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喫茶店における独自性

いろいろな喫茶店に通っていると、その独自性に驚かされることがある。

例えばアイスコーヒーを頼んだ時に、「アイスコーヒー生クリーム抜きでー」とオーダーが入る店があった。通常の状態が生クリームありなのだ。
ホットコーヒーを頼んだつもりが、激甘カフェモカのこともあった。

テーブルに置いてある小瓶に塩とコーヒー豆が詰まっていたり、古く渋い店内なのにBGMがエドシーランのShape Of Youな事もある。マスターの乳首が透けていたりするし、ピザトーストの注文を受けたのに、テレビが気になってなかなか調理が進まないご主人もいる。

チョコやクッキーをサービスしてくれる店はよくあるが、朝食以外でもゆで卵のところもある。手のひらに収まらないくらい巨大な卵だが、茹で具合が完璧な半熟卵だった。

これらは私にとっては驚くべき個性だが、そこにいる人々にとっては長い生活の変哲もない1日で、私は大勢の客うちの一人にすぎない。閉ざされた環境で繰り返し研がれてきた習慣なのだ。

独自性は、周りと違った事をしようと意気込んで得られものではなく、長い時間の中で直面するいくつもの選択肢に対し、最善の答えを繰り返し選び取り続けた結果なのだと思った。

喫茶店が好きなのは、小さな異文化体験ができるからでもあると気づき腑に落ちた日だった。

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