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SAIKAI@MIYUKI・第4話「それぞれの愛の形…。」

LINEで送られて来た美幸の顔写真、facebookのプロフよりも綺麗にみえる。多少のしわはあるのだろうけど、俺にはそのしわは視野に入らなかった。それよりも何よりも黒いショートカットのヘアスタイル、黒目の多い大きな瞳、そして…大きな口と白い歯、変わらなかった。30数年前の彼女のあの時の笑顔と全く変わらなかった。時間がまるで止まったかのようだった。



ヒロちゃん♪

今の美幸でーす! どう?昔と変わらないでしょ?ごめんねー!ちょっと加工アプリで弄っちゃった!(*'ー'*)フフッ♪

ヒロちゃんの顔もfacebookで見たけど変わらないね。やっぱりアプリで弄ってるの?( *´艸`)ムフフ♪





追っかけのLINE、こんな無邪気さもあの頃と
変わらない…。こんなくだらないやり取りなのに俺の心はたまらないやるせなさに包まれていた。


俺はそんなインチキはしていないぞ!

…なぁ~んて、シミとしわは消してる!
美幸ちゃん、今、名古屋なんだね!

旦那さんの転勤とかでいるのかな?子供ももう大きいんでしょ?





訳というものを聞いてみたい……でも聞いて今更どうする?それよりも今のお互いの状況の中でやり取りしているのがいいのかな。
そんなことを思って一気に今の美幸の核心をLINEで突いてみたのだが……

どれほどの時間が過ごしたことか。「待てど暮らせど」という言葉は大袈裟ではあるが送信してから30分以上は過ぎていた。
もしかして…長文を打ち込んでいて時間がかかっているのか?それとも……打ち込むことを躊躇する何かがあるのか?


やはり唐突すぎたのか?もっと「序章」が長くてもよかったのか?いきなり核心をついた質問はせっかち過ぎたのか?と思っていると……スマホからLINEの着信音が鳴った。


俺はいろいろな思いが頭の中で巡ってしまいLINEを開くのが怖かった。
一体何が書いてあるのか、俺はどういう答えを
期待しているのか?普通の答えを期待している自分ともうひとつ……まさか……と思うような衝撃的な答えを期待しているのか?俺の心の中には人格の違う2人の男が存在していた。その答えを知るべく俺は美幸からのLINEを開いた。





さて、どうなんでしょ?(●´ー`●)

いいじゃん!謎の女で!ここではあの時のヒロちゃんと美幸でいたいの!ただ、連絡が途絶えたあの1年のことだけはちゃんと教えるね。そうしないと私の長年のモヤモヤが晴れないからね!





完全に美幸に手玉に取られているようだった。
昔から何を考えているか、わからなような天然な所はあったけど、彼女は優しかったから絶対に怒るようなことはなかった。今の自分の事は聞かれたくないのかもしれないが過去の気になっているその「訳」というのは教える、という所がいかにも美幸らしいな、俺も優しいところをみせないと…。



わかったよ!(●´ー`●)

その心に引っかかっているという訳を聞かせて。でも今すぐでなくてもいいよ。出会っていきなり聞いても、もしかしたら俺も受け止められないかもしれないからね…。

美幸ちゃんがちゃんと言葉を整理して話せる
タイミングでいいからね!(●´ー`●)



本当にその通りだった。もしかしたらとても受け止めることが出来ないほどの事実があるとしたらと思うと…考えすぎかもしれないが…。
美幸がすぐ返信して来た。




うん、わかった…じゃあこれから用事を済ませて、それからじっくり言葉を選んで夜にまたLINEするね!(●´ー`●)




俺たちはそこで一度やり取りをやめた。
手持無沙汰な俺は美幸の事を少しでも知りたくて基本的な事に気づいてしまった。彼女と繋がったのはfacebookだろう!彼女の近況はこれを見ればわかることではないか!俺は彼女のfacebookを開き、覗きだした。


「陽子と久しぶりに再会!」
病院での写真、友人らしき女性とにこやかに。


「久々の食事会、楽しかった〜!」
居酒屋らしき店で女性3人と楽しそうに……。


気になるプライベートな記事はなかった。ここまで来たら徹底的にスクロールして過去の記事を見続けてやる。俺はほとんどストーカーのような状況で必死になっていた。しかし最近facebookを始めたようで記事は5つしかなくこんな写真ばかりだった。そんな状況を察したかのようにメールが届いた。ゆりからだった。




ヒロ、お仕事お疲れ様、寝ていたらごめんね!
美幸から連絡来た? こないだFBで美幸と繋がっちゃっていろいろやり取りしているうちにヒロのこと思い出して思わず美幸に教えちゃったんだけど……
迷惑じゃなかったかなと思って……。




ゆり、ありがとう。特にやり取りのないゆりの
おかげでこうやって美幸と繋がったこと、迷惑どころかとても有難く思っている。 そして程なく追っかけのメールが届く。





美幸にはヒロは独身でいるって言っちゃったんだよね!  美幸は何か言ってた?




ゆり、それは余計なことだ……え?俺が独身ということを知っていて美幸が繋がって来たという事? まさか、まさかの事を期待していた俺はゆりに返信した。




それって・・・・どういう事?
美幸ってまさか……ひとりなのか?



これが自分の妄想ならとても恥ずかしいことなのだが……すぐ、ゆりからの返信が来た。






うん、美幸は今もひとりだよ・・・




この瞬間、俺の妄想は現実に変わった……。


           〜第5話に続く〜

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