春の陽気に気づいてぼた餅
ちょっとやることが多くてバタバタとしているここ最近。
時間に追われてしまってしっかり息をつく間がないような感じだったのだけど、昼間に外に出てみて、いっそう春めいてきたような空気に触れたところでで、ふと気づいた。
そうだ、お彼岸。
なにか行事をするわけではないのだけど、お彼岸といえば、あれを食べなくては。もちろん、ぼた餅のこと。
実家にいた頃は、母親がわざわざ手作りしてくれた。年中行事の何もかもを欠かさない、という人では無かったけれど、新年、雛飾り、端午の節句といった折には、小さい飾りつけをする程度には季節感を大事にしていた。
その流れでなのか、お彼岸のぼた餅・おはぎはなんだかんだで毎回わざわざ小豆から煮て手作りしていた。今考えると、相当な手間だと思う。
そんなぼた餅は、今ならスーパーでも売っているのだけど、やっぱりちょっと違うものを食べたい。そう思っていたここ数年なのだけど、少し前に、東京の旗の台にある米屋さんがやっているぼた餅と美味しいという話を聞いた。少し離れているけれど、せっかくなので行ってみようと。
沖田精米というお米屋さん。開店前に並んで、地元の方に少し話を聞いてみたところ、やはりここのぼた餅が美味しいそうで、昔は自分で作っていたけれども今はここのを買うので十分、ということだった。売り物の味、というよりは家の味、という話を聞いて、俄然盛り上がる。
2個入りか、3個入りか、で迷う。実際に見てみると結構重そう。けど、美味しければ2個で我慢できなくなりそうなので、やはりここは3個入りを。
というわけで買って来たのがこちら。
ぼた餅というと、ひとつひとつ形をつくられたものをイメージするので、個々にまとまっていないスタイルは初めて。パックにお餅が並べられていて、その上にあんこがかけられている。
というわけで、お茶を煎れてさっそくいただく。
ああ、これは……美味しい。
あんこは、甘さ控えめ~ふつうの中間、といった感じ。もっと甘さ控えめかとも思ったけど、それよりは甘め。でも一般的な売り物にくらべたら全然控えめで、上品な甘さ。ところどころの粒がかなりしっかりと残っているタイプのつぶあんで、食べていていい感じのアクセントになる。
それを受け止めるお餅は、どっしりとしてしっかりと食べごたえがある。のだけど、どこかあっさりもしていて、噛んでいる間はかなりの満足感なのに、最後のほうはスルッと消えてしまうような不思議な感じ。
断面で見てみると、かなり潰れたもち米がみっちり、という感じ。もち米オンリーなのかな。ちょっと透明感があるところが、食べたときの最後のあっさり感に通じているのかも。
1個食べたところで、「ああ、美味しいなあ……」と、つい独りごちてしまった。
なんだか落ちつく美味しさ。確かにこれは、家の味、という感じ。
2個めはゆっくりゆっくり食べてみたのだけど、ずっと食べていられるような美味しさ。飽きが来ない。そして最後は「ああ、美味しいなあ……」。
緑茶が美味しい。やっぱりあんこには緑茶だ。
3個め……に行きたいところだけど、ここはぐっと我慢して、少し後で食べることに。でも、3個どころか4個、5個くらい一気にいけそうな感じだった。
実家のものともまた違うけれど、これは確かに美味しいぼた餅。あんこも餅も、どちらもレベル高くて、これは良いものを頂いたなあ。
お彼岸のときには、またここに寄ろう。
少し変わり種のぼた餅もあったので、次はそちらかな。
ごちそうさまでした。
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