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My Love〜高校生編・第3話「今、何て言ったの?」

裕華は間違いなく、僕の事を嫌いではないと思う。しかし、それが好きとか愛しているという世間一般の「恋」という感情を持って僕に接してくれているのか?と思うと僕の頭に沢山の疑問符が突き刺さる。

僕がこの煮え切らない裕華への思いを伝えずに
胸にしまいこんで今までどおり接していればいいかも知れない。でもそれを我慢することは僕にとって、もう限界だった。

自分のこの気持ちをはっきり伝えたい。生まれて初めて、本当に心から女性を好きになったということに淡い苦しささえ感じた。


「こんなになったのは裕華、君のせいだよ…。」


なぁ~んて言えるわけないよなぁ……。


僕がもし仮に勇気を持って告白したとして、もし裕華にその気持ちが無かったら…と思うと、そのほうがとても気まずい。今までのような接し方もできなくなってしまう。どうすればいいんだろう…。


そんなこと考えてたある日の放課後、裕華は友達と映画を観る!とか言ってさっさと帰ってしまっていた。僕は裕華がいない時に話したかった裕華の友達を探していた。辺りを見回すと……いた!
裕華の友人のひとり、寺田由美がまだ、教室に残っていた。
僕は藁をもすがる気持ちで、彼女に声をかけた。


「あの~、寺田さん、ちょっと話があるんだけど…。」


彼女は唐突に話かけた僕にびっくりしたみたいだった。



「え?荒木君、どうしたの?」




「あのさ……柏木さんって…その……彼氏とかいるの?」


「裕華?な~んだ、裕華か、私じゃないのね?ちょっとドキドキしたのに!」



 「エ、エ、え~っ!!!」


「冗談よ、荒木君、裕華ととっても仲がいいもんねー、荒木君……裕華の事……好きなの?」



「………、う、うん」



「へぇ~、荒木君も男の子だねぇ、でも似合ってるよ、荒木君と裕華なら。」



「あ、ありがとう……ただ、柏木さんってあんな感じで、僕の事、恋愛対象なのか、どうなのか、わからなくて……どうしたらいいかと思って…。
自分から僕の思いを彼女に言うのが本当なんだろうけど……とても告白なんか自分じゃ出来ないし、仮にもし勇気を持って告白して、彼女が僕の事、恋愛対象として見ていなかったら、彼女とはこれから話しづらくなってしまう、だから…」


「だから……それで、私に相談ってわけね…確かにあの子、誰にでも人あたりはいいからねぇ………わかった。それとなく聞いといてみるね。それとなく!」


「ありがとう、寺田さん。」



自分で言うのもおかしな事ではあるが、僕は人が変わったと思う。裕華のことがなければ、元々人見知りの僕が、話したこともない寺田さんに自ら声をかけに行くなんてありえないことだったと思う。人を好きになる力ってすごい!と自己満足に陶酔しきっていた。



数日後、朝バスから降りて学校に向かう僕、同じバス路線でも、裕華はいつもギリギリのバスだったので一緒に登校なんてことはまずなかった。学校まで歩いていると寺田さんが声をかけてきた。


「荒木君、おはよう!」


「あ、寺田さん、おはよう。」



「荒木君、この間のこと、裕華にそれとなく、聞いてみたのね………裕華はね、荒木君のこと…」


大型トラックが一度に何台も僕らの横の道路を通り過ぎたので、寺田さんの肝心な声が途切れてしまった。



……今、何て言ったの? 裕華は? Yes?No?


そう聞き返したあと、僕は寺田さんからとてもショッキングな言葉を耳にするのだった…。

            〜第4話に続く〜

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