思われます。
 
その為のコツは自分の目線を相手の目に向ける事です。まず挨拶をする時は相手の目を見ます。ずっと見続けると相手が話しにくくなってしまうので見つめて10秒ほどしたら相手の口元や胸元に目線を移します。そして、相手の目に視線を戻します。時折『うん、うん』と頷きます。
 
この一連の動作を続けると『この人は、なんて丁寧に話を聞いてくれるのだろう』と相手は感動し、好印象を持ちます。
 
仏教でいう和顔悦色施は優しい笑顔で人に接する事です。笑顔や微笑みをプレゼントするという意味です。笑顔は免疫効果を高めて病気になりにくくし、ストレス解消の効果もあるそうです。また最初は作り笑いでも、笑っている内に本当に気持ちも和らぎ、気分が上向きになると心理学では言われています。

微笑みを含んだ表情で人に接する事で世の中が明るくなります。一隅を照らす事になる上、自分自身をも幸せな気持ちにさせてくれます。

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