「バラの一生は、どの瞬間を切り取っても完璧である」〜『自己信頼』より
先日、100ページ余りの短い本のなかで気になるフレーズにいくつも出逢いました。なかでも心に響いたのが「バラの一生」について書かれたこんな一節。
草の葉や咲きこぼれるバラを見ると、自分が恥ずかしくなる。わが家の窓の下で咲いているバラは、過去のバラやもっと美しいバラを気にかけたりしない。
これらのバラは、あるがままに咲いている。神とともに今日という日を生きている。これらのバラに時間はない。ただ、バラというものがあるだけだ。
バラの一生は、どの瞬間を切り取っても完璧である。葉の芽が萌え出る前から、その命は躍動しており、花が満開になったら増えるというわけでもなく、葉が落ち、根だけになったら減るというわけでもない。バラの本質は、どの瞬間においても等しく満たされており、自然もまたバラの存在に満たされている。
満開に咲いているときだけが素晴らしいのではなく、芽が出る前、枯れた後、根だけになってさえも「完璧」なのだ、という主張にはハッとさせられます。
では、なぜ完璧なのか?
それは、バラが人間と違って、過去を悔やんだり、つま先だって未来を予見したりせず、いまを自然とともに生きているから。
すこし先にはこんなフレーズもあります。
幸運をつかむ鍵は手元の喜びにある。
あなた自身をおいて、あなたに平和をもたらすものはない。
いまを正直に生きることで、幸福になれるし、強くもなれるとの主張にはなんだか励まされる思いがします。
ちなみに、本書の主たる主張は「いま考えていることを断固として語りたまえ」という強いもの。
・「一貫性」の罠にとらわれるな。
・矛盾を気にせず「いま」を語れ。
・自分の精神の高潔さを大切に扱い、自らを解き放て!
…という強い主張が並ぶなかで、バラの一生の話は違った響きがあり、強く印象に残りました。
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今回の「言葉のごちそう」は、ラルフ・ウォルドー・エマソン著『自己信頼』から。読書会 人間塾の課題図書として出逢いました。
言葉のごちそうに感謝!
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