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RMの傑作

RMの初の正式ソロアルバム「INDIGO」がリリースされた。
素人ながらRMの音楽的な資質を高く買ってるものとしては、当然、期待していたが、いろいろな観点において、その期待値を遥かに超えた傑作だった。嬉しい。
アルバムがリリースされてからのRMの表情の穏やかなことったらない。
アルバムの出来について満足している様子がうかがえる。
何よりもそのこと自体が「INDIGO」が傑作であることを表している。

純文学のような詩の世界

いろいろな観点といったが、1つには、ラッパーなので当然歌詞の詩的要素を期待していた。
香り高い文学的作品だったり、解釈の難易度の高い芸術作品だったり、そういうものを勝手に想像していたが、違った。いい意味で違った。
言語の壁に阻まれてどこまで読み取れたかわからないけど、RM自身が数多くのコンテンツでアルバムを紹介しており、媒体が異なっても、表現を変えながらもアルバムを通して言わんとすることには一貫しており確かなものだったから。
10作品のそれぞれが趣のことなる純文学作品のよう。
2019年から2022年の自分の日記のようだと表現していたが、まさにその通り。多面的な自己を、多面的なジャンル(ポップスだったりフォークだったり)を借りて表現している感じ。でも、一貫してRM個人の話し。
そして、自分自身のことを歌っていながら、普遍的に人にも伝わる優しい要素がある。これは、RM独自の世界観があり、デビュー時から、いや、デビュー前からRMの作るものにはそういうものが根底に流れている。それは変わらない。
変わったのは、15年間かけた表現力の技術の向上かも。

アルバム全体を通した音の調和/フロウ

2つ目は、音の話、1曲1曲に流れるフロウも心地よいのだが、最初の「Yun」から、最後の「No.2」までの10曲を通して聴くと流れがスムーズ。

繰り返し聞いていても耳になじむリズムだったり、声質だったり、10曲のうち、8曲はコラボ曲なので、総勢10人ちょっと人の声が収まっている。必要なところで歌ってほしい声が歌いだす。そこが気持ちよい。もちろんリズム・フロウ込みでの声。ベッドで眠りにつく前に流しても気持ちいいのだ。アルバムの音全体が。RMはオーケストラの指揮者のように声質に合わせた見事な配置を行っているかのよう。

もちろん1曲ずつとりあげても良い。聞けば聞くほどどれもよく思えてくる
以下、勝手な感想。

1.Yun (with Erykah Badu)

RMが何度も好きな画家としてSNSに上げているユン・ヒョンクンと対話しているような世界。ユンのオタクだとRMは前にどこかで語っていた。部屋にも飾っている↓。大好きな芸術家を語りたい感じたいという純粋な気持ちから生まれれている詩。
ユン氏の語り(スキット)が最初と最後に流れるがBGM込みでいい。

壁の絵がユン・ヒョンクン作

歌詞で印象に残ったのが以下の部分。芯を突いてる。

Cuz true beauty is a true sadness(真の美しさは真の悲しみだから)

「Yun (with Erykah Badu)」より

2.Still Life (with Anderson .Paak)

「静物画」を英語でかくと「still life」。「I’m」を付けると「I’m still life(私はまだ生きている)」。その面白さを書いている。そういう視点が面白い。明るいポップな曲。
額縁の中の絵を自分に重ねて「止まらない静物」という表現も。
MVはそのイメージを見事に映像化しており、時間、空間、次元の切り方が見事。
美術館めぐりからインスパイアされた楽曲が続く。

3.All Day (with Tablo)

あのTabloとのコラボ・・・。個人的には感慨深い。
(YGコンでみたテヤンとのコラボ曲「Tomorrow」が懐かしい。)
RMは詩人だが、Tabloは詩人の先輩みたいな人。この詩人二人の掛け合いは贅沢。
攻めた歌詞だけど、全体に知的な明るさあり。音もポップ、元気になるリズムあり。


(つづく)


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