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【ゲーム感想】風のクロノア Door to Phantomile

ドラマチック横スクロールアクションゲーム

1997年にNAMCOから発売された横スクロールアクションゲーム
その後PS2で続編も発売された人気シリーズの第一作目

横スクロールアクションが好きだ。
何も考えず反射神経やリズム感でとにかく奥へ奥へ進むとステージクリア
ビデオゲームという娯楽特有の魅力である爽快感や達成感を最短で絶えず味わえるゲームジャンルだ。

スーパーマリオを代表とするこのジャンルはシナリオについて淡泊なことが多い。しかし本作は違う。物語のラストには心に残る展開が待っていた。クリア時間は7時間程度なので気軽にプレイできるのでオススメだ

・独自言語であるファントマイル語

人々が見る夢がすべての原動力となっている世界「ファントマイル」
風の村「ブリーガル」に住むクロノアの冒険の物語

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ウサギでもネコでもないがどこか馴染みのあるクロノアのデザイン

この幻想的な世界観を表現する「雰囲気づくり」が本作最大の特徴だ。
民族音楽的なBGMやパステルカラーの色彩等デザイン面はどれも秀逸だが
中でも一番印象的なのは「ファントマイル語」と呼ばれる本作の独自言語の存在だ。これがフルボイスで物語が演出されている。


たまに見られる架空言語があるゲーム。
最近でも『モンスターハンターワールド』や『GRAVITY DAZE』等、
架空言語によるフルボイスが採用されているタイトルはあるが、
本作はその語感が世界観と非常にマッチしているように感じた


「わっふー」「えでゅるどぅ」など文字に起こしてみると
あらためて本作の幻想的で可愛らしい世界観をうまく表現されていると実感できる。
本作はステージクリア型の2Dプラットフォーマーだが
ステージのことを一般的な呼び方である「ステージ1-1」ではなく「Vision1-1」を表現しているところもこだわりを感じる。


・2Dプラットフォーマーとして

プレイフィールとしては星のカービィシリーズが一番近いと思う。
本作の主人公クロノアは個性である「敵をキャッチするアクション」を除けばジャンプしかできない。(ジャンプ後に若干ホバリングできる)
かなりシンプルなアクションゲームである。

2Dプラットフォーマーでありがちな「ダッシュ」や「しゃがみ」ができない。つまり敵を避けることが難しく敵を倒して進むタイプのアクションゲームだ。
ただステージには制限時間もなくゲームスピードはゆっくりで敵の攻撃にも余裕があるので序盤はどちらかと言えばその幻想的な雰囲気を楽しむゲームプレイになる。
終盤もゲームスピードは変わらないが敵の配置やスイッチなどを用いてパズルゲームのようなステージデザインとなっており、徐々に難易度が上がっているように感じた。

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敵の口に空気をぶち込んで膨らませて、それを持ってジャンプし
「わっふー」という掛け声とともに空中で膨らました敵を足場にもう一度ジャンプする。
終盤のVisionでは空中で敵を捕まえて連続で「わっふー」しなければ進めないギミックも登場しシンプルだがアクションに深みはあった。


・物語について ~ネタバレあり~

物語の冒頭はそのゲーム性も相まってゆったりとした印象だ。
村の峠で爆発があったため友人のヒューポとともに現場を見に行ったクロノア。そこで謎のお姫様がいかにも悪そうな黒マントの怪人に誘拐されるところを目撃する。
その現場にペンダントが落ちていたため持って帰って育て親であるお爺さんに見せるとどうも世界が本当に危ないかもしれないということになり森の賢者おばば様へ相談にいく。
冒険のきっかけとしてはかなりオーソドックスな展開だ。
尚、ここまでの話が大体ゲーム全体の半分になるので、前半は割と一般的な2Dプラットフォーマーと変わらない印象だった


物語の中盤で大きな事件が起こる。
おばば様との相談が終わって家に帰るクロノアその途中で敵の戦闘機が見える、そして目の前でその戦闘機が家を破壊し預けていたペンダントを奪い去ってしまう。
そして、なんと家にいたお爺さんまで殺されていた。
ここで一気に物語のボルテージが上がります。

そして物語ラストは復活した伝説の悪魔を倒してお姫さまを救いお礼の言葉をもらって一件落着。

と思いきや・・・・・

ヒューポから衝撃の事実が伝えられる。
実はクロノアはヒューポが別の世界から呼び出した存在だった。
人の夢でできた世界「ファントマイル」
クロノアは別の世界の住人でクロノアは夢そのものだった。
目的を果たしたクロノアは元の世界に帰らなければならない。
伝説の悪魔により破壊された世界を修復するためお姫様が歌い始める
するとクロノアも同時に世界に戻されてしまうというラストだった。

さらにこの物語には一つ大きなトリックが隠されていた。
それはクロノアは誰の夢だったのかということ
本作はゲーム開始時に名前を入力させられるのだが、
これはセーブの際にどのデータなのかを識別するために使われるものだと思っていた。しかし、エンディングで入力した名前が登場しクロノアはプレイヤーの夢であったことが判明する。所謂メタエンディングだったのだ。これには驚きました。


・総評

サウンド、ビジュアル、デザイン本作ほど世界観を丁寧に作り込んでいるゲームもめずらしい。

ある意味ゲームジャンルの王者とも呼べる2Dプラットフォーマーには
様々な有名なゲームシリーズが存在する。
その中でも本作はシナリオが強烈に印象に残るタイトルだった。

アクションもシンプルであるが奥深く隠しアイテム等のやり込み要素も存在し周回プレイも楽しめる。

クロノアというキャラ自体も魅力的でNAMCOを代表するマスコットになるポテンシャルはあるが、肝心のゲームとしての面白さが本作ですでに完成されているため現行機Switch等で続編を作ることが難しいのではないだろうかと想像してしまった。

そのくらい本作は素晴らしい出来だったと思う。



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