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カタい豆腐を求めて三千里

昨年11月の台湾訪問からこちら、豆腐を食べる機会が以前より更に多くなった。

台湾ではたくさんの豆腐料理があるのと、豆腐干や湯葉などもいろいろと料理に使われていたので、自分ももっと手を出してみてもいいのでは、と。なんとなくいつも手が伸びるのは、納豆と木綿豆腐と油揚げくらいになってしまっているので。

台湾で食べた豆腐料理のひとつ。食感も味もしっかりめ。

ただ、日本だとなかなか値段的に躊躇してしまったり。豆腐が安すぎるのかもしれないけれど、湯葉とかはどうしても割高に思えてしまう。

あと、豆腐の選択肢も基本的に絹か木綿しかない、というのもなんとも残念。これは「たべものラジオ」の豆腐シリーズでも言われていたことで、自分も激しく同意してしまうことだったのだけれど、日本だと絹か木綿しかなくて、どちらも硬さ的には全然柔らかくて料理に使うときの選択肢を狭めてしまっている、と思っている。

強いて言えば、沖縄の島豆腐だろうか。確かに沖縄のスーパーで豆腐を持ってみたときにはしっかりと硬いなあ、と思った記憶がある。

本州だと五箇山豆腐とかはかなり硬いという話で、実際に五箇山で昔からの豆腐屋さんで買った豆腐は、確かに硬かった。でも、ギリギリ縄で吊るせるかな、というくらいの硬さ。昔はもっと硬かった、というのがそのお店の人の話だった。

普通の民家のような、五箇山の豆腐屋さん

どちらにしても、スーパーなどで気軽に買えるようにはなっていないのが現状の日本。ラジオの中の話では、アメリカのスーパーの "TOFU" のラインナップは "Silk", "Firm" "Extra Firm" とかあるみたいで、Extra Firm になると水切りしないで炒めもの系にもガンガン使えるレベルだとか。チーズのように使ったり、パテのように切って焼いて食べたりするための豆腐製品もあるそうで、どちらかというと日本よりも進んでる豆腐先進国とも言える現状。というか日本がいつの間にか豆腐後進国になってしまっているように思える。

そういえば、と思い出したのが、昔ベルギーで知人の家に泊まったとき、「日本人なら味噌汁を作ってくれ!」と言われて買った豆腐のこと。包丁を入れた瞬間に思わず「硬っっ!!」と笑ってしまったあの豆腐は、Extra Firm 仕様だったのかもしれない。

ベルギーの台所で作った豆腐のみそ汁

とりあえず近場のスーパーをはしごして、かための豆腐が無いものか見てみたら、ひとつ見つけた。その名も「堅豆腐」。

堅豆腐

持ってみた瞬間「これは重い」と思った。かなりみっちりしているのがわかる。裏面見ても「1丁」というのが面白い。グラム表記じゃないんだ。

実際に開けて切ってみると、かなりの硬さ。ベルギーの豆腐もこれくらいだった気がする。もうちょっと硬かった気もするけど。試しにそのまんま食べてみたあと、いつもと同じように重しをして水切りしてみたけど、あまり水が出なかったので、もとから水切りできている木綿豆腐、と考えると良いのかもしれない。

冷奴として食べてみると、かなりの噛みごたえ&食べごたえ。なかなか良い感じではあるのだけど、ここでの感想は、食べごたえがありすぎてちょっと辛いかも、という感想。

なんというか、押し寄せてくる豆腐感、あるいは大豆感が強くて、正直なところ2~3切れあれば十分なくらいに感じてしまう。なるほど、いつもの冷奴の美味しさは、あの硬さだからこそちょうどいい感じなのかもしれない。

慣れの問題な気もするけれど、ちょっと面白い発見だった。いつもと違うものを知ることで、いつもの豆腐のことが分かった、とも言えるかも。

一方で、豆腐ステーキやマーボー豆腐などにはとても使い勝手が良い。崩れる心配が無いので、普通の料理ではちょっと無理そうな扱いも耐えられるというか、気にせずガンガンいけるのがお手軽。そもそも水切りをしなくても良い、という意味でもお手軽感があるし、用途をしっかり考えていけば素晴らしく良い豆腐。

1丁がどれくらいかと思って計ってみると、530gほどあった。しかも国産の大豆。これで200円。普通の豆腐が350~400gで110~130円くらいなので、水切りの手間とか中身の濃さとか考えれば同じくらいの値段とも考えられる。

実際、栄養成分表示にはたんぱく質が 100g あたり 11.0g となっていて、普通の木綿豆腐は 100g  あたり 7.0g 程度なのを考えるとそれだけみっちり詰まっていることの証になっている。

これは良い豆腐を見つけた。

他の豆腐製品も、もっと良いものがないか探してまわってみようと思う。


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