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美術館ビギナーが、ほぼノープランで美術館(デ・キリコ展)に行ってきた件

先日、東京都美術館へ行ってきました。

私はこれまで「片手で数えられる程度」しか行ったことが無く、しかも最後に美術館に行ったのは10年以上前という「美術館ビギナー」
ですが、先日「ワクワクするビジョンをつくるにはアートを取り込むことが大事だ」ということも書いたとおり、改めてアートへの関心を持ち始めたのでした。

たまたま午後の予定が空いた日が出来たので、半休を取ってほぼノープランで上野に向かいます(ほかにも美術館はあるのでしょうが、「美術館といえば上野」というイメージがあり・・・)。


久しぶりの美術館、たまたま選んだ題材は「難解な作品」

上野公園には国立西洋美術館など、複数の美術館があります。

美術館ビギナーの私は「とりあえず国立の美術館行ってみよう」と向かったのですが、なんとこの日は休館日。

ということで、近場にあった東京都美術館に足を運んでみます。

東京都美術館

美術館ビギナーではあるものの、今から7年前、山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』という本に感銘を受け、そこで紹介されていた「VTS」※に関する本も読んでみて、「今回は、まず作品をよく見よう!」 という気持ちで館内へ。

※VTS
「Visual Thinking Strategies」の略語。アート作品の鑑賞を通してヴィジュアルリテラシー、思考力、傾聴や自己表現といったコミュニケーション力を向上させるプログラムとして、教育現場などで活用されている。
これらの能力は、以下の要素によって促進される。
・アート作品をみること。その際、徐々に複雑な作品をみていくようにする
・発達段階に即した問いかけに応えること
・教師のファシリテーションによるグループ・ディスカッションに参加すること

『どこからそう思う?学力をのばす美術鑑賞』より引用・一部改変

何やら特別展がやっているようなので、「せっかくだから行ってみよう」と足を運んだのが「ジョルジョ・デ・キリコ展」です。

「予言者」の描かれた展示ポスター
美術館出口のフォトスポットにて撮影

私より詳しい方だとご存じなのでしょうが、キリコの絵は「何を書いているのかパッと見では分からない」ことで有名なようです。

後で、先述の山口さんの書籍を読み直したところ「キリコの絵画などを題材にしてしまうと、「なんでもいいから感じたことを話して」と言われても戸惑ってしまい、ほとんど意見らしい意見が出ない可能性があります。」という記述も発見しました(7年前に読んだので、その辺の記述は忘れてしまっていました)。どうやら美術館ビギナー、いきなり難解な題材を選んでしまったようです。。

ジックリ見ることを実践してみる

とはいえ初志貫徹。
10年前なら絵を見て、サッと解説文に目を向けて「ふんふん」とうなずきながら次の絵に向かうところ、「何が書かれているのかをジックリ見て」「感じ取ったことを頭に浮かべて」から解説文を読んでみることとしました。

最初は自画像など「何が書いているかわかる」絵のゾーンだったのですが、徐々に難解になっていきます。
(絵を抜きにすると、表現できないので、ムック本からいくつか画像をお借りいたします。)

「詩人の悦び」
出典:『もっと知りたい デ・キリコ』

風景の中、唐突感ある彫像が置いてある絵であったり、室内に乱雑に置かれた品々があったり・・・。

「ヘルメス的憂鬱」
出典:『もっと知りたい デ・キリコ』

極めつけ(?)はヒトではなく、マネキンが登場人物的に描かれる絵の数々。

それでも何故か、見ているうちに愛着のような感覚が芽生えてくるのが不思議なところです。

「ヘクトルとアンドロマケー」
出典:『もっと知りたい デ・キリコ』

ビギナーの鑑賞に音声ガイドのアシストは大きかった

今回の美術鑑賞、楽しむのに大いにアシストしてくれたのが、何気なく入口で購入した「音声ガイド」でした。
いくつかの作品で、ムロツヨシさんが語る解説を聴くことができます。
(これまでは、そもそも1人で美術館行くことも無かったので、音声ガイドを買うことはありませんでした)

「絵を見る」→「自分なりに感じたことを頭に浮かべる」→「文字の解説を見る」→「音声ガイドを聴く」という順番で、最後に音声ガイドを聴くようにしたのですが、これが良かった。

音声ガイドを聴いて「え?そんなの描いてあった?」と思うものがあれば、再び絵に立ち戻ってみる。時間があったのと、平日で人が少な目だったこともあったかもしれませんが、そのような過ごし方ができました。
(木下さんvoicyの、聴く→コメントする→次回コメント返しを聴く、みたいな流れに近いかもしれませんw)

それと途中、作品と同じ名前のクラシック音楽が流れてきました。
普段BGM的にクラシックを聴くこともあり、これも個人的には良かったです。(この時聴いた、サンサーンスの「ヘクトルとアンドロマケー」は流すBGMのレパートリー入りしました)

鑑賞してみてどうだったか?

結局、2.5時間近くかけてキリコ展を見て回りました。
で、どうだったか?
アートの内容について論評できるかと言われると、正直よく分かりませんが、これまでとは異なる体験ができたのは間違いないです。

これまでの「片手で数えられる程度の」美術館体験ではキレイな風景画か、テレビで見たような有名な絵を見て満足感を得ていた気がします。

それはそれでイイと思うのですが、それっておそらく頭脳で絵を理解しようとしていたのだろうなと。
風景画→自分の中で持っている海や山のイメージと照らし合わす
テレビで見た絵→「あ、あの有名なやつね」という記憶と照らし合わす
こんなイメージでしょうか。

その点、今回の「パッと見ではわからないものも、よく見ているうちに愛着のようなものを覚える」という感覚は、個人的には新鮮でした。

これがこの先、ジブン株式会社経営にどう活きてくるかまだよく分かりませんが、楽しかったのは事実なので、また機会を見て違う美術展に足を運んでみようと思います。

本編としては以上ですが、ちょびっと余談書きます。

完全に余談ですが、個人的に鳥肌立った気づき

今回のテーマである「ジックリ作品を見て感じる」を実践してみたところ、以下の絵があるものに見えたのですよね。

予言者(再掲)

それは浦沢直樹さんの『20世紀少年』というマンガに出てくる「ともだち」というキャラクターです。

(↓↓20世紀少年 20巻の表紙に描かれているのが「ともだち」)

このマンガ、まさに「よげんの書」なるものを軸に展開していくので、「ともだち」って「予言者」から来てたのか!?と驚いてます。

そして「ともだち」との間に、カンナという娘をもうけるのが、主人公ケンヂの姉である「キリコ」なんですよねえ。
美術に詳しい人からすれば、とっくに気づいている話なのかもしれませんが、マンガの完結から20年近く経過し、はじめてそれに気づき鳥肌が立ちました。

やはりクリエイターは、他のクリエイターからインスピレーションを得ているということなのですかね。

ということで以上、余談でした。

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