フレキシタリアンというのも、なかなか悪くない
いろいろな食生活と環境コスト
Podcastを聞いていたら、フレンチ料理人の生江史伸氏が登場されていた。自分はフランス料理はさっぱりなのだけど、レストランの「L'Effervescence 西麻布」のことはなにかの雑誌で見かけたことがあって、サステナブルな食、というのが主なキーワードだったと思う。
そのPodcastの中で触れれていた話題のひとつに、「フレキシタリアンでも社会的コストはかなり低くすることができる」というものがあった。簡単にまとめるとこんな感じ。
フレキシタリアン=植物性食品が主体だけど、ときおり少量から中程度の量の肉類も食べるスタイル
肉類中心食に比べて、社会的コストは40%以上抑えられる
ベジタリアンやヴィーガンはもちろんそれよりも良いけれど、ベジタリアンでも52%程度
と考えると、まるっきり肉をやめなくても、環境負荷はかなり抑えられる
なるほど興味深い、と思って調べてみると、国連食糧農業機関(FAO)がリリースしている報告の要約版を見つけることができた。
世界の 食料安全保障と 栄養の現状 2020年報告(要約版)
https://www.jaicaf.or.jp/fileadmin/user_upload/publications/FY2020/SOFI2020_InBrief_JP.pdf
件の話は第二章のP.32あたりにグラフでまとめられていたので、その部分を引用させて頂くと、こんな感じ。
これって面白い。タンパク質でいえば肉ではなく豆をある程度取り入れることによって、社会的コストをかなり抑えることができる、ということになる。
肉や豆、それ以外にもいろいろな食品についての温室効果ガス排出量については、BBCのこの記事が分かりやすいかもしれない。
この中でも出てくる、とある研究論文からの図。
これは圧倒的。なんとなくは知ってはいたものの、こうしてグラフなどで視覚的、統計的に出てくるとびっくり。
意外とエビって多いのか、とか、チョコレートの上ブレ具合もなかなか凄いな、とか。その中でも、やはり牛肉の温室効果ガス発生量はとてつもない。
もうひとつ、社会的・環境的な話ではなく、個々の人に関わる話でいうと、健康コストについてはこんな感じ。
これまた凄い差が。グラフの青い部分の「直接」となっているところ=個人が支払う医療費などで、つまりは肉食中心の現行のままだと発生しがちな疾患(おそらく主に癌や心疾患)によるコスト、ということ。将来的にお財布へのダメージがありますよ、ということを示しているわけで、こういうところは個人へのインセンティブになるのでは。
フレキシタリアンでも良いんじゃないか
ということようなことを全部が全部知っていたわけでもないのだけれど。
今年に入ってからの体調不良(主に体重減少)で内科の診察をいろいろ受けてきたことや、その中で改めて菜食についての書籍や研究を見てきたことはこのnoteでも書いたりしてきた。そこで得た知見ともだいたい合致するないようで、なるほど確かにそういうことだよな、という納得感がある。
ただ、自分の場合、どうやら豆の摂りすぎはうまく消化できないみたいで、結果として落ち着いたところは、ここで言うフレキシタリアンだった、ということになる。基本的にはプラントベースだけど、魚も卵も乳製品もそこそこ摂るよ、というスタイル。
正直、ベジタリアンになれるならその方が良いなあ、とは思いつつもそれでは体がダメになるようなので、なんとなく次善策を選んでいるようで、少し後ろめたいというか、割り切れないというか、中途半端だな、という気分はあった。けど、環境面でも健康面でも「なかなか良いことやっている、はず」ということが客観的な事実としても見えてきて、ちょっと救われたような気分になった。
なんとなく想像だけど、自分と似たようなことを考えている人というのも、結構多いんじゃないかと思う。
日本人って(主語が大きいけれど)、中途半端を許さないというか、どっちつかずなところってあまり認めたがらない気がする。例えば趣味で絵描きや音楽演奏とかやっていても、「それってお金になるの?」とかいう視点でゼロイチで語りがちとか。
菜食についても、少しでも肉を食べたら「そんなのベジタリアンじゃない」とかいう風潮、なんとなくあるんじゃないかと思っている。
一方で海外に目を向けると、アメリカとかヨーロッパでも、近場で言えば台湾とかベトナムあたりでも、週に数回の菜食を取り入れている人が「ベジタリアンです」ということは割とある。「いやそれってベジタリアンじゃないでしょ」という風に思ってしまうのは、正しいのだけれど正解じゃない、ということになるのでは。
あと、肉食と菜食がいがみ合っていても仕方がないので、フレキシタリアンみたいな選択肢もあるよ、ということを提示していくのは、実は結構重要なのでは。
とりあえずここで書いておきたかったのは、現在の自分はフレキシタリアンで、それは環境面でも健康面でも「なかなか良いことやっている、らしい」ということが分かった、ということ。
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