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挿絵小説『ラッキーボーイ』(全12話)〈luckyboy〉

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国境のないネットの世界では、入り口としての挿絵が重要なのではないか?という仮説から、ネット小説を再定義した作品です。
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2016年9月の記事一覧

挿絵小説『ラッキーボーイ』第5話

挿絵小説『ラッキーボーイ』第5話

「デート」みなさま、ごぶさたしております。お元気でしょうか?

さて、五年前に姿を消した翔子さんのことが忘れられずに、今も探し続けている哲也君でしたが、母の強い勧めもあって好みがドストライクの美人さん、南野美恋さんとデートをすることになりました。

気が進まないという姿勢はまったく揺るぎがないのですが、それでいて心のときめきを覚えるのはなぜでしょう。だがそれを責めるのは酷というものでしょう。彼も普

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挿絵小説『ラッキーボーイ』第6話

挿絵小説『ラッキーボーイ』第6話

「再会」みなさま、ごぶさたでした。われらが黒田哲也君は、またまた圧倒的な不注意力を発揮して、車にはねられてしまいました。何をやっているのでしょうか、まったく世話の焼ける……などとのんきに構えている場合ではありません。今まさに哲也君は虫の息です。頭をアスファルトに強打して、脳に激しいダメージを受けているのは間違いありません。彼を追いかけて来た美恋さんは、ショックのあまり腰を抜かしてわなわなと震えてい

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挿絵小説『ラッキーボーイ』第7話

挿絵小説『ラッキーボーイ』第7話

「両親との対面」みなさま、ごぶさたしております。さて前回、五年ぶりに再会を果たした哲也君と翔子さんは、思い切って彼の両親に会いに行くことを決めました。反対されるのは予想できましたが、一点突破で本丸を攻め落とす覚悟です。二人の仲を認めてもらえれば、周りが何を言おうと気にすることは無くなるからです。そこがクリアにならない限り、陰でコソコソしていると言われても仕方がありません。

とはいえ、いきなり紹介

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