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なんでもない日を求めて。


「もう寝過ごしたりしない。」

なんて誓ってから、半年ほど経っただろうか。

久しぶりに早朝の漫画喫茶を後にし、絶対に採算の取れていないだろう、人数少ない電車に揺られ、帰っている。

暖房により温められた体と、人生をなめ腐った性根に、マイナス一度の空気が容赦なく現実を教えてくれた数分前を既に忘れ、電車のシートにぬうぬうと身を包む。

イヤホンをはめ、毎週唯一の楽しみである「霜降り明星のオールナイトニッポン」のアーカイブを聞きながら、まだ明るくなる気配もない外の景色を眺めていると、ほぼ同い年の天才二人の笑い声に、普段は感じない劣等感や虚無感を覚えてしまった。

こういう時のブラックコーヒーはいつもの2倍苦い。

本当は何も考えず、夕べの楽しかった思い出に浸りながら、ただウトウトして家まで辿り着きたい。

それを許してくれないのは、否が応でも将来を見据えてしまう年齢ゆえの不安と、それでもこの先のどんな瞬間より可能性を秘めた自分への期待とでも言おうか。

人の目に触れるかもしれないと思うと、キザな表現をしてしまう。

嫌いな癖だ。


三連休2日目の早朝には、スノーボードを抱えて電車に乗る人が多い。

そんな、いつ使えるか見当もつかない新たな知識を蓄えて、怨むべき日常へと帰る。

少しだけ、空が青みがかってきた。

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