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もう迷わない!オーディオコーデックの分類と種類について

オンラインで音楽を聴いたり、動画を見たりする際、様々なファイル形式やコーデックに出会いますが、その中で「コーデック」という言葉を聞いたことがありますか?この記事では、初心者のためにオーディオのコーデックとは何か、そしてその基本的な概念について簡単に解説します。

オーディオのコーデックとは?


オーディオコーデックは、単純に言えば音声データを圧縮したり、再生したりするための方式やアルゴリズムのことです。言い換えると、音声データをデジタル形式で保存する際に使われる「圧縮方法」を指します。

コーデックにはさまざまな種類がありますが、基本的な分類としては、
・非圧縮形式のフォーマット
・ロスレスコーデック(可逆圧縮)
・ロッシーコーデック(非可逆圧縮)

の3つに分類されます。

これらのコーデックは、それぞれ異なる特性を持っており、使われる場面や用途によって選択されます。では、それぞれのコーデックが具体的にどのようなものか見てみましょう。



非圧縮形式のフォーマット

オーディオの非圧縮形式のフォーマットは、音声データを圧縮せずにそのまま保存する形式です。代表的な非圧縮フォーマットには、以下のものがあります。

WAV (Waveform Audio File Format)

WAVは、1980年代にMicrosoftとIBMによって開発されたロスレスコーデックです。当初はWindows 3.1およびOS/2ステム向けのオーディオファイルフォーマットとして設計され広く普及する。
音声を非圧縮の形式でそのまま保存するため、圧縮率は0%です。つまり、元のオーディオデータと保存されるデータは同じになり、ファイルサイズは非常に大きくなります。

・圧縮率は0%
・ほとんどのOSシステムやプレーヤーでサポートされている
・オーディオデータに関連するメタデータを保存できる
・ファイルサイズが大きい
・拡張子は".wav"

AIFF(Audio Interchange File Format)

AIFFは、Appleとエレクトリック・アーツ(EA)によって共同開発されました。元々はMacintoshプラットフォーム向けに開発され、1988年に初めてリリースされています。その後、他のプラットフォームにも広く採用されました。Pro Tools、Logic Proなどオーディオ制作ソフトウェアなどで広くサポートされています。

・圧縮率は0%
・主にAppleの製品やソフトウェアや一部のWindowsやLinuxベースでサポート
・オーディオデータに関連するメタデータを保存できる
・拡張子は".aiff"または".aif"


ロスレスコーデック(可逆圧縮)

ロスレスコーデックとは、圧縮後も元のデータを完全に復元できる形式です。音質は非常に高く、元のオーディオ品質が完全に保持されます。以下が代表的なロスレスコーデックとなります。

FLAC (Free Lossless Audio Codec)

音声データを非圧縮(元の音質を損なうことなく)の形式で保存しながら、ファイルサイズを大幅に削減します。なので、圧縮率は約50〜60%で、元の音声データを完全に復元させることができます。
最初のバージョンは2000年にオープンソースのフリーソフトウェアとして公開され、その後多くの開発者によって改善・拡張されて現在も定期的なアップデートやメンテナンスが行われています。

・圧縮率は約50〜60%
・オーディオデータに関連するメタデータを保存できる
・多くの一般的なプラットフォームやアプリケーションで利用できる
・拡張子は".flac"


ALAC (Apple Lossless Audio Codec)

ALACは、Appleが2004年に開発し、同社のiTunesソフトウェアおよびデバイス(iPod、iPhone、iPadなど)向けに開発したロスレスコーデックです。

・圧縮率は約50〜60%(FLACとほぼ同等か少し上回る)
・オーディオデータに関連するメタデータを保存できる
・主にAppleのエコシステム内で広くサポート。
・逆にALACは他のプラットフォームやデバイスでのサポートは限定的(徐々に増えてはいるそう)
・拡張子は".m4a"や".caf"(Core Audio Format)

WAVPACK(Waveform Audio File Format Pack)

非圧縮のオーディオデータを圧縮するためのコーデックであり、FLACやALACと同様の目的で使用されます。WAVPACKは、非常に高い圧縮率と高品質の音声を提供することができます。

・圧縮率はFLACやALACより若干優れている
・ファイルサイズが比較的軽い
・FLACやALACより普及はしていない
・拡張子は".wv"


ロッシーコーデック(非可逆圧縮)

音声データを小さくするために、一部の情報を圧縮中に削減する方式です。圧縮後のデータを元のデータに完全に戻すことはできませんが、一般的には音質を大幅に低下させることなく、ファイルサイズを縮小します。代表的なロッシーコーデックには、MP3、AAC(Advanced Audio Coding)、Opusなどがあります。


MP3(MPEG Audio Layer-3)

MP3は、音楽ファイルを圧縮するために広く使用されるロッシーコーデックです。音声データを圧縮する際に、高周波数の音や人間の耳にあまり影響を与えない音を除去することで、データサイズを大幅に削減します。MP3は、オーディオのストリーミングやダウンロードなど、様々な用途で広く使用されています。

・1980年代後半に開発
・拡張子: は".mp3"


AAC(Advanced Audio Coding)

AACは、MP3よりも効率的な音声圧縮を提供するロッシーコーデックです。AACは、より高い音質を維持しながら、より小さなファイルサイズを実現します。このため、iTunesやApple Musicなどのデジタル音楽配信サービスで採用されています。

・1997年に開発
・拡張子: は".mp3"


Opus

Opusは、インターネット上の音声通話や音楽ストリーミングなどのリアルタイム通信用に設計された比較的新しいロッシーコーデックです。Google、Mozilla、およびXiph.Org Foundation(オープンソースのマルチメディア技術を推進する非営利団体)によって2010年代初頭に開発されました。主に非可逆圧縮のために設計されていますが、可逆圧縮モードもサポートしており、音声データを圧縮する際に情報を失わずに圧縮することも可能です。

ます。可逆圧縮モードでは、高い圧縮率と音質のバランスを実現しています。また、比較的新しいコーデックであるため、対応しているデバイスやソフトウェアがまだ限られているという点に注意が必要です。す。Opusは、高い音質と低遅延を両立させることができ、さまざまなアプリケーションで使用されています。

・2012年に開発
・拡張子: は”.opus"


まとめ

オーディオのコーデックには、ロスレスコーデックと非圧縮形式のフォーマット、そしてロッシーコーデック(非可逆圧縮)の3つの主要なカテゴリーがある。

非圧縮形式のフォーマット:WAV、AIFF等
音声データを圧縮せずにそのまま保存する形式で、WAVやAIFFなど。音質の損失とデータ容量を気にせずに高品質な音声データを保存したい場合。

ロスレスコーデック(可逆圧縮):FLAC、ALAC、WAVPACK
音声データを圧縮する際に音質の劣化を最小限に抑える方式で、FLAC、ALAC、WAVPACKなどが代表的なフォーマット。高品質な音声データの保存に適しています。

ロッシーコーデック(非可逆圧縮):MP3、AAC、Opus
音声データを一部の情報を犠牲にして圧縮する方式で、MP3、AAC、Opusなどが代表的なフォーマット。ファイルサイズを小さくするために音質を犠牲にすることを許容できる場合に使用。

他にも普及率が低いものの、ロスレス形式にはMusepackやAPE (Monkey's Audio)、WMA Lossless、AAudio等々さまざまなものが開発されていますがひとまず上記に挙げたものを押さえておけば大丈夫です。

オーディオのコーデックを理解することで、異なるフォーマット間での音声データの互換性や音質の特性を理解し、適切なフォーマットを選択することができますので、この機会にぜひ覚えておきましょう!


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