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沖縄県民投票を終えて政府はどう捉えるのか #28

一昨日の2月24日、投開票を終えた県民投票は、有権者の約38%にあたる43万4273票の反対多数という結果で幕を閉じました。

投票前にはこのような記事を書きました。

正直、反対票は20~30%辺りになるのではと思っていたので、反対約38%、投票率52%という数字はすこし驚きました。
何にどう反対なのかということがわかりづらい面もありますが、この高い数字は決して無視できない結果です。

住民投票は、1/4の得票で大きな民意として捉えられるとしています。
今回の結果は、知事選よりも明確に辺野古基地建設反対の意思が表明されました。

ただ、「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」の第9条で投票結果の効力定義は以下の通りです。

第9条 県民投票において、賛否いずれか過半数の結果が、投票資格者総数の4分の1以上に達したときは、知事はその結果を直ちに告示するとともに、これを尊重しなければならない。
2 知事は、内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に対し、速やかに県民投票の結果を通知するものとする。

県民投票の結果を受けた安倍総理も「投票結果を重く受け止めるが、基地建設は進めていく」との見解を発表しております。

この県民投票によって明確に示された民意が、有効に活用されるのかが気になります。

沖縄県民はどうしたいのか

私は近い人と辺野古基地問題について話すとき、あなたはどうしたらいいと思う?と聞いています。
すると、「何が何でも反対」という意見と「普天間基地が返還されるなら仕方がない」と大きく二つの意見に分かれます。もちろん無条件に賛成という人はいません。(興味がない、わからないという方はいます。)

辺野古基地建設の県民投票についてまとめました」で書いた通り、沖縄は戦争経験者の恐怖や怒りが強い地域でありながら、政治家の県外移設発言の撤回等により振り回されています。

ですので、「何が何でも反対、沖縄に代替案を出せということがそもそもおかしい」という意見もとてもよくわかります。
まず、県外の方にはこう思っても仕方がない背景を知って頂きたいです。

しかし、30代以下では「普天間基地が返還されるなら辺野古基地も仕方がない」という意見が多い気がします。

この世代は生まれた時から沖縄は日本という認識です。
自分の親でさえも戦後生まれ、アメリカ統治下時代も知りません。
日本の中に米軍基地が必要なら、沖縄がその候補になるのも仕方がないのではないかという考えを持つ人も少なくありません。

なので、「普天間飛行場返還のためなら容認」という選択肢があれば、この世代がどう投票したのかはとても気になります。

経緯を踏まえて具体的な解決策を考えましょう

沖縄に基地を置きたい日本政府、沖縄の基地を減らしたい沖縄県民。
過去に移設に対する議論が交わされてきたにも関わらず、その経緯を知る県民は少ない気がします。

反対している沖縄県民は過去の普天間移設問題についてちゃんと知っているのでしょうか。
感情的に物事を見すぎていないか心配です。

<普天間基地移設の経緯>

1995年の少女暴行事件により始まった普天間基地移設問題。
グアムへの移設も検討されたものの1997年には移設場所は辺野古に決定しています。
この時の決定が政府の主張の根拠です。
この時には、今ほどの反対運動は出ていなかったわけです。

それを反転させたのが2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落。たまたま人的被害がなかったものの、タイミングによっては大きな被害が出ていた可能性もあります。

2009年には鳩山元首相が"最低でも県外"と発言したが、検討の結果辺野古が最適との結果に戻ります。

結局、政府側も一方的に押し付けているわけではなく、議論は重ねられたものの辺野古以上に最適な移設先は見つかっていないのです。

普天間飛行場以外の基地は一部が返還されていることも事実として認識しなくてはなりません。

本当に沖縄に海兵隊が必要か

私としては、普天間基地を無くしたいなら、海兵隊そのものを海外へ移設することも可能なのかと考えています。

普天間飛行場は海兵隊の輸送飛行部隊の基地です。
海兵隊の訓練基地を沖縄に置く必要があるのかという問題も議論にあがることがあります。

空軍、陸軍は有事の際に、いち早く目的地に到着するため、基地の場所が重要です。
しかし、海兵隊は主に後方支援が任務になります。第二次世界大戦までは空母からの出撃が大きな戦略でしたが、爆撃機やミサイルの性能が高まった現代ではその戦略も古いものといえるかもしれません。

となると、海軍基地という意味だけで考えると、沖縄に置く必要がないと結論づけることもできるかもしれません。
事実、アメリカ側は代替施設が沖縄である必要がないと示していたとの報道もありました。

ただ、沖縄県民が反対するのと同じように、どの地域でも候補先に名前があがる度に反対運動が起こっています。

また、海兵隊の輸送部隊だけを別地域に移動するという手もあまり効率的ではありません。

米軍基地と犯罪は直接結びつかない

米軍構成員による凶悪犯罪は、1972年5月15日から2015年末までの間に574件起きているそうです。
自分の家族がそういう被害に遭ったら、本当に許せないでしょう。
でも、許せないからこそ本当の解決策を冷静に検討すべきです。

米軍基地があることと、米軍構成員による犯罪が起こることは直接因果関係があるわけではありません。人間が存在する以上、一定の犯罪は発生します。
ちなみに、2015年の県内の犯罪発生率でみると、軍属より民間人の方が高いです。

米軍による犯罪を減らすことが目的であれば、基地縮小を目指すより、日米安保条約の見直し等により事件への介入権を強めることの方が有効な手かもしれません。

凶悪犯罪をきっかけに、基地返還を求めることは合理性があるようでないのです。

まずは理論武装が最優先

私も生半可な知識しかないので、何が正しいのか判断できず悔しいです。

本当に議論するためには、世界情勢や各国の軍事戦略、最新兵器やその訓練方法、米軍組織構成、自衛隊との関係性、様々なことを全て理解しないとそのフィールドに立つことさえできません。

私は仕事があるのでそこまでのことはできませんが、人生をかけてでも基地反対と掲げたい人がいれば、突破口はまず理論武装になると思います。

もし最適解を見つけたとしても、日本に力が無ければ、ジャイアンに押さえつけられるのび太と同じになってしまいます。政治は理想ではなく現実でみるべきなのです。

安心安全な沖縄、日本を作るため、若い政治家の方などに頑張ってほしいと思います。

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