同じであること

同じであること、同一であること、と、異なること、違くあること。同じであること、同一であることは、厳密には、物理的に不可能である。どんな物同士にも、必ず、違いがある。だから、同一であるとは、物理的にではなく、概念的に可能であると考えることができる。ここでは、物理的な同一性とは、先ず物質の同一性のことである。私たちは最初に、物質の同一性の不可能性について考え、次に、概念的な同一性の可能性について考えなければならない。物理的な同一性の不可能性は、あくまで厳密に考えた場合の現象であり、日常的な意味では物理的な同一性は可能であると考えられている。これは、私たちの常識の範疇に属する。
つまり、原子のレベルで見た場合、クオークのレベルで見た場合と、見るスケールをどんどん小さくしていくと、それだけ違いを見分ける目も細密になってゆき、物と物との違いは、スケールが小さくなるにつれきめ細かになっていく。そうすると、完全に同一の二つのものは存在しないということになる。ところが逆に、クオークのスケールに至ると、クオーク自体が全て同一であると考えられている。現段階では、それがこの件に関して一つの結論となる。しかし、物という時、私たちは、素粒子が複合し、組み合わさったものを想定しているので、これは逆転ではない。基本単位が単一であることは、全く妨げられないのである。
概念の同一性の可能性は、物理的な同一性の不可能性との対比によって考えることも可能かもしれない。

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