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デザインの生命潮流


デザインの生命潮流とプロダクトの歴史

私たちを取り巻く環境

太古の昔、私たちを取り巻く環境は自然そのものでした。人類は狩猟採集に明け暮れ、森との境界や田畑を相手に格闘し、文明を築き上げてきました。

自然は多くの恵をもたらしましたが、一方で寒さや飢餓・動物の襲来・災害などをもたらす畏敬の対象でした。疫病も何度も世界的な規模で人類の存続を脅かしてきました。

やがて都市文明の中で暮らすうちに、私たち人類を取り巻く新たな環境が生まれました。

それはペットというコンパニオンであり、無数のプロダクトであり、メディアという情報へのインターフェイスです。

育種によって生み出された野菜や花も、人工的な飼料で育った家畜も、里山の風景や、手のかかった竹林や森林も自然界には元々存在しなかったという意味で人工物(アーティファクト)人工物です。 

いつしか人類は自分たちが生み出した数々の人工物(アーティファクト)の中に囲まれて暮らすようになったのです。  

都市文明が成熟した現代においては、人類の黎明期における自然への畏敬の念は薄らぎつつあったり、逆に回帰を求めたりと一様ではありません。

とはいえ、私たちが動物であり、生命である以上、自然はあいかわらず恵みをもたらしてくれる大切なパートナーであり、私たちが自然の中の一部であることに変わりはありません。同時に文明という殻に守られた今でも、自然は油断をすれば容赦なく牙を剥いて私たちに襲いかかってくる外界であることも誰もが理解している時代なんだと思います。

そしてプロダクトにせよ、メディアにせよ、私たちの身体や脳の延長から生み出された人工物という「新たな環境」も、私たちに数々の新たな恵をもたらして来た一方で、時折私たちや社会に牙を向けるのだということも私たちは知っています。

自然とアーティファクト。私たちの外にある環境。その境界との格闘から逃れられないのが人類の宿命なのでしょうか?

さてさて、それはさておき、面白いことに人類が生み出してきた数々のプロダクトには、ペット的な側面もあり、同時にメディアの役割や機能もきちんと備えているのだということに、今日気づくことができました。

21_21 DESIGN SIGHT の企画展


 The Original
 〜並はずれた、創造の力。〜

を見に行きました。

デザイン界の今を牽引する土田貴宏さん、深澤直人さん、田代かおるさんによって選ばれしプロダクトが100点以上一堂に展示されている様はまさに圧巻です。

私たちの暮らしを取り巻くプロダクトは互いに影響を与えながら、私たちの暮らしを便利で快適なものへ導くツールとして進化してきました。ギアとかアイテムなんて言い方されることもありますよね。

デザインという生命潮流の中で、それらは決して一方向だけに流れるものではなく、細分化して多岐にわたり、おのおのの流れには揺り返しや反動もありました。

新たなプロダクトの登場が、私たちの暮らしや時には社会をもざわつかせ、痛烈なインパクトを与え、それぞれの時代のマイルストーンとなってきたのです。そんなオリジナルたちがぎっしり詰まっている展示会です。そこから俯瞰されるデザインの歴史を会場で感じ取れることでしょう。

扱われているプロダクツは単なる機能の枠を超えて、私たちの暮らしや心に安らぎや楽しさ、居心地の良さを与え、時には自然への配慮さえも訴えてきました。

日本で初めて立体商標として登録されたお魚のスポンジ、3Mのポストイット、ホンダのカブ、肌触りに良いオムロンの体温計など、お馴染みの日本のプロダクトも展示されています。

デザインの持つ果てしなく限りないパワーを感じることができた展示でした。

21_21 DESIGN SIGHT 企画展 Exhibition
“The Original” Directed by 土田貴宏 「akahiro Tsuchida
2023.3.3fri
-6.25sun
会場 Venue:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2 Gallery 1&2
開館時間 Opening Hours:10:00-19:00
休館日 Closed on 火曜日 Tuesdays
(最終入場 Entrance until 18:30)
(除く Except 2023.3.21)
#theoriginal
#2121designsight

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