おまえも不良外人だったのか
今朝、このへんでは見たことのない動きをする鳥が遠くにいた。コンパクトカメラの望遠機能を使ってようやくとらえた。ガビチョウだった。数日前、近くの電線に止まっているのを写し、SNSでガビチョウだと教わったばかりだった。前回のガビチョウと同じ個体だろう。
去年、信州の友人から、鳴き声がうるさいと聞いていた。今年、はじめて本物を見た。中国から愛玩用に移入された鳥だという。いまでは侵略的外来種ワースト100のひとつで、法的には特定外来生物に指定されている。ひと言でいえば“悪い鳥”らしい。ハワイでは移入後に在来種が減少したというくらいだ。
自分は典型的な日本人である。日本人は、いかにも島国の人間らしく、どこか排他的である。と、同時に、侵入者に対してかなり甘い。「海の向こう」への恐れは憧れをも刺激する。戦前、来日した東南アジアの国からの音楽バンドへ日本の若い女性たちが殺到し、むらがった光景を忌々しげに語るおとなの話を聞いたのを思い出す。
日本人は緻密さに欠ける。とくに動植物の外来種に対しては寛容である。結果、従来からの生態系を危険にさらしてしまう。検疫がゆるかった時代、いつのまにか輸入品などについて入ってきた草花は多数あって、それらが幅を利かせている例は枚挙にいとまがない。
近代にいたっても、むしろ積極的に生きものたちを移入し、あげくに生態系を乗っ取られてきた。毎朝の散歩コースにある川には、「ミドリガメ」の名でペットとしてアメリカ大陸から渡ってきたアカミミガメが捨てられ、野生化して、いまやわがもの顔で甲羅干しをしている。
鳥にしても、南国をふるさととするワカケホンセイインコが野生化し、集団で飛んでいる姿を頻繁に見かける。そこにガビチョウである。ハワイもそうだが、だいたい、遠く離れた島国は海に守られてのんびり生きてきたから人も動植物も外敵にはいたってだらしがない。
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